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職種限定契約社員に対する配置転換の有効性


(考察)
職種限定契約についての一つの考え方として参考になる。提示内容に変化があれば、別の判決も考えられる気もする。
(重要文言)
十分協議しつつ、可能な限り従前のSPLの業務と同等かそれに近い職種や職場に移行することができるよう丁寧で誠実な対応をすることが信義則上求められる。

提示された職種
① 全国移動を伴い
② 自らも営業活動を行う必要があり
③ 収入が格段に減るなど

いずれもXにとっては応じがたいもの

(訴え)
Xが、職種をSPLに限定する合意があり、保険販売を行う業務は含まれていないため、Xを営業社員に配置転換したことは無効
懲戒解雇されたことについて、懲戒解雇理由は存在せず、無効
地位確認
判決確定の日までの賃金及び、遅延損害金
不法行為に該当するとして、慰謝料、弁護士費用及び、遅延損害金

(判決)
請求を認容
入社後のXの業務実態に関して、新たに事実認定
平成22年8月1日採用
平成24年1月1日をもって、合併に伴ってASP事業部ならびに同部特有の職種であったSPM、SPL及びSPが廃止
少なくとも固定給の保証された入社後2年程度の間、Xの職種をSPLに限定
職種限定合意は存在したものという事が出来る

少なくとも意に沿わない転勤がない事が保証されていたものと認められ、少なくとも職場をA近辺とすることの限定合意があった

管理職から一般社員への懲罰的な降格人事とも解されるから、人事権の濫用として無効

配置転換が無効である以上、本件懲戒解雇もまた理由がなく許されない。

労働契約上の権利を有する地位にあり、平成24年7月以降の月額50万円の賃金請求が認められる。
民法709条、710条の不法行為責任を負う
Xの精神的苦痛に対する慰謝料100万円及び、弁護士費用50万円
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職種限定社員の職種変更の有効性


(考察)
職種変更の考え方として、一般的な説明が載っている点において参考になる。

(重要文言)
労働契約が職種限定合意を含むものである場合
労働者の同意がある場合、職種変更をすることは可能であると解される。

一般に職種は労働者の重大な関心事であり、職種変更が通常、給与等、他の契約条件の変更をも伴うものであることに照らすと、労働者の職種変更に係わる同意は、労働者の任意によるものであることを要する。
<職種変更に至る事情及びその後の経緯>
(ア) 労働者が自発的に職種変更を申し出たのか、それとも使用者の働きかけにより不本意ながら同意したのか
(イ) 後者の場合には、労働者が当該職種にとどまることが客観的に困難な状況であったのか
(ウ) 職種変更に同意する合理性の有無
(エ) 職種変更後の状況などを総合考慮して慎重に判断すべきもの

(事件概要)
XがY社との間で、職種をバス運転士とする職種限定合意を含む労働契約を締結
バス運転士以外の職種としての勤務を命ずる事例が発せられ、その後、退職したため、上記職種変更は無効であると主張
賃金差額・退職金さ額および慰謝料、並びにそれらに対する遅延損害金の支払いを求めた。

(判決)
Xに係わる苦情、責任事故及び指定外運行の件数及び内容ならびに本件事故後の所定教育中の状況
Xには、バス運転士として適格性に欠けるところがあったといわざるを得ず、
Y社において、Xについて運行士として乗務させることができないと判断したことには相当の理由があり、
Xが運行士として乗務を継続することは客観的に困難

Xは、職種変更の場合の待遇などを含めて助言を受け、一貫して職種変更の希望を述べていた。
運転士として継続したいが、それが難しいのであれば別の部署で仕事を続けたい旨申し入れた
職種変更の場合の待遇等についても説明を受けた
職種変更を希望する旨回答し、申出書を作成し、職種変更に至った。
異議を申し出ることはなかった。

職種変更の合意を有効としXの請求を棄却した。

配置転換の有効性


(重要文言)
配転命令に業務上の必要性が存しない場合、配転命令が不当な動機・目的を持ってなされた場合、若しくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合には、当該配転命令は権利の濫用となる。

Y学園理事らがXを勤務態度に問題があると評価しているのに、教職員を研修する立場に選任することは合理的な判断であるとはいえず、「恣意的に行われていると認めるのが相当」

(事件概要)
YがXを23年4月13日に解雇
Y学園では平成19年頃に教職員組合が結成
Xは、20年4月以降、その執行委員長の地位にあった。
23年4月1日付でY学園本部教職員研修室勤務を命じられ
同月13日、本件配転命令を拒否したことを理由に即日普通解雇を通告

(判決)
Xに対し不当な目的を持って行われたもので、不当労働行為にも該当し、違法・無効である。

就労請求権

昨日は、お客様に誘って頂き、朝の3時まで遊んでしまいました。
お陰で今日は眠たくて仕方ありません。

本日の判例ですが、業務命令(移転)に関する手続きがどこまで使用者の裁量を認めることが出来、逸脱することがあるのかを考えるのに参考になる判例だったと思います。

さて、今月から本格的に勉強会をしたいと考えております。
以下の所から、申込、拝見して頂くこともできますので、一度興味のある方はご連絡をください。

<お問い合わせページ>
http://www.nakamine-office.com




(事件概要)訴外Mは、Y1大学に入学し、平成17年4月に大学院に進学 → Xの研究室に配属(19年2月6日)→ Xに対し、博士課程への進学を断念する旨のメールを送信(19年3月)→ 大学院修士課程を修了(本件行為)→ 問題があるとして、本件各措置を行った。(懲戒処分)→ Y3は、卒研生などが配属されないことを理由にXの研究室をより狭い居室に移転する業務命令を発した。(Xがこれに従わなかったため)→ Y1はXに対して戒告の懲戒処分を行った。→ 主張の通り(懲戒処分)→ 1回限りの本件業務命令違反を理由にされたもの → 本件懲戒規程6条8号の要件を欠き、同条9号を適用するのも相当でないうえ、その必要性にも乏しかったというべき → 客観的合理性を欠き、社会通念上相当であるとは認められず、権利の濫用として無効 → Xが被った精神的苦痛は、本件懲戒処分の無効が確認されることをもって慰謝されると解するのが相当
 戒告 :公務員の職務上の義務違反に対する懲戒処分(他には免職・停職・ 減給がある)の中でも一番軽く、職員の服務義務違反の責任を確認し、その将来を 戒める処分
本件行為① Xは、不特定多数の者が閲覧可能なインターネットホームページ上に「M-破門」と掲載 → 学科主任であるY2からMの名誉を棄損するものであるので削除するように求めた。→ 上記記載を削除(判決)→ Mに対する「戒めの手段・方法として不適切なものである」→ 教育者としての配慮を著しく欠く行為
本件行為② Mから在学中のXによるセクハラを非難するメールが返信(判決)→ 事実を認めることが出来ない。
本件行為③ Xは、Mがパソコンを返却したのみで卒業後もソースコードなどを提出・返却しなかったので、勤務先の個人メールアドレスを含むMの複数のメールアドレス宛に数回連絡を行ったが返信がなかった。→ Mの勤務先の「問い合わせフォーム」のメールアドレス宛に返却・提出すべきものを返却・提出しないのは信義則違反であり、窃盗扱いになる旨のメールを送信(判決)→ 教育者としての配慮を欠く不穏当なもの → 教育者としての配慮を著しく欠く行為
本件行為④ 訴外Pに対するセクハラ(判決)→ 事実を認めることが出来ない。
本件行為⑤ 重度の身体障害のために文字を執筆することが出来ない訴外Nに対する定期試験中の便宜を不正行為とみなすという過剰な対応(判決)→ 本件各措置の理由とするのは相当でない。
 便宜 :都合の良いこと
本件行為⑥ 学生2名に対する不当対応(判決)→ 教育者としての配慮を著しく欠くもの → 教育者としての配慮を著しく欠く行為
本件行為⑦ ホームページ上又はメールによる他人の誹謗中傷(判決)→ 本件各措置の理由とするのは相当でない。
主張① Y1がXについて、本件各措置を取ったことが、Y1の懲戒権を濫用し、または人事権の裁量を逸脱するもの → Xの講義を担当する権利、研究室を持ち卒研生などの配属を受ける権利、学科会議などに出席する権利を侵害し、違法・無効である。(Y1に対して)→ 必修科目の講義を担当する地位のある事の確認及びその妨害排除などを求める。
争点① 抗議の科目、時間数及び時間割などの編成については、年度ごとに、教授会及び研究科会議の審議・議決を経て、最終的には、学長がこれを決定(平成22年度以降)→ Xに必修科目等を担当させる手続きが履践されていない事情の下 → Xには、具体的な講義の担当を求める権利ないし法律上の地位はおよそ認められない。→ 個々の教員が特定の研究室を持ち卒研生等の配属を受ける地位、および学科会議などに出席し、審議に参加する地位にあることの確認を求める訴えも不適法であるとして、却下
 履践 :実行すること
争点② 学長が「あらゆる事情を総合考慮の上、幅広い裁量の下に決定する権限を有しているというべき」→ 個々の教員には、特定の研究室の使用や卒研生などの配属を求める「具体的権利があるわけではない」
争点③ 教授総会や研究科会議に出席し、審議に参加することは禁止されておらず、Xが学科会議などに「出席する地位のある事の確認を求める訴えも不適法であって、却下を免れない」
主張② Y3らがXに対して発令した研究室移転の業務命令が、人事権の裁量を逸脱した違法なもの → 懲戒処分が懲戒権の濫用として無効 → 本件各措置
① 本件各措置 :本件3措置をA学部第二部教授会などにおいて決議 → Xの弁明を聴かずに、その旨を口頭でXに告知(判決)→ 使用者は、教員に対し、大学の管理運営上、必要な事項について、人事権・業務命令権の行使としての職務上の命令を発令する権限を有している。(対象)→ カリキュラムの編成、具体的な講義担当者の選定、卒研生などを配属する研究室の決定等に及んでいる。(行使)→ 広範な裁量が認められるものと解するのが相当(権限の行使)→ 大学教員の権利を制限することになる。→ 正当とするだけの合理的理由が必要 → 人事上の措置を行うに当たって、Xの弁明を聴いたり、告知の文書を交付したり、異議申立ての手続きを整備したりすることは必ずしも必要ではない。→ Y1の権限を著しく逸脱するものとはいえず、社会通念上、相当なものとして合理性を有するというべきであるから、有効
 本件3措置
ア 必修科目の講義の担当を外す。
イ 研究室に卒業研究性・大学院生を配属しない。(判決)→ 直ちに違法、無効となるものではない。(Xに配属されている大学院生3名をほかの研究室に移籍)→ Xの権利を侵害することになる。→ 正当とするための合理的な理由が必要 → 他の研究室に移籍されたとしても、引き続き選択科目の講義を担当する。(加えて)→ 施設内に研究室も割り当てられており、そのような研究環境の下で、大学教員としての研究活動を継続することが可能
ウ A学部第二部の学科会議及び大学院A学研究科B学専攻の専攻会議に出席させないとの措置(判決)→ 争点③の通りで、直ちに違法、無効となるわけではない。
主張② Y1が本件3措置を取ったのは、Y2らが、Y1の教授会などに正当な理由のない本件3措置を提案したことが原因 → Y1およびY2の共同不法行為が成立(Y2に対し)→ 不法行為に基づく損害賠償請求(判決)→ 人事上の措置が有効 → 違法、無効を前提とする不法行為の主張も採用することは出来ない。
主張③ 懲戒処分はY1およびY3が共同して行ったもの → Y3らの共同不法行為が成立 → 上記各主張が無効であるため、本主張も無効

内部通報者に対する配置転換

今日は、お客様の就業規則の最終打ち合わせをしてきました。
後は、従業員を集めて説明をし、従業員からのアンケートを集計すれば終了です。
さて、配置転換も会社の裁量権、業務上の必要性、著しく不利益を及ぼす賃金の減額等を伴う場合の3点くらいで見極められている事が多いように思います。
皆さんは如何でしょうか。


概要
Xは、昭和60年1月からY1社に正社員として勤務(平成17年10月1日)→ Xは、Y1社IMS事業部に異動し、販売部門チームリーダーおよびマーケティング部門チームリーダーの職に就いた。(19年4月1日)→ ONDTがY1社に吸収合併され、Y1社IMS事業部のIMS国内販売部NDTシステムグループ営業チームリーダーの職に就いた。(同月上旬)→ 同グループ技術チームに入ったCから、Bが「A社(最重要顧客)からBの後輩が入社する。3号機の受注をお土産として持ってくる。Xには内緒にしておくように。」と言っていた事を聞かされる。(同月12日)→ Y2にA社からの二人目の転職希望者の採用は取りやめるべきと述べた。(Y2は電子メールを送信)→ 同年6月1日頃、Xは、Y1社のコンプライアンスヘルプラインに電話し、Eとその部下であるFに相談(同月27日)→ EとFが、通報者がXであることを告げた上、Y2から事情聴取した。(同年7月3日)→ Eが、Xに対し、コンプライアンス室への相談に対する回答として電子メールを送信(第1配転命令)→ 平成19年10月1日にXをIMS事業部IMS企画営業部部長付けへの配置転換(訴え)→ 配転命令は、Xが被控訴人Y2やY3らによる取引先企業の従業員の雇い入れについてY1のコンプライアンス室に通報したことに対する報復 → 無効と主張 → XがIMSで勤務する雇用契約上の義務がないことを確認 → 違法な配転命令、その後の上司による業務上の嫌がらせなどによりXの人格的利益が傷付けられたなどと主張 → 損害賠償請求を行なう。(一審判決は請求を棄却)→ Xは控訴したが、平成22年1月1日付で第2配転命令、同年10月1日付けで、第3配転命令(訴えの変更)→ ライフ・産業システムカンパニー統括本部品質保証部部長付けとして勤務する義務がない事を確認、さらに、同品質保証部システム品質グループにおいて勤務する義務がない事を確認する訴えに変更

考察
第1から第3配転命令が権利濫用に当たるか否か :労務の内容を限定する合意がなされている等特段の事情がない限り、就労内容及び就労場所の指定につき広範な経営上の裁量権を有する。→ 使用者から労働者に対してする配転命令についてもまた、広範な裁量権がある。(日本自転車振興会事件)→ 業務上の必要性がない場合、ほかの不当な動機ないし目的を持つ場合、通常感受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合、特段の事情がある場合 → 権利の濫用として許されない。(GEヘルスケア・ジャパン事件)
プロフィール

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Author:roumutaka
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顧問先様への新しい情報の発信及び、提案の努力を怠りません。

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