(参考文言)
Kの発見、治療の遅れは、「Kが公務中に滞在していた薬局や使用していた本件トイレ以外の場所、自宅やその他のトイレ等においても発生する可能性がある点で、
公務のみならず日常生活にも存在する一般的危険であるというべき
これを公務に内在ないし随伴する危険とみることはできない」
(事件概要)
平成19年7月8日 トイレで倒れ、心筋梗塞を原因とする急性心不全により死亡
(訴え)
21年3月2日付公務外認定処分の取消を求めた。
(判決)
Xの請求を棄却
(重要文言)
被災職員が時間外労働を行っていたことが認められた場合、平均給与額算定の際には時間外労働に対応する未払い手当を算入すべき
平均給与額算定に当たり、時間外勤務、休日勤務、夜間勤務などにつき、前提認定にかかる在院時間を前提に、
例えば、その何割かを割合的に認定するなどの方法により、自ら合理的に相当な時間外労働を算定しこれに基づく一定の未払い手当を行為慮すべきであったといえる。
(事件概要)
19年7月6日付で、法に基づく遺族年金補償一時金として
Kの両親であるXらに対し各417万9,500円を、
葬祭補償としてKの父であるX1に対し56万5,770円を支給する決定
(訴え)
Xらが、支給額の基礎となる平均給与額の算定に当たって考慮されるべき未払いの時間外勤務手当、休日勤務手当、夜間勤務手当(以下、未払手当)が算入されていないと主張
Y基金に対して、改めて適正額の支給決定を受ける前提として、本件各支給決定の取消を求めた。
(重要文言)
「公務上死亡した場合」とは、職員が公務に基づく負傷または疾病に起因して死亡した場合
その負傷または疾病と公務との間には相当因果関係が存在することが必要
冬季の深夜に約1時間30分ほど屋外でパワーショベルの操作に従事
待機時間も含めると約2時間10分程度、3度以下という低い気温にさらされながら屋外での作業に従事
相当程度の寒冷刺激を受けたもの
プラーク破綻の要因である交感神経の一過性の過剰な緊張を生じさせて急性心筋梗塞発症の基礎となる血管病変などをその自然的経過を超えて著しく増悪させえるもの
直ちには閉塞に至らず、特段の自覚症状も出ないまま、その後の時間の経過の中で閉塞に至って急性心筋梗塞を発症したもの
本件勤務から約64時間を経ての本件疾病発症との間に相当因果関係を認めた。
(事件概要)
冬季の深夜に戸外の作業に従事する勤務を行った2日後に倒れ、急性心筋梗塞と因果関係を有する疾病により死亡
処分行政庁が、地公災法45条1項に基づき、Kの死亡は公務外の災害であるとする公務外認定処分をしたため、Xがその取消を求めた。
(参考文言)
労働者を個々の建設等の現場における事業にのみ従事させ、本店などの事務所を拠点とする営業などの事業に従事させていないときは、営業などの事業につき保険関係の成立する余地はない。
(通達)
「特別加入者に係る業務上外の認定の取扱い」(昭50.11.14基発671号)
通達より、特別加入の申請にかかる業務内容と実際に災害の発生した業務内容とが全く異なる場合に保険給付されないかどうかということであろうと思われますが、特別加入した保険関係の業種と、災害の発生した事業(有期事業)とが異なる場合は、特別加入申請書の業務内容が異なることになりますので、前記認定基準にいう「特別加入の申請に係る事業のためにする行為」とはいえず、保険給付は行われないこととなります。
特別加入はあくまでも任意であり、同一の中小事業主が二つ以上の事業を行っている場合に、一つの事業のみについて特別加入することができるのはいうまでもありませんが、二つ以上の事業について重ねて特別加入することを妨げないとされています。そこで、これらすべての事業について特別加入しようとするためには、それぞれの事業ごとに、それぞれの事業について成立している保険関係に基づいて特別加入をしなければならないことになっています。
(経緯)
平成5年4月1日 特別加入者をK、業務の具体的内容を「建築工事施工(8:00~17:00)」として、法28条1項に基づく労災保険の特別加入の申請をし、同月2日、承認を受けた。
平成10年11月23日 前日から泊りがけで各工事の予定地の下見に赴き、その途中で事故が発生
平成12年2月15日 広島中央労基署長に対し、本件事故当時のKの行動は特別加入社として承認された行布内容の範囲とは認められないとの理由により、これらを支給しない旨の本件各処分をした。
(判決)
現場の下見は、ほとんどKが1人で行っており、従業員も同行したことがあるが、それは現場の作業に携わる従業員も補助として下見に行った方が作業等の計画を立てやすいということによるもの
Xの上告を全員一致で棄却した。
平成25年3月15日、昨日はホワイトデーであったにも拘らず、完全に忘れて何もプレゼントをしていません。
明日は土曜日で、ゆっくりプレゼントを買っていこうと思います。
さて、本日の判例ですが、珍しい判例で労災保険の算定額に関する判例です。
とはいっても、管理監督者にふさわしいかどうかの判断基準が主です。
どの判例にもあるような当たり前の判例でしたが、復習には良いかもしれません。
(事件概要)
A社に勤務していたKの妻であるXが、Kは業務に起因して発症した急性心臓死により死亡したと主張 → 佐賀労基署長に対し、労災保険法に基づき請求(平成21年4月6日)→ 給付基礎日額の算定に誤りがあるとして、処分の取り消しを求めた。
(管理監督者)
①から③を総合考慮 → 労基法41条2号にいう管理監督者に該当するということは出来ない。→ 割増賃金についてAに請求できることを前提に給付基礎日額が算定されなければならない。→ 算定を誤ったものであり、違法であるといわざるを得ない。
① 経営者と一体的な立場 :4名の部下に対し、人事考課、勤務時間の管理及び給与などの待遇の決定等、労務管理の指揮命令権限を有し、これを行使していた事実が認められない。
② 労働時間について裁量権 :非役職者のバイヤーにも出退勤管理はされていない。(遅刻、早退に対する賃金減額)→ 管理監督者も含めて、給与規定の減額規定が適用されなかった。
③ その地位にふさわしい待遇 :課長昇進当たってなされた増額は月額7,000円にすぎない。