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自己都合退職の有効性


(考察)自己都合退職に対しては、2週間の期間を守られると対応が難しい事を示された判例であると思われる。
(重要文言)
民法627条2項所定の期間の経過後においては、雇用の解約申し入れの効力が生ずる
X社主張の損害とYの行為との間に因果関係は認められない
就業規則に定める引継ぎも行わなかった事等を理由とした損害賠償請求が棄却

<本訴の提起による不法行為>
通常人であれば容易にそのことを知り得たのにあえて提起したなど、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く場合に限り、相手方に対する違法な行為となる。

本件)Yの収入の5年分以上に相当する1,270万5,144円もの大金の賠償を請求することは、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠き不法行為に該当する
慰謝料請求が認められた。

(事件概要)
X社が、Yが虚偽の事実をねつ造して退職
就業規則に違反して業務の引継ぎをしなかったことが不法行為に当たる
Yに対して1,270万5,144円の損害賠償などを求めた。
<反訴>
Yが、X社ないしその代表取締役による退職妨害、人格攻撃が不法行為ないし、違法な職務執行に当たる
330万円の損害賠償などを求めた

(判決)
平成27年1月7日に不安抑うつ状態と診断
同年6月20日は希死念慮を訴えてストレス障害により医療保護入院
28年5月2日には躁うつ病
まもなく自殺を図っている
虚偽のものであるとはいい難い
X社が主張するような損害は生じない
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休職期間満了を理由とする退職

(参考文言)
<パワハラを理由とする不法行為に基づく損害賠償請求>
Y1の発言は、Xの人格非難に及ぶものではなく、
Xの名誉を棄損する内容のものでもなく、
Xがそれらに矛盾や不合理を感じることがあったとしても、業務上の指示・指導の範囲を逸脱したものとはいえない。
Y1の不法行為及び、Y2の使用者責任が否定

<相当因果関係>
Xのうつ病の既往歴は、今回のうつ病発症の7年以上前
平成12年9月に入社して以来、5年以上の間、これを再発することなく就労していた
Xが精神的に脆弱な傾向にあったことを考慮しても、相当因果関係がある。

<職場復帰に当たる損害賠償請求を否定>
復職に向けて産業医との面談や復職支援プログラムを作成するなど、長時間休職後の復職が円滑に実現されるような方策を採っていた
軽微な作業を中心とした仕事をXに割り当て、徐々に従前遂行していた業務内容、業務量を与えるような復職支援プログラムを作成して業務量の調整を図っていた
Xの職場復職に当たり、Y2に安全配慮義務違反があったとは認められず、この部分に関する損害賠償請求を否定

<休職期間満了後の解雇>
休職中の平成19年10月を過ぎたころには業務に起因する心理的負荷により生じたといえない
雇用を解かれた21年1月30日の時点で、発症から3年以上が経過してもなお全快せず
Y2で業務に従事することが困難であった。
解雇が有効

(事件概要)
Y2社において、従業員が3か月間を通算して175時間を超える時間外労働を行うとする場合には、産業医の許可を必要

平成17年12月8日時点 Xの同年10月からの通算残業時間が158時間
産業医の診察を受けたところ、産業医からは、以後の残業を不許可とする旨の指示

平成17年12月21日 残業中、身体が硬直、FリーダーがXを実家にタクシーで帰宅
同月22日から18年2月10日までの間
Y2を休職し、
同月13日 勤務を再開
同年10月26日 傷病休職期間
20年11月1日付 試験期間として仮復職
Xは体調不良を理由に休暇を取ることが多かったため、Y2は、Xが就労することは困難であると判断
平成21年1月30日付 仮復職を取り消し、Xは、休職期間満了により、Y2を退職

(訴え)
Y2社の従業員Xが、Y1から、
長時間の残業を強いられた上、
Xの人格を否定するような非難、罵倒、叱責などを受けたことから、
肉体的、精神的に疲労困ぱいし、うつ病等に罹患して休職し、休職期間の満了を理由に退職を余儀なくされたと主張

Y1に対しては不法行為に基づき、
Y2に対しては主位的にY1の不法行為についての使用者責任、安全配慮義務違反などによる債務不履行責任

(判決)
Xの精神障害の発症を予見することが可能
① Xの時間外労働時間は、うつ病を発症した前後には1か月当たり90時間を超える程度に及んでおり、Y2社はそれを把握していたこと
② Xの業務量、業務の進捗状況とその納期を把握していたこと
③ XがY1の下で仕事をすることをつらいと感じていることについては、認識していたこと
④ Xが体調を崩しつつあることも、認識しており、休暇取得状況から、把握可能

うつ病の症状が蔓延化し、Xが長時間にわたり休職を継続したことについては、
逸失利益 :256万9,731円
治療費、交通費 :27万5,910円
慰謝料 :200万円
弁護士費用 :50万円

休職期間満了による退職の適法性と課長職への確認

平成24年8月4日、本日もすごく暑い日でした。

こんな日はなぜかカレーが食べたくなり、家の近くにできたインドカレーにて昼食を食べました。

久々のナンは美味しくて食べ過ぎましたところ、現在辛い物を食べすぎたせいか、お腹を下しております。

さて、本日の判例は、休職期間満了による退職が適法かどうかです。

就業規則でも唱っている休職ですが、今回のように安全配慮義務違反が認められた場合には、解雇制限がかかるため、退職は難しいようです。

また、昇給に関する訴えもありましたが、こちらは裁量の逸脱がない限り、使用者側に裁量が認められるようです。



(事件概要)

平成14年7月4日、Xは突然めまいに襲われ、Yを欠勤 → 自律神経失調症と診断(大病院の神経科精神科)→ うつ病と診断(同年8月頃)→ 休養加療が必要と診断 → 退職通知を受けた時点においても同病状は完治せず継続加療を要する状態 → Xは、未消化振替休日、年休(40日)、復活年休(50日)、有給の欠勤(10か月)(平成15年9月28日)→ Y就業規則33条に基づき24か月の休職扱い(平成17年7月25日)→ Xに対し同年9月27日をもって休職期間が満了 → 就業規則39条4号により退職となる旨を通知(Yは休職期間を同年10月31日までとする取り扱いを行った。)→ Xは同年10月31日をもって退職したとの取扱い(労災保険の給付申請)→ 認定し、療養・休業補償給付の支給決定(平成19年12月7日)→ 本件退職取り扱いは無効であるとして訴えを提起

(i) 労働契約上の権利を有する地位にあることの確認(仕事内容)→ Xが担当していた業務とXが発症したうつ病との間に相当因果関係を認め、労基法19条1項の類推適用により本件退職取り扱いは無効であるとの判断

 労基法19条1項 (解雇制限) :使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。

(ii) 課長の職位にあることの確認(仮に精神疾患を発症せずに勤務を継続していたならば19年2月には課長に昇格していたと主張)→ 課長職に就けるか否かは使用者であるYの裁量判断にゆだねられているもの → XがYに対して、課長職での就労請求権を有しているとは解しがたいとして請求が却下

(iii) 未払い賃金の支払い(ⅰ)→ 請求権を認める。

(iv) 安全配慮義務違反に基づく損害賠償の支払い →「一般的に、使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷などが過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負っている」→ Xの上司はXが毎日午後9時ころまで仕事をしていたことを認識していた。→ YはXの時間外労働時間が長時間に及んでいることを十分に把握できた。→ Xからの人員補充要請に対しYが真摯に対応していたことは窺えない。→ Yは、Xの本件精神疾患の発症について、当該業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷などが過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なわないよう注意すべき義務を怠ったといわざるを得ない。→ Yの安全配慮義務違反が認められた。(慰謝料)→ 200万円、弁護士費用として60万円

(v) 損害額 :以下の通り(消滅時効)→ 提起された平成19年12月7日前の17年11月25日支給以前の分については請求権の消滅

 損害額 :労災保険法に基づく休業補償給付の給付基礎日額をもとに算定を求めた。(しかし)→ 同金額は、本件精神疾患発症前3か月間の時間外労働賃金を含んだ金額 → Xが、発症後においても発症前と同程度の時間外労働を含めた就労が可能であったとは認めがたい。→ 基本給+調整給により算定

 賞与の請求 :利率連動率や出勤率など、個別具体的な支給額の算定要素に関する規定も存在 → 賞与について明確かつ具体的な支給額があらかじめ確定し、労働契約の内容になっているとまでは認められないとして請求が棄却

 退職金 :制度移行時点におけるXの退職金相当額は334万4,800円 - 厚生年金基金が解散したことに伴いXに対しては331万9,355円の清算金 = 差額25,395円の請求が認められた。(在籍すれば得られたであろう企業年金拠出金)→ 月額24,248円および29,590円についても請求が認められた。

 賃貸借契約 :平成17年11月30日をもって解約(居住の継続)→ Xは自ら家主との賃貸借契約を締結 → 駐車場使用料と上水道使用料が改定された新たな賃貸借契約を締結 → 従前Xが負担していた社宅使用料等(月額26,716円)と新たな契約での家賃等(月額72,500円)との差額(月額45,784円)ならびに契約締結時に支払った保証金(30万円についても損害と認めた。)

(vi) 休業手当請求にかかる付加金の支払い


(考察)

1. 仕事内容 :平成14年4月からXは西コールセンター課に配属(破産・弁護士介入債権案件係(以下、「破弁係」))→ クレジット債権の管理・回収業務のうち、自己破産、債務者方への弁護士介入案件について、調停・和解等を相手方弁護士と行う業務(加えて)→ 別の部署への債権の引継ぎ・移管作業 → 自動移管(3か月を超えて滞納があったもの)が月に1,000件、マニュアル移管が月に500件、処理後の残件数は約2,000件程度存在 → 業務量に対して破弁係の人員が少なかった。→ 移管作業は負担が大きな業務(このような状況の中)→ 本来の業務である申請後の決済申請書等の整理、調停調書の点検などの業務はたまる一方(さらに)→ Xは、社外から届くすべての郵便物を担当者へ配布したり、社内の各部署から届く各種書類などの仕分けをしたりする総務的な業務も担当(aからdの事実認定)→ Yの人員削減によって「Xが担当していた業務量が増大し、Xの時間外労働時間も長時間に及ぶなど、Xの業務量については、量的にも質的にも過重であった」→ 「Xの甲状腺悪性腫瘍が本件精神疾患の発症について多少なりとも寄与したことが窺われるものの、その主たる原因としては、質的にも量的にも過重性を有するXの業務にあると推認するのが相当である」
(a) Yの大幅な組織改編によりXの業務量は従前よりも増大
(b) Xは係長や課長に対して窮状を訴えて増員の要請をしたものの受け入れてもらえなかった。
(c) 上限として指示された時間外労働時間では業務を処理することが出来ないので上限を引き上げるよう上司に頼んだが拒否されなかった。
(d) 平成14年6月に、Xが担当していた未収債権について未処理のものが大量に発見 → 担当課長から叱責を受けていた。

2. 労働時間 :午前9時30分から午後5時45分(休憩時間12時から12時50分)→ 1日の所定労働時間は7時間25分(しかし)→ 管理センターグループでは毎朝午前7時50分頃から朝礼、Xはこれに出席 → Y社では、従業員が自ら勤務管理簿に勤怠について記載するという労働時間の管理 → Yは従業員の残業時間について上限時間を設けた。(これを超える残業)→ 残業時間扱いとしない。(勤務管理簿)→ 実態を反映したものであるとは認められない。(平成14年4月の異動から本件発症に至るまでの期間)→ 朝礼が始まる10分前の午前7時40分頃には出勤 → 連続とはいえないものの、夜は午後10時あるいは午後11時過ぎまで残業


参考文献
マナック事件<付・原審>
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