fc2ブログ

管理監督者性


(考察)管理監督者性を認められない一般的な判例と思う。
(事件概要)
原告Xが、抑うつ神経症を発症して勤務不能
多い月で240時間の時間外労働
1年間の勤務日数が356日
349日間が連続勤務
強い心理的負荷を生じさせる過重性を有する

<管理監督者性>
Yの意思決定にかかる会議に出席することはなく
一部門が管掌する施設内で調理業務を担当していたにすぎず
部下も5人程度と少数で、経営上重要な事項の決定などに関与する立場にあったとはいいがたい
出退勤時刻は自らの判断に委ねられていたものの、タイムカード打刻が要請されていた
会館で提供される料理にかかる調理を行うという「包括的な指揮命令」の下で必要な労働時間が自ずと決まる
限られた範囲内で調整できたにすぎなかった
管理監督者性を否定

民法536条(債務者の危険負担等)
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
→ 今回、就労不能後の賃金請求権および期末手当請求権が発生する。
症状固定までの間について、
月額40万6,000円の賃金請求権のうち休業補償給付の損益相殺の対象とならない40%
就労中の期末手当の一部未払分と就労不能後から症状固定までの期末手当の支払い請求

反対給付とは :売買などの双務契約で、一方の給付に対して対価の意味をもつ他方の給付。 例えば、売り主の目的物の給付に対する買い主の代金支払いの給付など。
→ 今回のケースでは、原告Xが労働するという給付に対して、Yが賃金を支払う給付
償還とは :返却。特に、債務を返済すること。
スポンサーサイト



元従業員の管理監督者性と未払い賃金請求


(感想)
管理監督者については、認められにくい可能性が高いが、やはり何がどうだというよりは、全体的な判断によるものが多い気がします。

(重要文言)
営業手当をつき30時間分の時間外労働に対する手当として支給し、受給する旨の合意がXとYとの間で成立していたとは認めがたい

住宅手当は、1万円ないし5万円の範囲で支給すると定められているものの、これが従業員の住宅に要する費用に応じて支払われているとは認められない。

<付加金>
Yが営業手当や住宅手当、営業実績に応じた実行手当の支給を継続してきており労基法違反を犯す意思はなかったとのYの主張に対し、
従業員の時間管理を十分に行っていなかったことが正当化されるものではない。

(事件概要)
営業手当は時間外労働割増賃金で月30時間相当分として支給
Xの賃金額は、基本給22万円のほか、住宅手当、営業手当、通勤費等を含んでおり、21年6月16日ないし22年12月18日の間、1か月当たり合計51万5,910円ないし66万5,910円が支給
<Xの業務>
アルバイトスタッフのシフト管理
アルバイトスタッフの見込み顧客の管理
営業担当者への引継ぎ
アルバイトスタッフの指導等
毎週月曜日及び木曜日の午前9時から行われるマネージャー会議に出席する。

(訴え)
労働契約に基づき、平成22年11月から同年12月までの未払賃金合計73万4,619円ならびに21年7月分から23年1月分までの割増賃金合計901万7,927円の支払いを求める。
労基法114条に基づき付加金926万7,846円の支払い等を求めた。

(判決)
テレホンアポイント業務の運営をXの裁量で行う事が出来たというY社の主張に対して、テレホンアポイント部の運営を自身の裁量を行う事が出来たとまで認めることはできない。

タイムカードによる管理を受けており、
Xの職責及び責任の重要性の程度並びに勤務実態が、労基法による労働時間規制になじまないという事ではなく、
むしろ、土曜日ついてはYが午後8時までの勤務を支持していたことと相まって、労働時間を事由に定めることができないことを推認させる事実というべき

取締役の労働者性及び、管理監督者性

(重要文言)
<労働者に該当するか>
Xには終始一貫して基本給と役職手当という名目で対価が支払われており
雇用保険にも継続して加入している
取締役会、役員会議、経営会議において、実質的なオーナーとみられる乙山会長の指示を伝達する場にすぎなかった。

<労基法41条1項2号の管理監督者>
① 労務管理に関する指揮監督権限を認められているか否か
→ Yの経営方針を決める取締役会などの重要な会議に出席
乙山会長が決めた方針を伝達することが多かったとはいえ、取締役という地位で参加
Yの意思決定に一定程度参画していた

→ 採用や人事考課の権限など労務管理について権限が与えられていたわけではない
従業員の採用や出退勤の管理などを行う労務管理を行う権限を一定程度有していた。

② 自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有しているといえるか否か
→ 勤怠管理が義務付けられていたとはいえず、
Xの業務量に比して労働時間が不自然に長時間となっており勤務時間中に業務以外のことをしていた事情もうかがえる
労働時間に広い裁量を有していた

③ 一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金上の処遇を与えられているか否か
→ 基本給と役職手当を合計すると月額40万円から45万円の給与を得ていた。
Yの従業員は、月額20万円前後の基本給プラス2万円程度の手当を支給されていた。
一般授業院の基本給とくらえて厚遇されていた。


(経緯)
平成18年5月31日 取締役
19年6月5日 常務取締役
20年12月1日 専務取締役

<Xの賃金>
基本給 月額35万円(平成21年8月分から)→ 30万円に減額
役職手当 月5万円から10万円
それ以外の手当
総額 月額60万円


(訴え)
Y社を退職したXが、時間外割増賃金、休日割増賃金および深夜割増賃金および付加金の支払いを求めるとともに、
減額前の賃金と実際に支払われた賃金との差額の支払いを求めた。

(判決)
Xは労働者に該当する。
労基法41条2号の管理監督者に当たる。
時間外手当のうち深夜割増賃金部分に限り請求を認め
賃金減額の合意についてはその有効性を否定した。

管理監督者性と減額賞与差額請求

平成25年3月17日、本日は合気道に行ってきました。
まだ黒帯が届かず、白帯のままの自分が意外に落ち着く今日この頃です。

さて、本日の判例は、管理監督者性に関する判例です。

久しぶりに管理監督者性が認められる判例を見ました。

管理監督者性を確認する上で必要な内容は変わらないですが、賃金に関しても記載されており、分かり易い内容となっております。




(事件概要)
Xは、Yに採用 → マネージャーからエリアディレクターと昇格 → 副店長に降格
Y社の従業員であったXが、Y社に対し、①から③の支払いを求めた。
① 時間外手当及び遅延損害金(深夜手当)→ Xが管理監督者であっても、Yは深夜手当の支払いは免れない。
② Xが対象期間後に降格されたにもかかわらず、降格後の地位を基準とした賞与が支給 → 降格前と降格後の賞与の差額及び遅延損害金 → Xはこの期間はエリアディレクターの地位にあった。→ それに基づいた賞与が支給されなければならない。
③ 付加金および遅延損害金 → Yには故意に時間外手当の支払いを免れようとした悪質性はなかったものと認められる。
(管理監督者性)
アからエより、管理監督者に当たるというべき
ア 部門全体の統括的な立場
イ 労務管理などの決定権などの裁量権 → 人事考課、機密事項に接している事(本件)→ 一定の裁量を有している。
ウ 時間外手当が支給されないことを十分に補っている事(本件)→ 待遇も副店長(月額28万4,100円)に比して、基本年棒額640万800円(月額53万3,400円)と大幅に高額
エ 自己の出退勤について自ら決定し得る権限(本件)→ 事故の裁量で自由に勤務していたものと認められる。
(賞与)
労働の対象として「賃金」(労基法11条、年棒賃金規程「・・・・・」)に該当 → 減額支給を可能とする根拠を欠く。→ Xの同意を得ることなく、一方的に賞与を減額することは許されない。
プロフィール

roumutaka

Author:roumutaka
毎日、2時間以上の勉強を欠かさず、一歩ずつでも前進致します。
顧問先様への新しい情報の発信及び、提案の努力を怠りません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる