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遺族補償年金など受給資格該当性

(重要文言)
今日においては、配偶者の性別において受給権の有無を分けるような差別的取り扱いはもはや立法目的との間に合理的関連性を有しないというべき
Xのその余の主張について判断するまでもなく、遺族補償年金の第一順位の受給権者である配偶者のうち、夫についてのみ60歳以上との本件年齢要件を定める地公災法32条1項ただし書及び同法附則7条の2第2項の規定は、憲法14条1項に違反する不合理な別的取り扱いとして違憲・無効であるといわざるを得ない

(事件概要)
平成10年10月18日 Xの妻であったKが、公務により精神障害を発症し、自殺
平成22年4月23日 Kの自殺を公務上の災害と認定
平成22年6月2日 XがY基金らに対し、遺族補償年金、遺族特別支給金、遺族特別援護金及び遺族特別給付金の支給請求
平成23年1月5日 X(昭和22年生まれ)はKの死亡当時に51歳であり、同法32条1項ただし書1号および同法附則7条の2第2項に定める要件に該当せず、
同法32条1項ただし書4号および同法施行規則29条に定める障害の状態にあるとは認められない
いずれも不支給とする本件各処分

<地公災法>
(遺族補償年金)
第32条
一 夫、父母又は祖父母については、60歳以上であること
四 第三号の要件に該当しない夫、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹については、総務省令に定める障害の状態にあること

(訴え)
処分行政庁がいずれも不支給とする処分をしたため、XがYに対し、本件各処分の取消を求めた。

(判決)
年齢要件一般について、「社会保障的性質をも有する遺族補償年金の受給権者の範囲を定めるに当たり、立法当時の社会情勢や財政事情などを考慮して、
職員の死亡により被扶養利益を喪失した遺族のうち、一般的に就労が困難であり、自活可能でないと判断される者に遺族補償年金を支給するとの目的の下に、
障害要件とともに、そのようなものを類型化するための要件として設けられたものであると解されるところ、
地公災法が遺族補償年金の受給権者にこのような要件を設けたこと自体は合理的なものといえる」

妻については、年齢や障害の有無にかかわらず類型的に生計自立の能力のないものとして、年齢要件などを設けずに生計維持要件を有する者は遺族補償年金の受給権者としたことには、地公災法が立法された当時においては、一定の合理性があった。

地公災法32条1項ただし書1号及び同法附則7条の2第2項を根拠としてなされた、Xに対する遺族補償年金の不支給処分は、違法な処分であるから取り消すべきであり、Xが遺族補償年金の受給権者に該当しないとしてなされた、Xに対する遺族特別支給金、遺族特別援護金及び遺族特別給付金及び不支給処分も、いずれも違法なものとして取消を免れない。
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