定額残業代の支払いを法定の時間外手当の全部または一部の支払いとみなすことができるのは、 ① 定額残業代を上回る金額の時間外手当が法律上発生した場合にその事実を労働者が認識して直ちに支払いを請求することができる仕組み ② 発生していない場合にはそのことを労働者が認識することができる仕組み ③ 基本給と定額残業代の金額のバランスが適切 ④ 労働者の福祉を損なう出来事の温床となる要因がない場合 ⑤ 使用者の労働者に対する当該手当や割増賃金に関する説明の内容、労働者の実際の労働時間等の勤務状況などの事情を考慮して判断すべき に限られる。 時間外労働等に対する対価として定額の手当を支払う事により、同条の割増賃金の全部又は一部を支払うことができる。
<賃金規則> 平成22年4月改定 ① 基本給 :1乗務(15時間30分)当たり1万2,500円 ② 服務手当(タクシーに乗務せずに勤務した場合) 乗務しないことにつき従業員に責任のない場合 :1,200円/h 責任のある場合 :1,000円/h ③ 深夜手当 ((基本給+服務手当)÷(出勤日数×15.5時間))×0.25×深夜労働時間 (対象額A÷総労働時間)×0.25×深夜労働時間
② 本件規定の明確区分性の有無 通常の労働時間の賃金に当たる部分と労基法37条に定める割増賃金に当たる部分とが明確に区分されて定められている。
③ 割増金の金額適格性(労基法37条所定の割増賃金との比較) 対象額Aを総労働時間で女子、これに0.25または0.35を乗じた金額に該当する労働時間を乗ずる旨を定めている。 労基法37条などに定められた割増賃金の額を常に下回ることがないという事が出来る。 Xらが主張する未払いの割増金又は歩合給があるとは認められない。
(本文) Xらが、 ① 未払時間外手当があるとして未払時間外手当元金及び遅延損害金 ② 各未払時間外手当に対応する労基法114条に基づく付加金及び遅延損害金の各支払い ③ A1について、同意のないままなされた賃金の減額変更が無効であるとして未払賃金差額及び遅延損害金、有給休暇を消化したにもかかわらずY社がその分の賃金を支払わないとして当該未払賃金額及び遅延損害金 ④ A1について、長時間労働によりうち病に罹患したとして不法行為または債務不履行である安全配慮義務違反による損害賠償として、慰謝料および弁護士費用のうち相当額ならびに遅延損害金の各支払い
専門業務型裁量労働制を採用するためには、 ① 労基法38条の3第1項に従って労使協定が行われることに加えて、 ② 個別の労働者との関係では、専門業務型裁量労働制を採用することを内容とする就業規則の改定などにより、専門業務型裁量労働制が適用されることが労働契約の内容となることを要する。
本件) ① 労働者の過半数を代表する者とされた際の選出の手段、方法は不明 ② Yは、労働者代表の選出の具体的な選出方法について何ら説明することができない。 ③ 従業員の過半数の意思に基づいて労働者代表が適法に選出されたことをうかがわせる事情は何ら認められない。 ④ 保管場所が従業員に周知され、いつでも閲覧し得る状態になっていたということは出来ない。
回覧資料について ① 専門業務型裁量労働制に関して、労働時間等について変更との記載のみであり、周知といえるかは疑問 ② 具体的な説明がなされたことを認めることのできる客観的な証拠はない。
実質月額4万円の役職手当 総合考慮して、管理監督者性が否定 ① 時間外手当が適用されず経営者に準じる管理監督者に当たる役職に対する対価とは考え難い。 ② タイムカードの打刻を行わず時間管理が労働者に任されている外形を取っているとしても、実際に労働時間管理が原告A1に任されていた実質がない ③ 事業について何らかの裁量を有し、労務管理、人事、予算などについての決定権限を持っていたものと認めることのできる事情がない
退職届 合意解約の申込みの撤回は有効である。 ① 労働契約の合意解約の申込みと解釈 ② 合意解約に伴うその他の条件について交渉を開始したものと解することができ ③ 未だA1の合意解約の申込みに対するYの承諾の意思表示があったものと解することができない。