fc2ブログ

団体交渉に対する不当労働行為の該当性

(考察)
団体交渉については、どれだけこちらの意見を相手に分かってもらえる様に伝えるかが重要になるが、実際の現場でこの状況を作り出すのは難しいとは思われる。
(重要文言)
労働組合法7条(不当労働行為) 使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
②使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。

同号は、労使間の円滑な団体交渉の樹立を目的として指定されたもの
使用者は自己の主張を相手方が理解し、
納得することを目指して、
見解の対立を可能な限り解消させることに努め
労働者の代表者と誠実に団体交渉する義務があり、
使用者が上記義務を尽くさない場合、
団体交渉態度が、団体交渉の拒否として同号の不当労働行為に当たる

<団体交渉をしたか否か>
相手方の納得を得るよう努力したかなどの観点から判断
① 団体交渉の申し入れの段階における対応
② 交渉事項の内容
③ 労働者側の態度などの具体的事情に応じて、団体交渉の場において労使の対立点を可能な限り解消させる努力を行っていたか
④ 労働組合が検討可能な程度の客観的な資料を提示
⑤ 自己の主張の根拠を具体的に説明するなど

(訴え)
X社が組合に対して行った行為
香川県労働委員会が平成26年2月10日、不当労働行為として認定し救済命令を発した
X社が、被告国に対し、本件救済命令には判断の誤りないし審理手続きの違法があると主張
本件救済命令のうち、主文第1から5項の取り消しを求めた
第1項 団体応諾命令
第2項 会社の経営状況に関する従業員に対する説明会や仕事配分について組合員と組合員以外の従業員とを差別的に取り扱うことにより組合組織の弱体化を図り、支配介入することの禁止
第3項 組合員に対する仕事の配分差別についての休業手当との差額相当分の支払い
第4項 ポストノーティス
第5項 各項履行時の文書報告義務

(判決)
組合に対し、真意に反して、意図的に事業閉鎖を示唆する発言を行ったことは不誠実団交及び支配介入に当たる
組合員と非組合員との間で仕事の配分について差別を行い、
組合委にばかり休業を指定していたことは、
組合員に対する不利益取扱いに当たる
会社の経営状態がおもわしくなくなったときは組合が面倒をみてくれる旨の発言などをしたことにつき、支配介入に当たる

本件救済命令を維持する判断
スポンサーサイト



ストライキに対する不動産明渡しなどの申し立て


(重要文言)
本件不動産における職場滞留は、
X社代表者と連絡が取れない状況下、
労働条件を含む退職金などについての話し合い
を目的とする団体交渉を引き続き求めるためのやむを得ない手段であると評価
営業を行えなくなったのは、許可を取り消されたため
争議行為として正当性を欠くとはいえない

(訴え)
X社が、X社の従業員らが加入する相手方Y労組が、X所有の不動産を占有し、
組合員以外のものの出入りを拒み、
本件不動産内の車両及び鍵を占有し、
業務を妨害しているとして、
Yに対し、所有権、占有権及び営業権に基づく妨害排除請求権を被保全権利として
1) 本件不動産の明渡し
2) 本件不動産への立ち入り禁止など
3) X宛の電話に出て業務を妨害する内容の会話をすることの禁止
4) 本件不動産の出入りならびに本件不動産内の動産及び財物の搬出の各妨害禁止
5) 車両のカギなどの引き渡しを求める
仮処分命令の申し立てをした

(判決)
保全の必要性があるとはいえない

会社分割の有効性と、街宣行為の範囲


(考察)
司法書士も連帯して損害賠償の請求を認められている事について、今回の判例は考えさせられる。街宣行為についての一つの範囲が記載されていることについても参考になる。

(重要文言)
不法行為による損害について、賃金相当額から未払い賃金立て替え制度による支給分と他社で就労して得た収入額を控除した額と
慰謝料80万円、本件組合について無形損害150万円

<街宣行為の態様>
労使関係の場で生じた問題は、労使関係の領域である職場領域で解決すべき
使用者といえども、住居の平穏や地域社会ないし私生活の領域における名誉・信用が保護、尊重されるべき
使用者の私生活の領域において行われた場合には、労働組合活動あることの故をもって正当化されるものではない
D2の運転する車を追尾したり、自宅前にパイプ椅子を並べて待機したりする行為は、正当な範囲を逸脱しており、
多数回にわたりD1自宅付近で頻繁にD1個人名を名指しし、家族も含め避難する発言を拡声器で叫ぶなどの行為は社会的相当性を逸脱している。

C2はD1とともに数回Eの事務所を訪れた際、会社分割をして労組を排除する、
分割無効の申立期間が経過した後で会社をつぶした方がいいなどのEの発言があったと認められる
会社分割を用いた組合排除という手法は法的知識がなければできない
D1がEにその目的を秘匿して本件会社分割の手続きを依頼するのも不自然不合理
不当労働行為目的であると知らなかったとするEの証言は採用できない

(訴え)
D1とその妻であるD2が、自宅付近での街宣などの差止、損害賠償を請求
司法書士のEは本件会社分割が不当労働行為であることを認識した上でD1らと共謀して不法行為を行った
本件組合及びA2らの被った損害について連託して賠償することを求めた。

(判決)
事業の主要部分を会社分割により新設会社に移転
分割前会社の事業を廃止
壊滅を目的とした不当労働行為であり違法
分割前の元代表取締役D1および、新設会社Mの代表取締役C2による共同不法行為に当たる。

D1の母で自身も取締役であったD3について、D1に実質的に経営を任せており、会社分割に関与したとは認められない。
損害賠償請求が棄却

会社分割の手続きを行った司法書士Eについて、D1らと共謀して不法行為を行ったものと認められる。
D1らと連帯して損害賠償の支払いが命じられた。

団体交渉に関する不当労働行為該当性


(考察)
団体交渉において、話し合いの中に含まれる内容が使用者にとってはかなり大変な作業であると思われる。不法行為と捉えられない状況を作るのが難しく考えられる。

(参考条文)
労組法7条(不当労働行為)使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
1. 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。
2. 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。

労働組合の要求や主張を聞くだけでなく、
使用者と労働組合との間で合意および妥協点を見出すため、
困難である場合にも、納得を得るため、要求および主張の具体性や労働組合からの追及の程度に応じ、
具体的な論拠を示したうえで合理的な説明を行うなど
誠実に交渉に当たるべき義務を負う
使用者がかかる義務に違反した場合には、同号が禁止する団体交渉の拒否に当たる

個別人事にかかる事項も、特段の事情のない限り、使用者が団体交渉の事項として取り上げるべき義務を負う

不利益な取り扱いをしたといえるためには、
不当労働行為意思を有していたことが必要
決定的な動機が、労働者が労働組合の組合員であること、または労働組合の正当な行為をしたことにあった場合、
不当労働行為意思があったものというべき

(事件概要)
平成15年1月30日 運送請負契約を締結
平成22年2月25日 団体交渉1
解約の理由自体を明らかにしておらず、その理由を明らかにする必要性はないと考えていたもの

22年10月4日頃 解約予告通知書により、同年11月5日をもって契約を解除する旨を通知
平成22年5月末以降 業務委託契約に変更
契約期間の定めがなかったところ新たに有期契約

同年8月10日 1年間とする業務委託契約が締結
契約書には、X社およびFのいずれからでも契約期間中のいつでも、30日前までの書面での予告により、任意に解除できる旨の定め
同年10月25日 団体交渉2
解除するかどうかはX社の方針で決める、具体的な理由を答える必要はないと考えていると述べている
23年8月18日 団体交渉3
総合的に判断した等と説明するのみで、考慮要素などについては全く説明をしていない

労組法上の労働者に当たるという点では当事者間に争いがない。

(判決)
不当労働行為意思を持って本件解除を行ったもの
労組法7条1号の禁止する不利益取り扱いを行ったものというべき

不当労働行為救済命令取り消し請求につき、いずれも適法であるとして退けられた。

ビラ配布による懲戒処分の有効性等


(重要文言)
会社施設内の無許可での組合活動、ビラ配布を禁止する会社就業規則の各規定
「形式的に就業規則の蒸気各規定に違反するように見える場合でも、会社施設内におけるビラの配布が職場規律、職場秩序を乱す恐れのない特別の事情が認められるときは、就業規則の上記各規定の違反になるとはいえない。」

他の労働組合を激烈な表現で、名指しにより批判
労働組合間の対立をあおり、これを受領した社員を困惑させかねないもの
安全、円滑な運送を脅かす事態の発生する事を防止することは重要
ビラ配布が会社に無許可でされることとなった場合における企業秩序の乱れは著しくなる恐れがあることも合わせ考慮すると、不当労働行為に該当するという事はできない。

雇止め法理
契約社員の雇用継続に対する期待が合理的であったとは認められず、
再三の注意指導にもかかわらず遅刻を繰り返しており、
4回以上遅刻した契約社員の契約が更新された例はないことからすると、雇止めには相応の理由があり、報復的処分とみることもできない。

(事件概要)
Aに対して行った懲戒処分や雇止め等につき、その一部が不当労働行為に当たるとして謝罪文手交を命じた中労委命令について、倆組、会社双方が中労委に対し取消を求めた。

Aは、平成17年に、1年ごとに契約を更新する契約社員として会社に採用

① 平成21年9月から10月にかけての複数回、駅内で無許可のビラ配布をしたとして訓戒処分
② 同年10月2日遅刻したことにつき、戒告処分
③ 22年2月19日、3月末を持って雇止めとする通知
④ 本件雇止めに伴い、会社からすでに受験していた社員採用選考試験の対象から除外され、上記雇止めの通知を植える際、その旨通告
プロフィール

roumutaka

Author:roumutaka
毎日、2時間以上の勉強を欠かさず、一歩ずつでも前進致します。
顧問先様への新しい情報の発信及び、提案の努力を怠りません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる