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勤務成績不良による雇止めの有効性


(本件)
Xが、Y社に対し、雇止めなどが無効・違法であると主張
労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め、
不法行為に基づき、損害賠償の支払いを求めた。

平成26年3月31日付 Yをいったん退職し、退職金を受領
同年4月1日 期間の定めを6カ月とする嘱託社員として雇用
同年10月1日 嘱託社員契約2を締結
27年3月18日 嘱託社員契約3を締結

嘱託社員契約3の労働条件通知書
期間の定めあり(平成27年4月1日から同年9月30日)
契約の更新の有無の欄では、契約の更新はしないに丸印
会社が特に必要と認めた場合、契約の更新をすることもあると記載
賃金は歩合により支給
最賃割れをした際には、最低賃金法に基づく賃金に満たない部分が、補償給として支給

Xのそれは、Yの定める目標及び営業所の平均にも届いたことがなく、売上が平均の半分に満たないことが多かった。
同年4月から同年9月において、すべての月で最賃割れが発生

Yは、Xに対し、複数回にわたって勤務成績が良くないことを説明
無線による配車指示に応じ、流しをして勤務成績を増加させるよう、勤務方法の改善を指導

今までの仕事ぶりを続けると再雇用できない旨を述べた。
これに対しXは、勤務方法を全く変えなかった。

Y社は同時期に、財務状況の改善のためとして、賃金支給率の引下げ、時間外走行の制限、及び退職金の増加停止を内容とする新たな賃金体系導入を図った。

平成26年11月以降 すべての労働組合、全従業員それぞれに対して説明会を実施
折衝を継続し、3次にわたる新賃金体系案を提案
27年7月 自交総連札幌交通労働組合を除くすべての組合、および非組合員の乗務員から、新賃金体系についての同意を得た。
平成27年8月27日 Xに対し、本件労働契約3が、同年9月30日で終了する旨を伝えた。

(判決)
有期労働契約が2回更新されたにとどまっていた
嘱託者の契約は原則更新するが、欠勤が多く業務に支障を来すものなどについてはその限りではない旨の説明
勤務成績が悪く指導による改善がみられなかった乗務員が雇止めをされた前例
現にXの勤務成績が非常に良くないものであり指導に従わなければ雇止めもありうる旨を伝えた。
労働契約が更新されると期待することに合理的な理由があるものと認められない
労働契約法19条2号に該当しない。

労働契約法19条 :従業員が更新を申込み、使用者の拒絶することが客観的、合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められないとき、従前と同様の労働条件で承諾したものとみなす。
2号 :更新されるものと期待することについて、合理的な理由があると認められる等
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契約期間満了による雇止めの有効性


(考察)
今回の判例とは異なる考え方として、慣習により成否を考えている判例も存在しています。
再任用の手続き :業績評価、面接等の審査、教員審議会及び人事委員会の審査(慣習)→ 任期満了によって退職している教員も存在している。→ 形式的であったということは出来ない。(ノースアジア大学(仮処分)事件)
雇止め法理を制定法化した労働契約法19条は、あくまで「従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件」での契約の更新を認めるに過ぎない。
 労働契約法19条 :次の各号のいずれかに該当する場合、契約期間が満了するまでもしくは、満了後遅滞なく締結の申込みをした場合であって、拒絶することが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、同一の労働条件で承諾したものとみなす。
① 過去に反復更新されたことがあるものであって、更新しないことが期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることと社会通念上同視できると認められること
② 更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること

(本文)
平成20年4月1日 Yとの間で契約期間を25年3月31日までとして労働契約を締結
B学部助教として就業
助教としての契約については更新が予定されていなかった
准教授に採用(昇任)された者については、新たに期間の定めのない労働契約が締結
平成24年3月まで 査読済み論文3本を公刊しており、同年度に昇任審査を受けた。
同年11月7日 研究業績が不十分であることなどを理由として、昇任候補としないことが満場一致で決定
平成25年3月31日 助教の任期が満了し、労働契約は終了

Y法人の助教であったXが、Y法人の各規程を踏まえ、助教が査読済み論文を3本以上公刊していれば、原則准教授として採用されるべき
准教授としての労働契約上の地位を有すると主張
① 主位的に、Yに対し准教授として労働契約上の権利を有する地位にあることの確認
平成25年4月以降の賃金などの支払いを求める。
② 予備的に、YがXの准教授としての雇用継続の期待権を侵害した等として、債務不履行又は不不行為に基づく損害賠償請求

(判決)
准教授としての地位は、任命権者からの辞令の交付及び准教授としての新たな労働契約の締結があって初めてその地位を取得することができる。
原告Xもこれを前提として、Y法人との間で助教としての有期労働契約を締結したものといえる。
Xが准教授としての労働契約上の地位を取得したと認めることは困難
Y法人の債務不履行責任を否定している。


雇止めの適法性及び、時間外労働算出の有効性

(重要文言)
就業規則では、変形労働期間の各日、各週の労働時間、始業時刻および終業時刻は別に定めるシフトパターン表を組み合わせることにより行うとするだけ
シフトパターン表は証拠として提出されていない
Xに変形労働時間制が適用されることを認めるに足りる証拠はない
雇用契約書には6時間分の深夜割増賃金と3時間分の時間外労働賃金が含まれていることを示す記載があるものの、
明確区分性の要件に欠ける上に、支給対象の時間外労働の時間数が労働者に明示されていない

(事件概要)
平成4年4月1日までに期間の定めのある労働契約を締結
同月から20年ころまでは6か月に1回
同年以後は2か月ごとに雇用契約書の更新
最終の雇用期間は26年12月20日まで
平成26年10月30日、過労、軽度うつ状態および睡眠障害の診断
2週間休養
その後、何も連絡がなく、同日以降のシフトに入れてもらえなかった。
平成26年12月2日、勤務先のY社A5店に呼び出し
労働契約を27年1月20日までなら続けても良いが、それ以降は結ばないと伝えられた。

労契法19条1号又は2号に該当し、雇用期間が満了する日までに有期労働契約の更新の申し込みをした。
また、合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないから、地位確認請求ならびに賃金及び遅延損害金の支払いを求める。

(有期労働契約の更新等)
第19条  有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一  当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

二  当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

(判決)
時間外割増賃金及び付加金の支払いを認めた。

季節労働者の更新と雇止めの正当性


(考察)
労働契約法に関して、理解を深めるのに良い判例であると思われる。

(重要文言)
労働契約法19条2号は、期間満了後も継続することに対する期待と、有期労働契約を終了させる使用者の必要性との調整をはかるため、
期待することについて合理的な理由が認められる場合
雇止めすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められず、
同一の労働条件で有期労働契約の更新または、申込を承諾したものとみなす旨を規定するもの

労働契約法19条2号は、法定更新を定める規定

労働契約法18条2項は、同期間が一定限度内であれば両契約期間を通算することを認めており、
同法19条も、各契約間に全く空白のないことまで求めているものではない

労働契約法19条2号の類推適用をするためには、空白期間は、法定更新によって継続されると法律上評価することができる程度のものにとどまる

(参考条文)
労働契約法19条(有期労働契約の更新等)
有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
①  当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
②  当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

労働契約法18条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
2  当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。

(事件概要)
季節労働者として従事していたXが、労働契約締結を拒否
約17年間にわたり、3月下旬から6月中旬、9月下旬から11月下旬までの時季に労働契約を締結
前年から雇用されている作業員が引き続き雇用できることを見込んだ人員配置とか同計画を立案
採用を希望して拒否されたものはほぼおらず
「本契約満了後の再契約は、保障されない」との記載があるが、説明を行ったことはなかった。

(訴え)
不当な更新拒絶である等と主張
労働契約上の地位の確認並びに未払い賃金等の支払いを求めた。

(判決)
一定の季節の一定の期間に業務が終了することが当然に予定されている
長さも一定ではなく、次年度の各有期労働契約の期間を確定的に予定することも困難
各契約期間の間には、3か月、4か月の空白期間があり、各契約期間と同程度ないしそれ以上の長さに及んでいる
各契約の終了時に時期についての始期付き雇用契約が締結されていたとは認められない。

季節労働者であるXの雇止めにつき、合理的期待があるとは認められない。
労働契約法19条2号の類推適用が否定され、取り消された。


有期雇用契約の雇止めの有効性


(考察)
有期契約に関する雇止めについて記載されているが、普段の判例と同じ感じであると思われる。労働契約法18条と19条の違いについては、確認しておきたいところだと思います。平成25年より開始された有期契約の無期転換が実施されると、また変わった判例が出るのかとワクワクします。

(重要文言)
Xが従事していた業務が恒常的・基幹的業務
Xは、賃金が低くパートタイム社員と扱われているが、一般の常用労働者とほぼ変わらない勤務条件で勤務
更新手続きは、契約期間終了前後にロッカーに配布されるパートタイム雇用契約書に署名押印し、これを提出するというごく形式的なものであり、形骸化していた。

(重要条文)
労働契約法19条(有期労働契約の更新等)
有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一  当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二  当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

労働契約法18条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)
同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(契約期間の始期の到来前のものを除く。以下この条において同じ。)の契約期間を通算した期間(次項において「通算契約期間」という。)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。この場合において、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件は、現に締結している有期労働契約の内容である労働条件(契約期間を除く。)と同一の労働条件(当該労働条件(契約期間を除く。)について別段の定めがある部分を除く。)とする。
2  当該使用者との間で締結された一の有期労働契約の契約期間が満了した日と当該使用者との間で締結されたその次の有期労働契約の契約期間の初日との間にこれらの契約期間のいずれにも含まれない期間(これらの契約期間が連続すると認められるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合の当該いずれにも含まれない期間を除く。以下この項において「空白期間」という。)があり、当該空白期間が六月(当該空白期間の直前に満了した一の有期労働契約の契約期間(当該一の有期労働契約を含む二以上の有期労働契約の契約期間の間に空白期間がないときは、当該二以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間。以下この項において同じ。)が一年に満たない場合にあっては、当該一の有期労働契約の契約期間に二分の一を乗じて得た期間を基礎として厚生労働省令で定める期間)以上であるときは、当該空白期間前に満了した有期労働契約の契約期間は、通算契約期間に算入しない。

(事件概要)
パートタイム社員Xが、Y社との間で15年7か月にわたり期間1年または3か月の雇用契約を約17回更新
Xの業務遂行能力不足ないしYの業務上の理由によりXを雇止め
客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上不相当であると主張
Yに対し、雇用契約が更新されたものとして雇用契約上の地位確認を求める。
本件雇止め後の賃金・賞与及びこれらに対する遅延損害金の各支払いを求めた。

(判決)
Xの請求を認容

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