組合活動の正当性
皆さん、ご無沙汰しております。
この頃、言い訳ではないですが、忙しすぎて、死んでました。
さて、桜も咲くころとなり、組合活動も騒がしくなるころではないでしょうか。
今回は、組合活動にまつわる判例を紹介させて頂きます。
長文過ぎてごめんなさい。
(事件概要)
平成20年12月16日、X2は、枚方工場の一部を一時休業(結果)→ 会社都合による休業が生じるようになった。(自宅待機を命じられたパート従業員に対して)→ 労基法26条所定の休業手当の支払いをしていなかった。(21年3月17日)→ Y1は、X1大阪支店を訪れ、X2での組合結成が公然化したので親会社としてX2を責任を持って指導するよう要求 → X2にも、Y2の組合活動が公然化したことを話し、団交申入書、分会要求書などをX2に交付(平成21年4月3日)→ 同月20日に、X2とY1との間で第1回目、第2回目の団交が開催(第2回目)→ Y1からX2に対し、「①会社は、労働基準法・労働組合法などの諸法律を順守する、②会社は、第1回団交開催が遅れたことと職場内にて当方組合員に対し不当労働行為を行ったことに対し深く謝罪する、③会社は、当方組合員の未払い賃金を4月25日に支給される給料に加算して支払う」事などを確認事項とする協定書が提案(上記②については応じれない旨の回答)→ その後同年6月30日に行われた第3回団交においても、結局、不当労働行為に関する謝罪文言について合意が整わないまま、交渉が終了(平成21年4月24日)→ X2は、Y2に対し、4月分の給与に加算して、休業手当として時給の6割分の11万4,580円(同年6月25日)→ 6月分の給与に加算して、休業手当の支払いが遅れたことによる遅延損害金6%全額として442円をそれぞれ支払った。(平成21年7月6日から同年8月7日)→ Y1は、数度にわたって、Y1の組合員ら1名から60名でX1大阪支店やX2枚方工場を訪れる。→ 抗議活動や街宣活動を行う。(同年7月16日にX1大阪支店を訪れた際)→ 協定書に同意しなければ不買行動も含めて行動範囲を広める旨宣言(抗議活動)→ X1らの従業員などに対して大きな罵声を浴びせ、問い詰めたり、怒鳴ったり、同人らがいる期間、X1ら従業員の職務遂行が妨げられるような態様(街宣活動)→ 同年7月24日の午前中に行われたものの他はすべて、X1大阪支店およびX2本店が所在するビル付近路上で行われ、Xらを非難する内容のもの(平成21年8月18日午前6時40分頃)→ Y1は、X1大阪SSのセメント輸送業務を委託されていたI運送の子会社であるJ社の同SS駐在所長に対し、Y1と共同歩調を取るよう通告 → I運送の代表取締役あての要請書を提出(同要請書)→「違法行為を繰り返すX2に対して資材運搬納入する企業として、指導要請をして頂きたい旨の要請」「貴社が当組合の要請事項について合理的な理由なく拒否する場合については違法業者X2を擁護・荷担しているとみなし、合法的な手段を講じることを申し添えておきます」との記載 → Iは、「16年仮処分決定」にかかるY1の行動やY1のこれまでの強硬な活動歴など(Y1の上記要請に反した行為を行った場合)→ 自らが攻撃の対象となり、事業の遂行に重大な支障が生じるのではないかとの疑念(平成21年8月18日)→ X2に対し、セメントを納入できない旨の連絡(翌19日以降同年9月25日までの間、ほぼ毎日、概ね午前7時前後から午後4時ころまでの間)→ X1大阪SS付近において、一人または数名の組合員で乗用車などを停車 → 同SSに出入りする車両の監視活動を繰り返すとともにX2付近において(同月19日以降同年11月10日までの間、ほぼ毎日、概ね午前中から午後4時ないし午後7時ころまでの間)→ 同様の監視活動を繰り返した。(同年8月28日および同年31日)→ X2の周囲を自転車で周回し、同月28日の周回時には同署に待機していたY1らと言葉を交わす。
<甲事件>
原告X1社および、同社の100%子会社のX2社が、被告Y1組合らの業務妨害行為により、X社らの所有権または営業権ないし人権などを侵害された。→ Y1および、X2分会の分会長で分会長で同分会の唯一の組合員であり、X2の期間従業員であったY2(①)→ 業務妨害行為の差止めを求める。(②)→ 不法行為に基づいて損害賠償の支払いを求めた。
違法性 :労働組合の行動ないし団体行動も、その目的だけでなく、その手段・態様においても社会的に相当と認められて初めて正当なものとして法的保護の対象(これを欠くような労働組合活動ないし争議行為)→ 正当なものではなく法的保護の対象から外れ、違法との評価を免れないとの判断枠組み(抗議活動、街宣活動、Xらの出荷業務を妨害する活動)→ その態様のみならずその意図も明確に同業務妨害などを意図して上記一連の行為を行っていたことが推認 → 社会的相当性の範囲を超えた違法なものと言わざるを得ない。→ XらのY1らに対する業務妨害行為の差止め請求及び不法行為に基づく損害賠償請求 → Y1のXらに対する上記一連の組合活動は、態様において社会的相当性の範囲を超えた違法なものと言わざるを得ない。→ XらのY1らに対する業務妨害行為の差止め請求及び不法行為に基づく損害賠償請求(認容額:合計1,602万余円)がともに認容
組合活動の目的に関する正当性 :Y2は、Y1の一連の行動を認識、認容し、自らもY1の監視活動を分担(一連の出荷妨害行為)→ 単なる位置組合員ではなく、重要な立場として参加していたことが推認(一連の違法行為)→ Y1と連帯して責任を負うというべき(X1の損害額)→ 合計523万余円(X2の損害額)→ 合計1,078万余円をそれぞれ認定 → Xらの差止請求を全面的に認容
差止請求とは :ある者が現に違法または不当な行為を行っている場合や行う恐れがある場合において、当該行為をやめるよう請求する権利 → 各法令に規定のあるもののほか、解釈上認められるものもある。
<乙事件>
Y2がX2に対し、Y2に対する雇止めについて、解雇権濫用法理ないし同法理が類推適用される。→ 同雇止めが正当化されず無効(雇用契約に基づいて)→ 雇用契約上の権利を有する地位の確認、同地位に基づいて未払い賃金などの支払いを求めた。
本件雇止めの解雇権濫用法理の類推適用 :Y2に対する雇用契約の更新手続きの回数は3回に過ぎず、各契約更新時にそれにかかわる雇用契約者は作成されたことはないが、X2からY2に対し雇入通知書が交付 → Y2とX2との間の有期雇用契約が期間の定めのない雇用契約と実質的に同視することができる状態になったと認めることはできない。→ 本件雇止めには解雇権濫用法理は適用されない。(しかし)→ 解雇権濫用法理が類推適用されるためにはY2に対する同雇用契約について更新に対する期待利益に合理性があることが必要
合理性の有無 :雇用継続の期待を持たせる言動・制度の有無などを総合考慮し、これを決するのが相当(3回の各契約更新時)→ Y2との間で雇用契約が作成されたことはない。→ Y2との面談も実施されておらず、概ね更新日に雇入通知書がX2からY2に交付されていたに過ぎない。(業務内容)→ 臨時的なものとまでは認められない。(最後の雇用契約更新時)→ それまでの午前勤務とは異なり、午後5時までの勤務時間に変更 → 本件有期雇用契約による雇用継続に対するY2の期待は合理性があると推認(本件雇止め)→ 解雇権濫用の法理が類推適用される。
① 当該雇用の臨時性・常用性
② 更新の回数
③ 雇用の通算期間
④ 契約期間管理の状況
合理的な理由の判断 :Y1の組合活動は態様において違法 → X2が損害を被っている。→ Y2は、X2会長としての立場で主体的に組合活動に関与している。→ 合理的理由に基づくものとして有効
この頃、言い訳ではないですが、忙しすぎて、死んでました。
さて、桜も咲くころとなり、組合活動も騒がしくなるころではないでしょうか。
今回は、組合活動にまつわる判例を紹介させて頂きます。
長文過ぎてごめんなさい。
(事件概要)
平成20年12月16日、X2は、枚方工場の一部を一時休業(結果)→ 会社都合による休業が生じるようになった。(自宅待機を命じられたパート従業員に対して)→ 労基法26条所定の休業手当の支払いをしていなかった。(21年3月17日)→ Y1は、X1大阪支店を訪れ、X2での組合結成が公然化したので親会社としてX2を責任を持って指導するよう要求 → X2にも、Y2の組合活動が公然化したことを話し、団交申入書、分会要求書などをX2に交付(平成21年4月3日)→ 同月20日に、X2とY1との間で第1回目、第2回目の団交が開催(第2回目)→ Y1からX2に対し、「①会社は、労働基準法・労働組合法などの諸法律を順守する、②会社は、第1回団交開催が遅れたことと職場内にて当方組合員に対し不当労働行為を行ったことに対し深く謝罪する、③会社は、当方組合員の未払い賃金を4月25日に支給される給料に加算して支払う」事などを確認事項とする協定書が提案(上記②については応じれない旨の回答)→ その後同年6月30日に行われた第3回団交においても、結局、不当労働行為に関する謝罪文言について合意が整わないまま、交渉が終了(平成21年4月24日)→ X2は、Y2に対し、4月分の給与に加算して、休業手当として時給の6割分の11万4,580円(同年6月25日)→ 6月分の給与に加算して、休業手当の支払いが遅れたことによる遅延損害金6%全額として442円をそれぞれ支払った。(平成21年7月6日から同年8月7日)→ Y1は、数度にわたって、Y1の組合員ら1名から60名でX1大阪支店やX2枚方工場を訪れる。→ 抗議活動や街宣活動を行う。(同年7月16日にX1大阪支店を訪れた際)→ 協定書に同意しなければ不買行動も含めて行動範囲を広める旨宣言(抗議活動)→ X1らの従業員などに対して大きな罵声を浴びせ、問い詰めたり、怒鳴ったり、同人らがいる期間、X1ら従業員の職務遂行が妨げられるような態様(街宣活動)→ 同年7月24日の午前中に行われたものの他はすべて、X1大阪支店およびX2本店が所在するビル付近路上で行われ、Xらを非難する内容のもの(平成21年8月18日午前6時40分頃)→ Y1は、X1大阪SSのセメント輸送業務を委託されていたI運送の子会社であるJ社の同SS駐在所長に対し、Y1と共同歩調を取るよう通告 → I運送の代表取締役あての要請書を提出(同要請書)→「違法行為を繰り返すX2に対して資材運搬納入する企業として、指導要請をして頂きたい旨の要請」「貴社が当組合の要請事項について合理的な理由なく拒否する場合については違法業者X2を擁護・荷担しているとみなし、合法的な手段を講じることを申し添えておきます」との記載 → Iは、「16年仮処分決定」にかかるY1の行動やY1のこれまでの強硬な活動歴など(Y1の上記要請に反した行為を行った場合)→ 自らが攻撃の対象となり、事業の遂行に重大な支障が生じるのではないかとの疑念(平成21年8月18日)→ X2に対し、セメントを納入できない旨の連絡(翌19日以降同年9月25日までの間、ほぼ毎日、概ね午前7時前後から午後4時ころまでの間)→ X1大阪SS付近において、一人または数名の組合員で乗用車などを停車 → 同SSに出入りする車両の監視活動を繰り返すとともにX2付近において(同月19日以降同年11月10日までの間、ほぼ毎日、概ね午前中から午後4時ないし午後7時ころまでの間)→ 同様の監視活動を繰り返した。(同年8月28日および同年31日)→ X2の周囲を自転車で周回し、同月28日の周回時には同署に待機していたY1らと言葉を交わす。
<甲事件>
原告X1社および、同社の100%子会社のX2社が、被告Y1組合らの業務妨害行為により、X社らの所有権または営業権ないし人権などを侵害された。→ Y1および、X2分会の分会長で分会長で同分会の唯一の組合員であり、X2の期間従業員であったY2(①)→ 業務妨害行為の差止めを求める。(②)→ 不法行為に基づいて損害賠償の支払いを求めた。
違法性 :労働組合の行動ないし団体行動も、その目的だけでなく、その手段・態様においても社会的に相当と認められて初めて正当なものとして法的保護の対象(これを欠くような労働組合活動ないし争議行為)→ 正当なものではなく法的保護の対象から外れ、違法との評価を免れないとの判断枠組み(抗議活動、街宣活動、Xらの出荷業務を妨害する活動)→ その態様のみならずその意図も明確に同業務妨害などを意図して上記一連の行為を行っていたことが推認 → 社会的相当性の範囲を超えた違法なものと言わざるを得ない。→ XらのY1らに対する業務妨害行為の差止め請求及び不法行為に基づく損害賠償請求 → Y1のXらに対する上記一連の組合活動は、態様において社会的相当性の範囲を超えた違法なものと言わざるを得ない。→ XらのY1らに対する業務妨害行為の差止め請求及び不法行為に基づく損害賠償請求(認容額:合計1,602万余円)がともに認容
組合活動の目的に関する正当性 :Y2は、Y1の一連の行動を認識、認容し、自らもY1の監視活動を分担(一連の出荷妨害行為)→ 単なる位置組合員ではなく、重要な立場として参加していたことが推認(一連の違法行為)→ Y1と連帯して責任を負うというべき(X1の損害額)→ 合計523万余円(X2の損害額)→ 合計1,078万余円をそれぞれ認定 → Xらの差止請求を全面的に認容
差止請求とは :ある者が現に違法または不当な行為を行っている場合や行う恐れがある場合において、当該行為をやめるよう請求する権利 → 各法令に規定のあるもののほか、解釈上認められるものもある。
<乙事件>
Y2がX2に対し、Y2に対する雇止めについて、解雇権濫用法理ないし同法理が類推適用される。→ 同雇止めが正当化されず無効(雇用契約に基づいて)→ 雇用契約上の権利を有する地位の確認、同地位に基づいて未払い賃金などの支払いを求めた。
本件雇止めの解雇権濫用法理の類推適用 :Y2に対する雇用契約の更新手続きの回数は3回に過ぎず、各契約更新時にそれにかかわる雇用契約者は作成されたことはないが、X2からY2に対し雇入通知書が交付 → Y2とX2との間の有期雇用契約が期間の定めのない雇用契約と実質的に同視することができる状態になったと認めることはできない。→ 本件雇止めには解雇権濫用法理は適用されない。(しかし)→ 解雇権濫用法理が類推適用されるためにはY2に対する同雇用契約について更新に対する期待利益に合理性があることが必要
合理性の有無 :雇用継続の期待を持たせる言動・制度の有無などを総合考慮し、これを決するのが相当(3回の各契約更新時)→ Y2との間で雇用契約が作成されたことはない。→ Y2との面談も実施されておらず、概ね更新日に雇入通知書がX2からY2に交付されていたに過ぎない。(業務内容)→ 臨時的なものとまでは認められない。(最後の雇用契約更新時)→ それまでの午前勤務とは異なり、午後5時までの勤務時間に変更 → 本件有期雇用契約による雇用継続に対するY2の期待は合理性があると推認(本件雇止め)→ 解雇権濫用の法理が類推適用される。
① 当該雇用の臨時性・常用性
② 更新の回数
③ 雇用の通算期間
④ 契約期間管理の状況
合理的な理由の判断 :Y1の組合活動は態様において違法 → X2が損害を被っている。→ Y2は、X2会長としての立場で主体的に組合活動に関与している。→ 合理的理由に基づくものとして有効
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