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裁量労働制と安全配慮義務

平成25年1月31日、本日は子供の誕生日のため、午後5時に帰宅。本当に忙しい一日でした。

さて、本日の判例は裁量労働制で業務命令による時間外労働でなかった場合に、安全配慮義務違反を免れることができるのかが、争点となっています。

内容としましては、当たり前の結論になっているとは思いますが、裁量労働を用いている事が一つの特色であったと思います。



(事件概要)
脳出血により33歳で急死したコンピューターのシステムエンジニアの遺族が、長時間の過重労働が原因の死亡であり、会社は社員の健康状態を配慮すべき義務を怠っていたとして総額約9,000万円の損害賠償を求めた。
(判決)
被告会社に賠償を命じたが、死亡した社員の側にも、精密検査や医師の治療を受けるなど健康の保持に配慮しない落ち度があった。→ 賠償額を2分の1とした。
(裁量労働)
入社以来、年間総労働時間が平均3,000時間を超え、特にプロジェクトのリーダーとなって以後過重な勤務に服し、死亡前1週間の1日の労働時間は平均11時間を超えて「慢性的に」過労状態にあった。→ 業務と脳出血発症との間に相当因果関係を求めた。
業務命令による時間外労働ではなかったとしても、厳しく納期遵守が求められている業務に就かせている以上、安全配慮義務を免れない。(安全配慮義務)→ 持続的な精神的緊張に伴う過重な業務に就かせないとか、業務を軽減するなど
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専門型裁量労働制

平成25年1月30日、明日は遂に子供の1歳の誕生日です。
去年の今頃は本当に大変だったことを覚えています。
日が経つのは早いものですねえ。

さて、本日の判例は、専門型裁量労働制についてです。

来週、お客様の所でお話をする材料になればと思いまして判例を読んだのですが、思いの外、厳しい判例でビックリです。



(事件概要)
Xには、専門型裁量労働制に関する労使協定は適用されず → 時間外労働、休日労働および深夜労働に対する割増賃金(108万6,821円)と、割増賃金と同額の付加金、ならびに不法行為による損害賠償として金60万円の支払いを請求
(ア) 専門型裁量労働制 :月間出勤管理簿に毎週2回以上の休日予定日を記載してYに提出
(イ) 就業規則 :専門型裁量労働制に関する定めがある。
(ウ) 労使協定 :東京の所轄監督署に届け出られたが、大阪開発部を所轄する労基署に届け出られてはいなかった。
(争点)
① 専門型裁量労働制に関する本件の労使協定が適用されるか :専門型裁量労働制にかかる合意が効力を有するためには、使用者は、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、専門型裁量労働制にかかる書面による労使協定を締結し、それを行政官庁に届け出なければならず(労基法38条の3第1項、同条第2項)、適用の単位は「事業場毎」とされている。また、ここにいう事業場とは、「工場、事業所、店舗などのように一定の場所において、相関連する組織の基で業として継続的に行われる場」と解するのが相当(労使協定)→ 大阪開発部には効力を有しないと解するのが相当 → Xに対しては裁量労働制の適用がない
② 不法行為責任 :専門型裁量労働制が適用されるとして対応してきたことについては、不法行為と認められる程度の違法性はないとしてこれを退けた。

休職期間満了による退職

平成25年1月29日、この頃仕事が忙しすぎて、ろくに勉強ができていない自分を少し恥ずかしく思っています。

さて、今回の判例ですが、私傷病による休職に該当するか業務災害による労災事故か、今回のような「うつ病」では、実際の現場でも頭を悩ませる事があると思います。

今回の判例では、業務災害に該当しましたが、その考え方も勉強になると思いました。 




(事件概要1)
Xは出勤したが体調が悪く、勤務先医師の診察を受けいったん帰宅 → 同日午後8時ごろ、出勤時間を誤って出勤 → 体調不良の様子だったので残業中の看護師Gが血糖値を図り、Xの希望もあって救急車で別の病院へ搬送 → 同年7月9日まで入院し、同月26日まで休職 → (ア)から(ウ)より不法行為(使用者責任)または安全配慮義務違反に基づき損害の賠償を求めた。
(ア) 休職期間満了による自然退職の効力を争い
(イ) 労働契約上の権利を有することの地位の確認
(ウ) Xが職場の上司および同僚からハラスメントを受けたことによりうつ病に罹患し、休業を余儀なくされた。
 既往症 :糖尿病があり、入院当時、インシュリンを使用していなかった。
 適応障害によるうつ病状態 :傷病手当の申請などについて書面を郵送 → 合計243万円を受領
 職場復帰交渉 :担当医に復職可能時期などについて照会 → 不明とする診断書が提出(東大阪労基署長)→ 不支給決定(医師の見解)→ 発症原因は職場でのいじめや職場のパワハラ等
(争点)
① 業務上の疾病に当たるか否か :就業規則9条1項1号及び2項の「私傷病」とは、解雇制限の対象となる業務上の疾病でない場合をいうと解すべき(業務上の疾病とは)→ 労働災害補償制度における業務上の疾病かどうかと判断を同じくすると解される。→ 内在する危険を現実化したと認められ、相当因果関係にあることを要するとするのが相当
② 一連の説得活動により発症したものと認められるから、業務に内在する危険が現実化 → うつ病は「業務上」の疾病と認められる。→ うつ病が私傷病であることを前提とした自然退職は認められないというべき → Xの雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認の請求は理由がある。
③ Yの不法行為責任ないし安全配慮義務違反の有無 :Xのうつ病発症について不法行為責任を負うとして、Xの請求を認容(「糖尿病性ケトアシドーシス」による入院・休業についての安全配慮義務)→ Xが糖尿病の既往症があった事、インシュリンを使用していなかった事 → 長期の入院と休業を余儀なくされた原因は主にX側にあるというべき
 民法715条1項(使用者等の責任) :ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
④ Xの被った損害の内容及びその額の4点 :不法行為と相当因果関係のある損害は、治療費、交通費、休業損害および慰謝料など合計640万6,573円であると判示し、その余の部分についてはXの請求を棄却
(うつ病の原因)
Xは、同年9月7日付でB1労組に対し脱退届を提出 → Iは、XがIに加入したことを伝える。→ I合同労組は、Bに対し嫌がらせやパワハラの防止に関する経営責任などの団交を申し入れた。→ 4回それぞれ45分から2時間程度、B1の組合員らは、Iに加入したことについてXを非難 → 脱退するよう説得(その際)→「ここの経営は組合がしてる」「これも業務のうちや」(説得活動)→ XがB1から脱退し、Iに加入した状態を続けた場合にはBで就業し続けることが困難となる可能性も示唆 → 職場での進退を迫られる状況であったことが認められる。→ 一連の説得活動は、Xに対し強い心理的負荷を生じさせたもの
 説得活動 :いずれの説得活動もBセンター内で、就業時間中ないしそれに近接する時間内に行われている。→ 2回の話し合いには、Yの理事が2名出席している。(一連の説得活動)→ Yの支配下において行われたもの → 業務関連性が認められるというべき
 過失相殺 :精神疾患の既往歴がない。うつ病を発症させる要因があったとは認められない。

重大な規律違反による普通解雇

平成25年1月10日、今日は誕生日祝いをしてもらいました。正月から食べ通しでどんどん太っていく自分に少し恐怖です。

さて、本判例ですが、普通解雇です。

客観的合理的な理由が争点となりますが、注意を繰り返したというところに焦点が置かれています。

普通解雇は解雇理由がしっかりしている場合にも、繰り返し注意を促すことが重要という事でしょうか。





(事件概要)
Xに対し、平成21年4月4日、退職勧告を決定(同年5月28日)→ 職員就業規則35条3号(普通解雇)に該当するとして、同年6月27日付でXを解雇する旨の意思表示 → Xが、Y漁協によるXの普通解雇は、解雇権を濫用したもので無効
① 労働契約上の権利を有する地位にあることの確認
② 未払い給与及び賞与として、293万6,856円および遅延損害金の支払い
③ 将来分の給与として、24万4,738円の支払い
④ 不法行為に当たるとして、慰謝料100万円及び弁護士費用10万円及び遅延損害金の支払い
⑤ 未払賞与183万5,535円および遅延損害金
⑥ 将来分の賞与の支払い
⑦ 未払分の自販機ほか管理手当の支払い及び遅延損害金
⑧ 将来分の自販機他管理手当支払い
(経緯)
(1) Y漁協は、兵庫信用漁業協同組合連合会から、貯金の入出金、貸付業務の取次ぎ等の業務の委託 → Xは、実父F1から、義兄F2名義の口座に入金された役員積立返還金をF1名義の口座に振り替えてほしいと依頼された。→ Xは、それまでにも、F2の指示がないのに、F2名義の口座に入金された金員をF1名義の口座に振り替えたことがあった。→ F2の承諾を得ることなく、役員積立返還金相当額34万円をF2名義の口座からF1名義の口座に振り替えた。→ F2は、自らの貯金口座から無断で貯金が引き落とされていたことに憤慨し、Yに対して強い口調で抗議
(2) Yは、役員積立金をF2の口座に戻すよう指示するとともに、職場で他の職員と話をしなくなった理由を尋ねた。(同年10月17日、作業に伴うトラブル)→ Xに対し、他の職員とよく話をして仕事をするように注意(平成21年2月13日頃)→ Xに対し、職場における態度を改めるように注意 →「ほっといてくれ」などと強く言い返したため、Yもそれ以上の指導は無駄であると考えるようになった。
(判決)(経緯)は重大な規律違反行為 → Xの行為は、Yの信用業務に対する信頼を著しく損ねたもの(下記の内容)→ 改善が期待できないものと判断したことはやむを得ない。→ 客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当として是認することができる。
 3回にわたってXに注意をしたにもかかわらず、Xは聞き入れようとしない。→ 2回目の注意を受けた際には反発して午後には家に帰った。→ 3回目の注意を受けた際には、「ほっといてくれ」などと強く言い返して勤務態度を改めようとは全くしなかった。

派遣労働者の雇止め

平成25年1月10日、本日は私の誕生日です。この頃、誕生日が来てもうれしい気分にならないのは、段々年を取ってきた証拠でしょうか。

さて、今回の判例は、今話題の派遣労働についてです。

派遣法の改正前の判例ですので、今後の動向とは多少異なるとは思いますが、改正前の判例としてはオーソドックスな判決が下されていると思います。






(事件概要)
Y社に派遣労働者として派遣される形式で就労していたX1とX2 → X1につき平成21年3月31日、X2につき同年5月31日をもってそれぞれ雇止め
(訴え)
① Xらの雇用主は実質的にはYであり、黙示の労働契約が期間の定めのないものとして成立 → 雇止めは解雇権の濫用であって解雇は無効
② Xらについて偽装派遣ないし偽装請負の契約形態で就労 → 何ら客観的な合理的理由なく不当に解雇 → 多大な精神的苦痛を与えたとして、慰謝料300万円などを請求
(判決)
 X1とは偽装請負、X2は実態として労働者派遣であったことは間違いない。→ XらとYとの間に黙示の雇用契約が成立するといえる事情は、未だ認めるに足りない。
 不法行為の成否 :意図的に労働者派遣法の潜脱を狙い、企業として大々的に業務偽装を行っていた。(X1,X2)→ X1につき100万円、X2につき30万円の慰謝労の支払いを命じた。
X1 法的に雇用主の立場にないとはいえ、著しく信義にもとるもの → ただでさえ不安定な地位にある派遣労働者としての勤労生活を著しく脅かすもの → 派遣先として信義則違反の不法行為が成立
X2 自らの落ち度によって生じた違法派遣状態を何等の落ち度もない派遣労働者に一方的に不利益を負わせることによって解消を図ろうとする恣意的なもの → 違法派遣状態の継続から突然の派遣切りという事態となった事について何らの説明もせず、道義上の説明責任を何ら果たそうとしなかった。→ 派遣先として信義則違反の不法行為が成立

非違行為と退職金の不支給

25年1月9日、遅くなりましたが、皆様、明けましておめでとうございます。本年もブログを拝見頂ければ幸いです。

正月は食べ過ぎで2キロ増えてしまいました。

さて、今年初めの判例は、僕の顧問先でも問題になった事のある退職金についてです。

懲戒解雇をした場合に、退職金を支払わないのは実際に問題とならないのか?

こちらの判例では、全額不支給処分を取り消しております。

細かく説明してくれているので、分かり易い資料としても使えると思いました。




(事件概要)
京都市教育委員会が京都市立中学校教頭であった原告Xに対し、Xが酒気帯び運転をしたことなどを理由として、懲戒免職処分及び一般の退職手当の全部を支給しないことを内容とする退職手当支給制限処分を行う。→ 懲戒免職処分についてはやむを得ないとしながらも、本件処分については裁量権の濫用である主張 → 本件処分の取り消しを求めた。
 本件非違行為 :Xは、道路交通法違反(酒気帯び運転)の罪で起訴 → 罰金50万円の略式命令を受けた。(平成22年○月18日未明)→ 京都市教育委員会に発覚(同月19日)→ 新聞などで報道
(争点)退職手当の法的性格、および、退職手当支給制限処分の審査方法
 法的性格 :アからウが統合した複合的な性格を有している。(本件)→ 算定基礎賃金に勤続年数別の支給率を乗じて算定、支給率がおおむね勤続年数に応じて逓増(自己都合退職の場合)→ 支給率を減額
ア 沿革としての勤続報償
イ 賃金の後払い
ウ 退職後の生活保障
 退職手当支給制限処分 :全部または一部を支給しない処分をするに当たっては、(1)から(5)を勘案すべき(審査方法)→ 退職手当管理機関の裁量権の行使に基づく処分が社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべき
(1) 職務及び責任
(2) 勤務の状況
(3) 非違の内容及び程度
(4) 非違に至った経緯
(5) 公務の遂行に及ぼす支障の程度ならびに非違が公務に対する信頼に及ぼす影響
 懲戒処分と退職手当支給制限処分の関係 :賃金の後払いとしての性格を有することに照らす場合 → 懲戒免職処分を受けて退職したからといって直ちにその全額の支給制限まで当然に正当化されるものではないのは明らか → 全額の支給制限が認められるのは、非違行為が、退職者の永年の勤続の功を全て抹消してしまうほどの重大な背信行為である場合に限られる。
(判決)①から③より、退職手当が相応に減額されることはやむを得ない(④から⑧)→ 本件非違行為が永年の勤続の功績を全て抹消するほどの重大な背信行為であるとまでは到底言えない。→ 社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる。→ 本件処分を取り消した。
① Xの飲酒量が多く、非違行為が極めて危険かつ悪質
② 夫婦関係の不和という動機に酌量の余地は皆無
③ 中学校教論で且つ管理職の立場 → 本件非違行為が職務に与える悪影響は大きい
④ 27年間教員として勤務 → 学校教育に多大な貢献 → 本件懲戒処分を受けるまで処分歴はない。
⑤ 本件非違行為は酒酔い運転ではなく酒気帯び運転
⑥ 職務行為とは直接には関係のない私生活上のもの
⑦ 事故の結果も幸い物損
⑧ 示談をして被害弁償を行っている

退職後の割増賃金の請求

平成25年1月6日、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。

今年は年明けから子供に初のスキーを体験させてきました。

すごく楽しかったのか、帰るときに難儀しましたが、喜んでもらえて何より。

さて、今年初めの裁判判例です。

本当に簡単な判例ですが、こういう当たり前の判例が意外に実例としては良いと思いました。

労務管理を怠っている企業が多い中で、怠った企業がどれだけの追加請求を被るかが詳しく描かれております。




(事件概要)
同年7月15日付でY社を退職 → XがYに対し、(1)雇用契約に基づき、平成20年3月16日から21年7月15日までに発生した未払割増賃金および遅延損害金ならびに(2)上記未払割増賃金と同額の付加金及び遅延損害金の未払いを求めた。
 労基法32条 :労働時間とは「労働者に実際に労働させる実労働時間、すなわち「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいう」(判断)→ ①から③を総合考慮したうえ、社会通念に照らし、客観的にみて、当該労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かという観点から行われるべきもの → 労基法32条2項違反に基づく時間外割増賃金は発生しないものというべき
① 当該業務の提供行為の有無
② 労働契約上の義務付けの有無
③ 義務付けに伴う場所的・時間的拘束性(労務の提供が一定の場所で行うことを余儀なくされ、かつ時間を自由に利用できない状態)の有無・程度
ア 開始時 :勤務パターンは明確にされていなかったが、Xは毎日午前5時頃出社して帰庫管理などに着手 → Yもこれを黙認せざるを得ない状況 → 午前5時であると認められた。
イ 終業時 :毎日午後5時くらいまで居残っていた。(内勤制度)→ 発足し確立していた本件請求期間内においてはXが居残る必要性は消滅 → Yの代表者はXに会う度毎に「早く帰ったらどうか」と退社を促していた。→ Xが午後5時頃までYの指揮命令下に置かれていたものとは言い難い。→ この時刻を実労働時間の終了時とすることは出来ない。
 割増賃金の計算 :週休2日制を採用(実態)→ 休日は週休1日(法定外休日の土曜日)→ 平日と同様に、午前5時頃出社し、8時間程度(本件請求期間70週中67週につき)→ 各週6.75時間の40時間超え時間外労働を行っていたものと認められる。→ 時間外割増賃金185万1,002円について請求を認めた。(残業手当5万円)→ 一部が充当されたものとして、Xが請求し得る賃金額は105万1,002円
 労基法114条(付加金の支払) :裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第6項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から二年以内にしなければならない。→ 付加金として50万円を認容するのが相当
ア Yは、使用者としてXについてもタイムカードないしは出勤簿等により出退勤管理を行うべき義務を負っていた。(しかし)→ これを怠ってきた経緯が認められ、かかるYの対応は労基法37条等の趣旨・目的に照らすと軽々に許されるものではない。
 労基法37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
① 使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
② 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
③ 使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
④ 第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
イ 裁判所としては、Yに対して時間外労働等に関する労基法の諸規定の順守を励行させるべく、制裁金たる付加金の支払いを命ずるよりほかない。
ウ 労基法41条2号の「管理監督者」とはいえないものの、それにかなり近い地位にあった時期もあった。
エ 在職中はもとより退職に当たっても上記残業手当のほかに割増賃金の存在を意識し、これを主張した事実がない。
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