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最低賃金及び未払賃金の支払請求

(参考文言)
退職時刻を翌午前9時とする協定が締結されていたが、同時刻より前に退職しても早退の扱いはされず、勤務を午前6時までとするシフト表を作成し公布していたことからすると、少なくとも本件請求期間に関しては、前期協定にかかわらずB勤務の退勤時刻はすべて午前6時とする合意が成立していた。

最低賃金を下回るものであったか否かは、Xらに支給された賃金の1時間当たりの額と最低賃金とを比較することにより判断される。

固定給及び歩合給からなるXらの賃金の1時間当たりの額は、

(固定給/1か月の所定労働時間の実数)+(歩合給/1か月の総労働時間)によって算出

(訴え)
賃金が最低賃金を下回っており、割増賃金の一部に未払いがある。

未払賃金の合計額及び遅延損害金の支払いを求め、賦課金及び遅延損害金の支払いを求める。
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配車減による賃金減額、割増賃金の算出


(重要文言)
労働時間の多寡が各従業員の収入の多寡に直結するという本件事情
Yが合理的な理由なく特定の従業員の業務の割り当てを減らすことによってその労働時間を削減することは、不法行為に当たる。
Xに対する配車の減少について、他の従業員に対する対応との均衡が問題であり、明らかにするための証拠が必要
慰謝料については、差額賃金が支払われることによって精神的損害も慰謝されるものと認めるのが相当
ある手当が時間外労働に対する手当として基礎賃金から除外されるか否かは、名称のいかんを問わず、実質的に判断されるべき

(経緯)
賃金月額が30万円を下らない金額となるよう仕事を与える合意があった
平成21年6月から22年6月まで :月額30万円を超えていた。
同年7月以降 :配車が減少、7月25万円、8月20万1,000円
9月以降 :20万円を下回っている。

(訴え)
① 賃金との差額
② 労基法37条所定の割増賃金を支払ってないとして47万9,075円

(労働条件)
時給制
平成21年5月から同年8月 :950円(基本額850円、無苦情・無事故手当100円)
同年8月から22年3月まで :980円(基本額880円、無苦情・無事故手当100円)
同年3月から同年9月まで :1,000円(800円、職務手当200円)
同年9月以降 :980円(784円、196円)
*職務手当は残業代を含むものとして支給

(判決)
契約書では、「Xの賃金は時給制とし、かつ、勤務時間は会社指定時間、休日は会社指定日とすることが定められており、一定の月収を保証する趣旨の規定もない」
「YがXに対する配車を減らした結果、Xの月収が30万円を下回ったとしても、そのことが債務不履行に当たるということはできない」

不法行為の成否
以下イ)からハ)の通り、不法行為に当たると認めるのが相当

イ) A1営業所全体の業務量の減少
他の業務の所管をB1からA1に移す余地があった。
従業員2名がB1に配転されていると指摘して、「A1営業所に所属するバス運転手1日ン当たりの平均の労働時間が減少したということもできない」

ロ) Xの勤務態度
Dから契約を打ち切られることを回避するために、YがXにDバスを配車しないようにしたことには合理的な理由がある。
A) Xに注意指導を行っている。
B) 改善の姿勢に乏しい。
C) D社から「最近、運転が荒いとのお声を多数お寄せいただいており、このままではリスク案件にもつながってしまう恐れがある」とのメールを受け取っている。

ハ) 他の従業員との均衡
明らかにするための証拠を提出していない。
Xに対する配車の減少は、他の運転手に対する対応との均衡を欠いていたものと認めるのが相当

割増賃金を算出するための基礎賃金の算定
バス運転手に支給される無苦情・無事故手当および職務手当は、時間外労働の対価としての実質を有しないものと認めるのが相当
(ア) 実際に時間外労働を行ったか否かにかかわらず支給される。
(イ) バス乗務を行った場合にのみ支給され、側乗業務、下車勤務を行った場合には支払われない。
(ウ) 専門的な職務に従事することの対価として支給される手当

違法な配転命令に対する無効確認

平成25年11月21日、やっと色々と落ち着き、今日からまたまた再開します。
よろしくお願いいたします。


(ポイント)
配転命令 :長期間(本判決は20年)にわたり、問題視していないと難しい
賞与請求権 :支給すべき金額を定めることにより初めて具体的権利として発生するものと解される。しかし、不法行為に基づく損害賠償請求として支払う可能性がある。


(これまでの判決の引用)
配転命令 :業務上の必要性がない場合または業務上の必要性がある場合でも不当な動機・目的を持ってされたものである時もしくは労働者に対し通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものである時など、特段の事情のある場合でない限りは、権利の濫用にならない。

(判決)
① 配転命令 :必要性とは別個の不当な動機および目的によるものということができ、権利の濫用として無効
A) Yは長期間(20年程度)にわたりXの業務成績を問題視していなかったのであるから、本件配転命令当時、Xは総合職としての適性および能力を欠いていなかったものとされる。
B) 退職勧奨を拒否したことに対する報復として退職に追い込むため
C) または合理性に乏しい大幅な賃金の減額(2分の1以下)を正当化するためと推認

② 配転命令および降格命令に伴う賃金減額の無効
降格命令は、権利の濫用として無効
平成23年2月以降分の賃金差額についての支払いを命じた。
賞与の請求権は、現実の支給額である7万円を上回る額の支給を決定したことを認めるに足りる証拠はないとして、支払い請求が棄却

A) 降格命令の前提となる配転命令が権利の濫用として無効
B) 従前YはXの総合職としての適性を問題したことはない。
C) 本件配転命令に伴って突然に降格命令

③ 不法行為に基づく損害賠償請求
慰謝料(50万円)の支払いが命じられた。
賞与査定は民法709条の不法行為を構成する。
損害額は、仮に総合職として正当に考課査定を受けたならば、基準額に業績係数および「査定係数の下限値である0.6」を乗じた金額を算出
社長により調整がなされることを考慮して、算出額に8割を乗じた額

降格命令
A) 配転命令は、社会的相当性を逸脱した嫌がらせ
B) 人格権を侵害するものであって民法709条の不法行為を構成する。

賞与
A) 総合職ではなく、運搬職として賞与額の決定をしたこと
B) 使用者としての裁量権の範囲を逸脱したもの

民法709条(不法行為による損害賠償) :故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
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