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酒気帯び運転・不申告を理由とする懲戒処分等の取消請求

(重要文言)
退職手当管理機関が退職手当等の全部または一部の支給を制限する処分をするにあたっては、
① 当該退職をしたものが占めていた職の職務及び責任
② 当該退職をしたものの勤務の状況
③ 当該退職をしたものが行った非違の内容及び程度
④ 当該非違に至った経緯
⑤ 当該非違後における当該退職をしたものの言動
⑥ 当該非違が公務の遂行に及ぼす支障の程度並びに当該非違が公務に対する信頼に及ぼす影響
を勘案すべき

(事件概要)
酒気帯び運転及びその不申告を理由として免職処分及び一般の退職手当などの全部を支払わないとの処分

(判決)
本件免職処分及び本件不支給処分は、いずれもYの裁量権の範囲を逸脱しておらず適法。
Xの請求をいずれも棄却

① 公務員の退職手当が勤続報償としての性格を基調としている。
② 飲酒運転撲滅に向けた社会秩序の強い要請の下

YがXの退職手当の全部を不支給処分にしたことがその裁量を逸脱濫用したものとまでいうことはできない。
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雇用契約と業務委託契約の判断基準、時間外手当の算定基礎など

(重要文言)
<雇用契約と業務委託契約の判断基準>
(雇用)使用者が所定労働時間内の労働者が従事する業務内容を決定できるのに対し、
(委託)一定の業務を委託し、当該委託業務を行うことの対価としての報酬が定められているもの
委託者が受託者に対し当該委託業務の範囲外の業務を一方的に行わせることはできないし、当該委託業務の範囲外の業務を行う場合の対価の有無及び額は委託者と受託者との間において別途決定する必要があると解される。

<割増賃金の算定基礎>
① 限定列挙されたいわゆる除外賃金に実質的に該当するもの
② 時間外手当の弁済として支払われてもの(いわゆる固定残業代を含む。)
を除き、労務の対価として支払われた金員が含まれる。
(本件)
評価給およびインターン手当について、臨時に支払われた賃金に該当する部分がいくらで、時間外手当に該当する部分がいくらであるかが特定されていない。

<時間数>
営業開始時刻の10分前、営業日でない日の月例ミーティングのある日はその開始時刻を始業時刻と認め、退勤時刻については、営業終了時刻の30分後などの時間が設定

<管理監督者性>
① 事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を認められていること
② 労働時間について裁量権を有していること
③ 従業員に比してその地位と権限にふさわしい賃金上の処遇を与えられていること


(事件概要)
Y社に移籍した場合の役務提供契約として、「一般」「特級」「インターン」の3種類の契約があることを説明
「インターン」契約は、将来の独立を前提として、
① 必ず店長として店舗を委託
② ノウハウの伝授など経営者教育が行われ
③ 勤怠管理がなく
④ 雇用保険や社会保険には加入しない
⑤ 同契約を締結していたものが経営者としてフランチャイズ契約を締結する場合には、初期費用について一部免除
Xは、Yとの間で契約書は作成していなかった。

(訴え)
時間外手当、同額の付加金、不法行為に基づく損害賠償の支払いを求めた。

(判決)
委託業務の範囲が明確でなく、上記のような委託業務以外の業務などについてXに諾否の自由があったとはいえない。
役務提供契約は、雇用契約としての性格を有する。

Xが営業時間の定めがあるD店を一人で運営しているという事実に照らすと、少なくとも管理監督者に該当するというほどの労働時間についての裁量があるものと認められない。

派遣労働者に対する整理解雇

(重要文言)
具体的に、「整理解雇の有効性の判断に当たっては、人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性及び手続きの相当性という4要素を考慮することが相当である」

職務担当手当 :従業員が受託業務を担当した時、または、派遣社員として取引先にて派遣勤務した時に支給されるものと規定
待機社員に対して支払われるものではないと認めることができる。

赴任手当 :従業員が、会社の業務命令により、同居家族と別居して単身で勤務地に赴任する場合に、別居により生活費負担が相当増加すると認められるときに支給する場合があると規定

(訴え)
X(派遣法施行令4条の定める26業務中の、「研究開発」の技術者としての派遣に該当)が、Y社が平成21年5月31日付で行ったXを同年6月30日付で解雇する旨の意思表示は、整理解雇の要件を満たしておらず無効であると主張

Yに対し、Xが労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、同年7月1日以降の賃金の支払いを求めた。

(判決)
本件解雇の時点で、切迫性はともかく、Yに人員削減の必要性があったと認められること及びYの本件解雇を含む整理解雇に係わる従業員や労働組合に対する協議・説明が明らかに相当性を欠くとはいえない事を考慮しても、整理解雇の一環として行われた本件解雇は、本件就業規則19条6号の「経営上やむを得ない事由のあるとき」に該当すると認めることができない
本件解雇は無効

<人員削減の必要性>
支出の相当割合を占める人件費を削減することが求められていた。
人員削減の必要性が生じていたことは否定しがたい。

<解雇回避努力>
Yが整理解雇の実施に当たって削減人数の目標を定めていたかも明らかではない。
Yが、本件解雇当時、人員削減の手段として整理解雇を行うことを回避する努力を十分に尽くしていたとは認めることができない。

<人選の合理性>
整理解雇の対象となる核技術社員の有する技術や経歴などについて検討した形跡はうかがわれない等として、客観的な合理性を有していない。

<手続きの相当性>
次の通り、Xにとって必ずしも納得のできるものではなかったことが窺われるものの、Yが一定の説明および協議を行っていること
Yの対応が明らかに相当性を欠くとまではいうことができない。

 YとC組合(Xが加入)との団体交渉を経て一定の合意に達した。
 平成21年3月末時点における待機社員に対し整理解雇にかかる説明会を開催した。
 K課長が、同年4月及び5月の2度、Xに対し、整理解雇にかかる書類を渡すなどして経営状況が悪いために整理解雇を行う旨を説明したこと

職務担当手当・赴任手当は解雇時に待機社員であったXに支給されるべき手当であると認めることはできない。

国歌斉唱不起立に対する職務命令違反を理由とする懲戒処分の有効性

(重要文言)
<憲法19条違反>
卒業式という式典における慣例上の儀礼的な所作として国歌斉唱の際の起立斉唱行為を求めることを内容とする本件各職務命令は、Xの思想及び良心の自由を侵すものとはいえない。

<教師の教育の自由(憲法23条、26条)を侵害するか>
大学教育と異なり「普通教育では、児童、生徒の側に学校や教師を選択する余地が乏しく、教育の機会均等を図る上からも全国的に一定の水準を確保すべき要請があることなどからすると、普通教育において、教師の完全な教授の自由を認めることはできない」

(事件概要)
平成18年3月 X(平成16年4月から本件中学校で教員として勤務)は、国歌斉唱時の不起立は信用失墜行為であるから今後しないことなどの注意指導を受けた。
平成19年3月以降 各卒業式において規律及び国歌斉唱を行わなかったので、本件第1から4処分を受けた。
処分1 18年度について戒告
処分2 19年度について減給10分の1
処分3 20年度について減給10分の1
処分4 21年度について停職1か月
<本件各通達>
教職員が通達に基づく学校長の職務命令に従わない場合には、職務の責任を問われることを教職員に周知することとされていた。
「過去に非違行為を行い、懲戒処分を受けたにもかかわらず、再び同様の非違行為を行った場合は、量定を荷重する」と定められていた。

(訴え)
第1から3処分の取消と精神的苦痛に対する慰謝料などおよび遅延損害金の支払いを求めた訴訟(甲事件)
XがY(代表者・都知事)に対し、本件第4処分の取消と精神的苦痛に対する慰謝料などおよび遅延損害金の支払いを求めた訴訟(乙事件)

(判決)
第1処分に当たり、懲戒処分の中で最も軽い戒告処分を選択したことについては、社会通念上著しく妥当を欠くものとはいえず、懲戒権者としての裁量権の範囲を逸脱し、又は、これを濫用したものとして違法であるとはいえない。
第2から4処分に当たり、懲戒処分が加速度的に累積して荷重され、短時間で反復継続的に不利益が拡大していくことなどを勘案すると、戒告1回の処分歴があることのみを理由に第2処分として減給を選択したことは、裁量権の範囲を著しく超えるものとして違法と判断
各処分を選択したことについて、職務上尽くすべき注意義務を怠ったものと評価することは相当ではなく、慰謝料請求は退けられた。

解雇の有効性

(重要文言)
労基法9条の「労働者」とは、他人のために労務を提供し、その対価たる賃金などを得て生活するものをいい、これに該当するためには、法的従属関係すなわち労務提供全般にわたり使用者の一般的な指揮監督を受ける関係が存在していることが必要

(事件概要)
平成22年11月26日 乙山がY社代表清算人に就任
同年12月13日 Xの給与が他の従業員と比較して突出して高い(月額125万円)ことを不審に思った乙山は、Xに対し、退職勧奨と給与の大幅な減額を提案
23年1月26日 Xに対し、「労働条件変更申出書」を交付し、同月28日までに上記給与の減額に応じるか否かの回答を求めた。
同月28日 Yに対し、「回答および質問書」と題する書面を送付し、Yの回答期間を1週間としたが、1週間を経過してもYから回答がなかった。
同年2月4日 回答を求めるとともに、繰り返し雇用継続に向けた協議を行うことを提案
同年3月16日 Xが求めている協議に応じる姿勢を示さなかった。
同月31日 Xに対し、Yの就業規則45条1項4号5号に基づき、解雇する旨の意思表示をした。

(訴え)
解雇は無効であるとして、地位確認請求並びに当該解雇後の翌日である平成23年4月1日から本判決確定の日の属する月までの各未払い賃金と遅延損害金の支払いと、不当解雇を理由とする損害賠償金と遅延損害金の支払いを求めた。

(判決)
特段の事情が認められない限り、Xは、使用者たるYのために労務を提供し、その対価たる賃金などを得て生活するもの、すなわち労基法上の「労働者」に該当する。

Y社は一切の協議に応じようとはせず、Xが上記給与減額の申し出を全面的に受け入れる意思はないと見るや直ちに本件解雇を断行していることが認められ、Xは、少なくともYからの申し出に対する誠実対応義務に反する対応をしたとは言い難い。
解雇を認めなかった。

精神的不調を訴えて無断欠勤をした従業員への懲戒処分


(重要文言)
精神的な不調のために欠勤を続けている労働者は精神的な不調が解消されない限り引き続き出勤ないことが予想される。
「精神科医による健康診断を実施するなどした上で…、その診断結果などに応じて、必要な場合は治療を勧めた上で休職等の処分を検討し、その後の経過を見るなどの対応を採るべき」

(事件概要)
問題解決されたと自分自身が判断できない限り出勤しない旨をY社に伝えたうえで、平成20年7月末まで約40日間にわたり欠勤
Xは、就業規則に基づき、出勤命令違反として平成20年9月30日をもって本件処分を受けるに至った。
なお、Yは、本件処分に際して、Xに対して精神科医による健康診断などは実施していなかった。

(訴え)
Y社に対し、処分無効を主張して雇用契約上の地位の確認および賃金などの支払いを求めた

(判決)
「精神的な不調を抱える労働者に対する使用者の対応としては適切な者とは言い難い」
就業規則所定の懲戒事由を欠き無効

懲戒による給与減額の有効性

(重要文言)
労基法24条に基づき、使用者に生じた債権を持って労働者の賃金債権と相殺することは許されない。

(経緯)
昭和46年 Y社に入社
平成12年3月 Xの管理するダミー会社の預金口座に外注費として振り込ませるという不明朗な資金の流れが税務調査の対象
Xはその事実関係を大筋で認め、金額の使途については営業経費として使用した旨を述べた
平成12年5月19日 代表取締役およびその他の役員、顧問弁護士らで税務調査に対する対応について協議し、525万円9,000円、5,758万2,622円を弁護士名義の預金口座に送金
平成12年6月13日 本件仮差押命令(Y社は、Xが発注先会社に架空の請負代金として4億596万余円を振り込ませて費消したため、Yに対し同額の損害賠償義務があることを認める旨の念書を提出)
平成18年3月22日 謝罪文の提出がなければ懲戒を実施する旨の文書を交付。Xは本件開示行為につき、議事録が機密に該当するものではなく、またA社との人間関係を維持し、最終的にはYのためにやむを得ずに行った行為であるなどと反論
同年6月20日 月額3万円を役員会が解除決定する日まで減額するという内容の懲戒処分
平成19年3月28日 Xの座席が観察できる位置に監視カメラを設置
同年6月22日 Xの携帯電話をナビシステムに接続し、常時位置確認できるように設定。深夜、早朝や休日、退職後についても数度にわたり居場所確認を使用されている。
平成20年1月 Yを定年退職

(訴え)
<XがY社に対し>
① 6284万余円の預託金などの返還請求
② 減給の懲戒処分や謝罪文提出要求に対し不法行為又は使用者責任に基づく慰謝料請求
③ 監視カメラの設置、携帯電話のナビシステムの接続によるXの居場所の確認などに対し不法行為又は使用者責任に基づく慰謝料請求
④ 懲戒処分によってなされた賃金など減額分に対する差額請求など
⑤ 業務上の立て替え払い分に対する返還請求
⑥ 貸付金の利率に関して不当利得返還請求
⑦ 遅延損害金②から⑥の合計3,866万1,837円の支払い

<Y社がXに対し>
Xの背任行為により4億円余りの損害を被ったとして、既払い分を控除した3億余円の損害賠償及び遅延損害金

(判決)
原告Xが被告Yの顧問弁護士に送金した525万9,000円および5,758万2,622円につき、Xが主張する預託契約の成立が否定

Xの管理する複数のダミー会社の預金口座に外注費として振り込ませる方法によって蓄財した合計4億596万8,716円を、個人的な株取引などに費消し、Yに同額の損害を与えた。
Xは「労働契約上の債務不履行に基づく損害賠償債務を負担しているというべきである」が、その消滅時効は商法522条に基づき5年
H社関係の損害賠償請求権のうち「本件仮差押命令の請求債権5,000万円についてはその発令によって時効中断の効果が認められる」が、それ以外の部分は「消滅時効が完成したというべきである」

本件会議の議事録は、会社外部に開示することは予定されておらず、Xは、Y社内部で問題を解消する機会があったから、仮にK部長との信頼関係を維持するなどの目的があったとしても、その不当性は払拭されない。
「会社の機密を社外に漏らしたとき」という「表彰及び懲戒規定」に該当する。
社内手続きについても特段、違法・不当はうかがわれないから、本件減給処分は、客観的、合理的理由があり、社外通念上相当であるから有効

セキュリティー向上という本件監視システム設置の必要性が認められ、「ネットワークカメラによる撮影が、Xのプライバシーを侵害するということはできない」
行動の予定の入力指示についても不法行為を構成するものではない

Xの勤務時間外である早朝、深夜、休日、退職後の時間帯、期間」の居場所確認に限り、不法行為を構成するとし、慰謝料として10万円が相当であり、使用者責任を負う。

オペラ歌手の労働者性

(重要文言)
平成15年度に審査員を務めたC1とD1は専門家としての裁量に基づき契約メンバーの技能を評価したもの
試聴会における審査方法が社会通念上不相当であり、その結果に合理性がないとみるべき事情は認められない。

(訴え)
日本音楽家ユニオンに加入している合唱団員Gにつき、本件合唱団の契約メンバーとしてGを不合格としたこと、団交の申し入れに応じなかったことについて、不当労働行為として訴えた。

(判決)
本件不合格措置は、財団が不当労働行為意思を持って行ったものとは認められず、不当労働行為に当たらないから、ユニオンの請求は理由がない。

ユニオンと財団との間では、従前から、試聴会の在り方を含む契約メンバーの選抜について継続して話し合いがもたれているところ、契約メンバーは労働者であり、毎年試聴会による選抜を経て契約を締結してきているという実態がある以上、労働者の処遇に関する事項に含まれるというべきであり、これにつき財団には団交交渉応諾義務があり、拒否することには正当な理由はない。
プロフィール

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Author:roumutaka
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