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取締役の労働者性及び、管理監督者性

(重要文言)
<労働者に該当するか>
Xには終始一貫して基本給と役職手当という名目で対価が支払われており
雇用保険にも継続して加入している
取締役会、役員会議、経営会議において、実質的なオーナーとみられる乙山会長の指示を伝達する場にすぎなかった。

<労基法41条1項2号の管理監督者>
① 労務管理に関する指揮監督権限を認められているか否か
→ Yの経営方針を決める取締役会などの重要な会議に出席
乙山会長が決めた方針を伝達することが多かったとはいえ、取締役という地位で参加
Yの意思決定に一定程度参画していた

→ 採用や人事考課の権限など労務管理について権限が与えられていたわけではない
従業員の採用や出退勤の管理などを行う労務管理を行う権限を一定程度有していた。

② 自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有しているといえるか否か
→ 勤怠管理が義務付けられていたとはいえず、
Xの業務量に比して労働時間が不自然に長時間となっており勤務時間中に業務以外のことをしていた事情もうかがえる
労働時間に広い裁量を有していた

③ 一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金上の処遇を与えられているか否か
→ 基本給と役職手当を合計すると月額40万円から45万円の給与を得ていた。
Yの従業員は、月額20万円前後の基本給プラス2万円程度の手当を支給されていた。
一般授業院の基本給とくらえて厚遇されていた。


(経緯)
平成18年5月31日 取締役
19年6月5日 常務取締役
20年12月1日 専務取締役

<Xの賃金>
基本給 月額35万円(平成21年8月分から)→ 30万円に減額
役職手当 月5万円から10万円
それ以外の手当
総額 月額60万円


(訴え)
Y社を退職したXが、時間外割増賃金、休日割増賃金および深夜割増賃金および付加金の支払いを求めるとともに、
減額前の賃金と実際に支払われた賃金との差額の支払いを求めた。

(判決)
Xは労働者に該当する。
労基法41条2号の管理監督者に当たる。
時間外手当のうち深夜割増賃金部分に限り請求を認め
賃金減額の合意についてはその有効性を否定した。
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出向前の懲戒処分を出向先において行った場合の処分の有効性

(重要文言)
出向前に、就業規則に定められた休暇申請手続きを得ずにXが欠勤したことを理由として、出向先が行った減給処分につき、
出向中においては、Xは出向元との間の雇用関係に基づき服務規律に服するとともに、
出向先の勤務管理及び服務規律に服することになるのであるから、
出向先が出向元からの依頼を受けて出向前の行為についてXを懲戒処分することができる。

<使用者責任>
Y4が加えた暴行は、不法行為を構成するもの
Y4の行為はXの勤務時間中の態度を戒めるために行われ、
XとY4の個人的な関係に起因するものとは認められない
Y3社の事業の執行行為を契機とし、これと密接な関係を有すると認められ、
Y4の行為はY3社の事業の執行についてなされたものという事ができ、
Y4とY3社が連帯して賠償責任を負う

(事件概要)
乙事件
Y1社らに出向していたXが、Y1らがした懲戒処分の無効を主張して処分に基づき減額された賃金などの支払いを求める。

甲事件
Y1らの従業員から暴行行為を受けたとして、同従業員らに対し不法行為に基づき損害の賠償などを求めた。

(判決)
処分無効を前提とする減給請求などを棄却
Y4の行為によりXが被った損害は慰謝料と弁護士費用の合計5万5,000円について、Y3社とY4が連帯して支払うことを命じた。

降給・降格処分と解雇の有効性

(参考文言)
賃金が、労働者にとって最も重要な権利ないし労働条件の1つであることからすれば、
給与規定の定めが存するとはいえ、その変更を使用者の自由裁量で行うことが許容されていると解することはできず、
そのような賃金の減額が許容されるのは、労働者側に生じる不利益を正当化するだけの合理的な事情が必要
そのような事情が認められない以上、無効になると解するのが相当
合理性の判断に当たっては、
① 減額によって労働者が被る不利益の程度
② 労働者の勤務状況などその帰責性の有無及び程度
③ 人事評価が適切になされているかという点など
④ その他両当事者の折衝の事情
を総合考慮して判断

使用者は、人事権の行使として広範な裁量権を有するが、その人事権行使も、裁量権の逸脱、濫用に当たる場合には無効

降給処分及び降格処分の有効性を基礎づけることはできないことからすれば、
いわんやそれよりも重い処分である解雇の有効性を基礎づけることはできないのは明らか

通勤手当は、それが実費補償としての性質を有するから、現実の勤務がない以上、交通費分についての請求は理由がない

賞与はいずれもY1による査定に基づいて支払われたと解される。
差額賞与請求権が発生する根拠はなく、
本件解雇後は具体的な査定が存しない以上、賞与請求権が発生する余地はない。

(経緯)
平成20年2月頃 警備業務などを業とするY1に採用
東京営業本部営業開発部長に任ぜられ
同年3月以降21年2月まで 月額80万円の給与(交通費は別途支給)
平成21年3月27日支給分から 46万7,040円と交通費3万2,960円に減額
(給与減額1)
平成21年4月1日 関連3社を合併
同年11月 東京事業本部の組織変更
第一営業部の営業部長(降格処分1)
平成22年4月 独任官と称する地位に降格(降格処分2)
同年6月27日から 44万7,040円と交通費3万2.960円(給与減額2)
平成22年7月15日 Y2社長は、X1との面談の中で、このままの状態で雇用継続はできない旨述べた
退職するか、新しい営業部長の下で月給30万円の一営業部員として勤務するか、L図書館で警備業務に就くかを決めてほしいと述べた。
平成22年8月17日 本件訴訟を提起

(訴え)
X1がY1社の営業開発部長として就労してきたが、
降格処分を受け、営業開発部長から降格された後、解雇されたので、
上記降給、降格の各処分及び解雇がいずれも無効であると主張
Y1社に対し、営業開発部長としての雇用契約上の地位確認を求めるとともに、
減額分の差額賃金及び差額賞与の支払い並びに解雇後の賃金及び賞与の支払いを請求

(判決)
X1らの主張をほぼ全面的に認容

訓練中に死亡した隊員の遺族による損害賠償請求

(参考文言)
訓練には本来的に生命身体に対する一定の危険が内在している。
訓練の指導に当たるものは、訓練に内在する危険から訓練者を保護するため、常に安全面に配慮し、事故の発生を未然に防止すべき一般的な注意義務を負うというべき

(参考条文)
第724条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

民法724条前段にいう「損害及び加害者を知った時」とは、単に損害を知るにとどまらず、加害行為が不法行為である言雄も合わせ知ることを要する。

Xらが、損害及び加害者を知ったのは、早くとも本件委員会報告書などを入手した平成20年8月頃であるというべき
本件訴えを提起した22年8月3日の時点で、消滅時効が完成していたという事はできない。

(参考)
<近親者固有の慰謝料請求権>
【民法 第711条】
他人の生命を侵害した者は,被害者の父母,配偶者及び子に対しては,その財産権が侵害されなかった場合においても,損害の賠償をしなければならない。
交通事故による損害賠償請求権は,損害を受けた人,つまり,交通事故の被害者が取得するのが原則です。死亡事故の場合であれば,被害者の相続人の方が,その被害者本人に発生した損害賠償請求権を相続することになります。
したがって,被害者の方(死亡事故の場合は相続人の方)以外の方は,損害賠償を請求できないというのが原則論となります。
しかし,家族・親族・遺族も,大切な家族が交通事故に遭い,また最悪の場合にその家族を失うのですから,精神的苦痛が大きいことは当然です。
そこで,上記民法711条は,不法行為の被害者の近親者にも,(被害者から相続したものではない)被害者という家族を失ったことによる精神的苦痛による損害賠償を請求することができることを定めています。
これを,被害者の損害賠償請求に対して,「近親者固有の慰謝料請求権」と呼ぶことがあります。

(訴え)
Kの父母である原告Xらが、国Yに対し、陸上自衛隊員であったKが徒手格闘訓練中に意識を失って死亡したことについて、指導教官などに安全配慮義務を怠った過失があるなどと主張
国家賠償法1条1項(予備的に債務不履行)に基づく損害賠償を求めた。

(判決)
受け身の習熟度の低いKが、D士長の投げ返しに対して適切に受け身を取ることができず、頭部を打ち付ける危険性は十分にあったというべき
C3曹もかかる危険性を予見し得た。
Dに投げ返しを認めたCには、指導教官として負う注意義務に違反する過失があったものというべき
過失によりKを死亡に至らしめたという事ができる。
Yには国家賠償法1条1項に基づき損害を賠償すべき責任がある。

Kの逸失利益4125万余円
慰謝料2000万円
Xらに生じた固有の慰謝料各200万円

依命休職処分と休職期間満了による解雇の有効性

(重要文言)
<賃金請求権の額>
従業員規程に明確に定められ、各年度の額を一義的に算出することができる定期昇給及び勤務手当については、Xはこれを請求する権利を有する。
期末手当については、具体的数字を認めるに足りる証拠はないから、請求する権利を有するとは認められない。

本件休職処分後の賃金請求が認められることにより、その経済的損失はてん補されているというべきであり、その賃金相当額以上にYに対し損害賠償を命ずべき事由はない。

Yが、地方支部長、支部長などに対し、X依命休職する旨および依命休職期間満了により退職した旨通知したという事実は、いずれもYの判断ないし行為を述べるものに過ぎず、Xの品性、徳行、名声、信用などの人格的価値について社会から受ける客観的評価、すなわち社会的名誉を侵害する行為があったと認められない。

(訴え)
平成23年4月28日、Xに対してした6か月間の依命(命令のこと)休職処分は権利の濫用によるものであって無効
Y組合が前記6か月間の期間満了により退職としたことにも理由がない。

① 労働契約上の権利を有する地位の確認
② 本件依命休職処分の付着しない労働契約上の権利を有する地位を有する地位の確認
③ 労働契約に基づき、賃金及び期末手当及びこれらに対する遅延損害金の支払い
④ 違法な本件依命休職処分等の不法行為に基づき、損害60万円及びこれらに対する遅延損害金の支払い
⑤ Yが本件依命休職処分及び退職になったことをYの組合員に周知し、Xの名誉を棄損したとして、不法行為に基づく名誉回復処分として、Yの機関紙に謝罪広告を掲載することを求めた。

「組合従業員規定」
日常業務遂行に著しく不適と認められる者については、6か月以内の範囲で中央執行委員会の決定により依命休職とすることができる(6条B項)
依命休職期間が満了したときは退職とする(9条A項2号)

(判決)
本件依命休職処分は、その要件である「日常業務に著しく不適」という要件を欠くため不適法であり、無効

派遣従業員に対するパワハラ行為

(重要文言)
<従業員の不法行為>
派遣労働者という、直接的な雇用関係がなく、派遣先の上司からの発言に対して、容易に反論することは困難であり、
弱い立場にあるものに対しては、その立場、関係から生じかねない誤解を受けないよう、容易で、うかつな言動を慎むべき

<使用者責任>
Yは、Fらを正社員として使用するもの
不法行為は、Fら及びXが、Yの業務である本件労務に従事する中で、Yの支払い領域内においてなされたYの事業と密接な関連性を有する行為

<会社固有の不法行為>
派遣先は、直接の雇用関係を有する派遣会社と同様に、派遣労働者に対して、適切な職場環境を維持し、同職場環境につき、苦情申出がなされた時には適切かつ迅速に処理すべき一般的な責務を負担している。

(事件概要)
平成22年9月 Xは、派遣会社に対し、Fらからいわゆるパワハラを受けている旨申告
Yは、派遣会社から同申告内容の苦情申出を受けた。


(訴え)
Y社の従業員らから、いわゆるパワハラに該当する行為を受け、Yでの就労を辞めざるを得なくなったと主張
Yに対し、使用者責任及びY固有の不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料などの支払いを求めた。

(判決)
FらのXに対する不法行為があったと認める。
Yは、使用者責任を負う。
Fらに対して、本件苦情申出に至るまで、何らの指導、教育をしていなかったことから、
本件苦情申し出後、本件申請に至るまでの間、責任者による監視強化以外に、Fらを含むYの従業員らに対する事情聴取などの調査は行っていなかったこと、
同義務違反に基づく、Y固有の不法行為責任を認めるのが相当

(損害額)
悪質性が軽微とは言えないなどして 慰謝料50万円・弁護士費用5万円
Y固有の不法行為責任 慰謝料30万円・弁護士費用3万円

継続雇用後の雇止めの有効性

(重要文言)
労働時間の短縮に応じた社員を優先的に雇止めの対象から除外することは不合理であるとはいえない。
労働時間の短縮に応じる社員の人数や、その結果削減される労働時間数を踏まえて、最終的に雇止めを行うか否か、行うとして何人を雇止めするかの決定を行う予定であり、
労働時間の短縮に応じれば雇止めの対象から除外されることを事前に告知することは不可能
Aを含む期間雇用社員の中から雇止めがなされる可能性があることを認識していた。

(経緯)
業務量の削減に伴い、社員3名による1週当たり110時間分の労働力が余剰
3名程度の希望退職者の募集を行ったが、応じる者はいなかった。
労働時間の短縮及び担務変更に関する意向調査
(Aは労働時間の短縮には応じられないが、担務変更には応じる旨回答)
その結果を踏まえ、各人と個別面談
結果、3名合計で1週当たり12時間の労働力が削減
労働時間の短縮に応じた3名を除く20名の中から、雇止めを行う3名の人選を行う。
 最もスキル評価の低い者1名
その次に低評価を受けている4名のうち、長期雇用されているものを除外したうえ、
 年齢の低い者1名
 過去に懲戒処分歴を受けた経歴のあるA
の計3名の雇止めを決定

(訴え)
雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、
雇用契約に基づき、雇用お契約終了後の賃金及び賞与相当額
並びにこれらに対する遅延損害金の支払いを求めた。

(判決)
主張を退けた。

① 人員削減の必要性
多額の営業損失を計上し、人員削減の必要性があったことは明らか

② 雇止め回避努力
 正社員の超過勤務や祝日給の削減、
 期間雇用社員の超過勤務の削減
 時給制契約社員を対象として、希望退職者や労働時間の短縮に応じる社員の募集を行った。
雇止め回避のために必要な措置を執ったものとされる。

③ 雇止めの人選
人選には合理性があった。

④ 手続き
 人件費削減目標などが記載された書面を社員に交付し、説明
 希望退職者を募る内容の書面を提示し、説明
 労働時間の短縮に関してAの意向確認を行っている。
相当性を認めた。

ホームヘルパーの頸肩腕障害・腰痛症発症と公務起因性

(認定基準)
 「上肢業務に基づく疾病の取り扱いについて」(平成9年4月1日地基補103号)
頸肩腕障害と認められるのは
① 上肢等に負担のかかる作業を主とする業務に相当期間従事した後に発症したものであること
② 発症前に過重な業務に従事したこと
③ 過重な業務への従事と発症までの経過が医学上妥当なものと認められること
を満たす場合

 「腰痛の公務上外の認定について」(昭和52年2月14日地基補67号)
① 「腰部に過度の負担のかかる業務に比較的短期間従事する職員に発症した腰痛
② 当該職員の業務内容、作業態様、作業従事期間及び身体的条件から見て、当該業務に起因して発症したものと認められ、
③ かつ、医学上療養を必要とするもの」

 頸肩腕症候群等に関する専門検討会の報告書(平成9年1月・労働省)
頸肩腕症候群は頸肩腕部に対する過大な作業量、長時間・連続作業、過大な重量付加あるいは力の発揮を要する作業、不適切な作業環境などが促進要因と考えられる

 腰痛認定基準
非災害性の腰痛は筋・筋膜・靭帯等の疲労現象から起こるものと考えられる。

(重要文言)
公務上の災害といえるためには、公務と災害との間に条件関係が存在するだけでは足りず、相当因果関係、すなわち社会通念上、当該災害が公務に内在または随伴する危険が現実化したものと認められる関係がなければならず、
このような相当因果関係すなわち公務起因性は、
① 当該地方公務員の公務の内容・性質、
② 勤務状況、疾病の発症の経緯、発症前の健康状態、
③ 症状の推移と公務との対応関係、
④ 同種公務に従事するほかの地方公務員にかかる類似症状の発症の有無、
⑤ 疾病についての医学的知見
など、諸般の事情を総合して判断すべき

介護労働者に頸肩腕部及び腰部の痛みなどの症状を訴えるものが多いことを示す研究報告は多数存在し、
中には経験年数・解除人数が多いほど腰痛の訴え率が上昇することを示すものもある

Xの日常生活において、ホームヘルパー業務のほかに本件疾病の原因となるような事情の存在はうかがわれない

多くの人が罹患している一般的な疾病であって、治癒や改善の見込みがない疾病とはいえず、生命の危険を直ちに招来する性質のものでもないから、公務災害と認定されないこと自体がもたらす不安や焦燥は、およそ一般的
直ちに不法行為法上違法上の保護の対象になるとは言い難い

(条文)
行政手続法6条
申請者側に処分に至るまでの期間について予測可能性を与えるものとはいえ、行政庁に努力義務を課したものに過ぎず、あくまで処分の迅速で公正な処理を確保することを目的とするもの

(参考判例)
損害賠償請求事件(最二小判平3.4.26民集45巻4号653頁)
公務上外の認定処分の遅延が国家賠償法上違法であるといえるためには、公務災害の認定を申請した者がそれに対する処分の遅延により不法行為法上保護されるべき利益を侵害されたと評価できる場合でなければならない。

(事件概要)
平成8年7月15日 頸肩腕障害および腰痛症と診断
同月18日 休職
Xが休業に入った後の平成9年5月から11年9月までの間に、他のホームヘルパー合計10名が頸肩腕障害、腰痛症、腱鞘炎で休職
11年1月5日付 公務災害認定請求にかかる請求書を提出
17年12月6日付 公務外認定処分

(訴え)
Y(公務員災害補償基金)に対し、同処分の取消を求めた。
役6年11か月にわたり公務上外の認定を行わず、かつ、当初は本件疾病を公務外のものと考えていたにもかかわらず、Yの反対意見を受けてこれを翻し、誤って公務外との認定を行ったことにより、Xに多大な精神的苦痛を与えたと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払いを求めた。

(判決)
認定基準の趣旨を尊重して、総合考慮して判断するのが相当
公務の負荷の程度とXの症状との間に対応関係が認められること、Xと同種同様の業務に従事していた多くの職員がXと同様の疾病を発症していることが窺われ、このことは、Xの従事していた公務とXの疾病との相当因果関係を推認させる事情であるとして公務起因性を肯定し、これと異なる判断をしていたYの本件処分が取り消された。

慰謝料を求めたXの請求につき、退けられた。

契約社員の雇止め

(参考文言)
「全社的に人件費の削減を行っており」、余剰人員を他の部署、支店で「受け入れることも不可能な状況であった」から、雇止め回避のために相当の努力をしたという事はできる。

労働時間の短縮に応じたものと応じなかったものとが分かれた場合には、公社から優先的に雇止めを行っていくという一般的方針を告知すべき
そうして初めて、雇止めを回避する上での、労働時間の短縮のための真摯な説得、説明があったと評価できる。
一般的方針を説明していれば、B自身が労働時間の短縮に応じた蓋然性が高いし、他にも相当数の時給制契約社員が短縮に応じることにより、雇止めは回避できたというべき

(経緯)
平成19年1月9日 雇用期間を同年3月30日までとする非常勤職員として雇用
同年4月1日から同年9月30日まで
雇用期間が更新
郵政民営
平成19年10月1日より20年3月1日まで
Bを雇用
同契約は8回更新
平成23年9月30日 Y社の経営改善の必要上、人件費削減のために、雇用期間満了を持って雇止め
(事件概要)
平成23年3月時点、そのままの経営状態が継続すれば、数年以内に債務超過に陥る状況に至った。
「勤務日数、勤務時間の短縮に関する意思調査」
Bは、労働時間の短縮には応じられない旨回答
この調査により労働時間の短縮に応じると回答したものは4名であり、うち合意に至ったものは3名で、合計週12時間の短縮にとどまった。
Yは98時間の削減を達成するため、3名に対し雇止めを行う。
労働時間の短縮に応じた3名は、評価は低い者であったが、この3名を雇止めの対象者から除外
人件費削減を意図し、苫小牧支店においても、それまでの配置時間から週110時間の削減が必要であると判断
人事評価、勤続年数、年齢を考慮して、Bを含む3名を雇止め対象者に選定し、雇止め


<希望退職者の募集>
希望退職者が少ない場合には、期間雇用社員の皆様方の自支店内の配置換え又は勤務日数・勤務時間の短縮を実施することとなります。それでも調整がつかない場合は、雇用契約期間の満了日で退職して頂くことがありますので、事情をご理解いただき、ご承知おきください。

(訴え)
期間雇用社員として雇用され、契約更新を繰り返してきた原告Bが、雇用契約上の権利を有する地位の確認ならびに雇止め後から判決確定の日までの月額賃金、賞与の支払い及びこれらの各支払期日の翌日からの遅延損害金の支払いを求めた。

(判決)
Bの地位確認、賃金などの請求を認容

会社更生法の適用下における整理解雇

(重要文言)
会社更生法の適用下において、更生計画を上回る収益が発生したとしても、このような収益の発生を理由として、更生計画の内容となる人員削減の一部を行わないことはできない。

更生計画を上回る営業利益を計上していることは、更生計画に基づく人員削減の必要性を減殺する理由とはならない。

<整理解雇における解雇権濫用法理>
① 人員削減の必要性の有無及び程度
② 解雇回避努力の有無及び程度
③ 解雇対象者の選定の合理性の有無及び程度
④ 解雇手続きの相当性など

の当該整理解雇が信義則上許されない事情の有無及び程度というかたちで類型化された4つの要素を総合考慮

(経緯)
平成22年3月以降 退職金の上乗せや一時金の支給などを条件に、二度にわたる特別早期退職措置を実施
整理解雇の方針を表明する前後の四度にわたる希望退職措置を実施
パイロットは、稼働ベースで80名分が削減目標に達しなかった。
平成22年12月9日 就業規則52条1項4号に該当するとして、解雇の予告
同月31日 Xらを解雇

22年度のY社の連結経常利益は1,884億円に上り、過去最高益を大幅に更新

就業規則52条1項4号 :企業整備などのため、やむを得ず人員を整理するとき

(訴え)
Xらが、当該整理解雇は無効であると主張して、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認および解雇の意思表示後の賃金などの支払いを求めた。

(判決)
① 解決認可された更生計画でも、事業規模に応じた人員体制とすることが内容とされていたものと認められる。
② 賃金などの減額、数次にわたって希望退職者を募集
③ 「病気欠勤・休職等による基準」「年齢基準」を用いたことも不合理でない
④ 労働組合と団体交渉などを尽くしていた。

整理解雇が有効
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roumutaka

Author:roumutaka
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顧問先様への新しい情報の発信及び、提案の努力を怠りません。

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