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精神障害の業務起因性


(参考判例)
国・川崎北労基署長(富士通ソーシアルサイエンスラオポラトリ)事件
業務と疾病との間の相当因果関係の有無は、その疾病が当該業務に内在する危険が現実化したものと評価しえるか否かによって決せられるべき(平均的な労働者)→ 当該労働者と職種、職場における立場、経験などの点で同種のものであって、特段の勤務軽減まで必要とせずに通常業務を遂行することができるものを基準 → 当該労働者の置かれた具体的状況における心理的負荷が一般に精神障害を発病させ死亡に至らせる危険性を有している。→ 特段の業務以外の心理的負荷及び固体側の要因のない場合には、業務と精神障害発病及び死亡との間に相当因果関係が認められる。→ 当該労働者に関する精神障害発病に至るまでの具体的事情を総合的に斟酌 → 業務と精神障害発病との間の相当因果関係を判断するのが相当

(参考文言)
精神障害を発症させるほどに強度の心理的負荷を伴う「特別の出来事」
 極度の心理的負荷を伴う出来事
 極度の長時間労働

(事件概要)
18年10月15日から休職
19年に入り、体調の許す範囲で勤務を再開
同年7月29日の勤務中に倒れ、以後は勤務することができていない。
Xは、1650万円の負債を抱え、23年8月10日に自己破産

(訴え)
Xが勤務していた病院での業務に起因して精神障害を発症し、増悪させたとして、監督署に対し請求したところ、いずれも支給しない旨の処分をしたので、その取消を求めた。

(判決)
元夫の借金が心理的負荷となあっていた可能性も否定できない事などに照らすと、Xの精神疾患発症がB病院での業務に起因する旨のXの主張は理由がない。
Xの請求を棄却
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学校教員の整理解雇の有効性


(重要文言)
<大学教員の整理解雇に対する整理解雇の4要件適用の可否>
担当科目等の職務内容などに何らかの具体的な限定を加える合意を伴うものであったと認めるに足りる証拠はない。
さまざまな授業科目を担当してきた実績がある
一方、担当職務の変更にはおのずと制約があり、大学に生じた事情次第では解雇をいかようにも避けがたい事態も生じえると考えられる。

整理解雇法理の適用を免れる理由はない。

(訴え)
Xが、次年度に担当する授業科目がなく、従事する職務がないことを理由として、平成23年3月31日限り解雇されたことにつき、解雇権濫用に当たり無効であると主張

雇止めの人選の合理性

(参考文言)
同書面には、「なお、希望退職者が少ない場合には、期間雇用社員の皆様方の自支店内の配置換え又は勤務日数・勤務時間の短縮を実施することになります。それでも調整がつかない場合は、雇用契約期間の満了日で退職して頂くことがあります」との記載

雇止め以前に、雇止め回避のための努力を尽くしていたものと認められ、労働時間短縮に応じた者と応じなかったものとがいた場合には、後者がより雇止めのリスクが高くなるであることは容易に認識できた。

<人選の合理性>
評価基準も明確に定められていること
勤務評価は、本人による自己評価
役職者による第1次評価
管理者による第2次評価
支店長による最終評価
評価結果は本人にフィードバックされ、本人はこれに対して異議を申し立てることができる
Bは、これまで異議申し立てを行ったことがない。
Y社の人事評価が客観性を欠いていたと認めることはできない。

(事件概要)
人件費削減 配置時間から週110時間の削減が必要
23名のうち3名程度(1人当たり最大週35時間として)の退職が必要
3名程度の退職希望者の募集を書面において行った
申し出がなかった
時給制契約社員に対する「勤務日数、勤務時間の短縮に関する意向調査」を行った。
合計週12時間の短縮にとどまった
さらに週98時間の削減を達成するために、3名に対し雇止めを行うこととした



(訴え)
期間雇用社員として雇用され、6か月として契約更新を繰り返してきたB(平成19年1月9日以降最終更新は23年4月1日で同年9月30日までの期間雇用社員のうち時給制契約社員)
が平成23年9月30日の期間満了をもってされた雇止めは権利濫用であって許されないから、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認および未払賃金等の支払いを求めた。

(判決)
雇止めを回避するために労働時間の短縮に応じた者を優先的に雇止めの対象から除外したことが不合理であるという事はできない。
Bの請求はいずれも理由がないとして、請求を棄却

成績不良などを理由の解雇の有効性

(事件概要)
求人票には「正社員」「雇用期間の定めなし」等と記載
<雇用契約書>
「平成24年1月24日から同年12月20日まで」
平成24年3月6日 本件雇用契約締結後1か月以上経っても新規の契約締結の実績が1件も上がっていないことを理由に解雇を通告

(訴え)
本件雇用契約は期間の定めのない労働契約であり、かう、Xの退職はY社の不当解雇によるものであって無効である旨を主張
雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認および上記退職後の賃金の支払いを求めた。

(判決)
雇用期間が1年近くあることや成績を上げれば雇用期間に関係なく正社員になれると聞いたことなどから、本件雇用契約書記載の雇用期間の有期雇用契約であることを了解した上で本件契約を締結したものと認めることができる

本件解雇の時点では、XがY社で就業し始めてからまだ1か月半程度しか経過していないのであり、その間、新規の契約を1件も締結することができなかったことをもって直ちにXの勤務状況や業務能率が著しく不良で、向上又は改善の見込みがないものと認めることはできない。

有期雇用契約の終期である平成24年12月20日までの間の賃金などにつきY社に支払いが命じられた。

就業規則変更の合理性


(重要文言)
不利益を労働者に法的に受任させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合、効力を生ずるもの

<合理性の有無>
労働者が被る不利益の程度、
変更の必要性の内容・程度、内容自体の相当性、
代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、
交渉の経緯
国社会における一般的状況などを総合考慮して判断

労働条件を労働者に不利益に変更する内容でありかつ合理性がない就業規則の変更であっても、当該就業規則の変更について労働者の個別の合理がある場合には、
当該労働者との間では就業規則の変更によって労働条件が有効に変更される。
同意の有無の認定については慎重な判断を要し、
各労働者が当該変更によって生じる不利益性について十分に認識したうえで自由な意思に基づき同意の意思を表明した場合に限って同意をしたことが認められる。

X5らについては、
本件各意見書を提出した際に本件役職定年制の内容及び不利益性について理解していなかったことは考え難い
Yの移行に反する意見の表明により不合理な人事異動などを受けたものがいたと認識していたとは認められない。
自由な意思に基づき本件役職定年制の導入に同意したと判断

(経緯)
平成12年1月5日 管理職を対象とする説明会
同月12日 各支店及び本部の職員代表を対象とする説明会
同日 本部および飛田支店を除く支店の職員代表から異議がない旨の書面が提出
同月13日 X5が、「異議ありません」と記載した上で署名押印し、Yに提出
同月24日 X9が、「異議ありません」と記載した上で署名押印し、Yに提出
同年2月14日 意見や反論に対して回答することを目的として説明会
同月15日 意見聴取を目的とする説明会
同月16日 異議がない旨の書面が提出



(訴え)
Xらが、Y社が導入した役職定年制に伴う就業規則の変更は無効であると主張
Yに対して、労働契約に基づき、本件役職定年制が適用されなかった場合における給与、賞与、および退職金と、Xらに実際に支払われた給与などとの差額等の支払いを求め
X6が、不法行為に基づき、本件役職定年制が適用されなかった場合における雇用保険の基本手当と実際に支払われた基本手当との差額等の支払いを求めた。

(判決)
削減幅は年10%という大幅なもの
定年を迎える時点において50%にまで達する
不利益性の程度が非常に大きなもの
他の信用金庫と比べて経費率が高く、職員の賃金を削減する必要性が一定程度
55歳以上の職員にのみ著しい不利益
若手・中堅の職員については給与などの減額がなされていない
早期希望退職制度の導入などの代償措置を導入することが不可能であったことを窺わせる事情もない
Yの破綻等の危険が差し迫っているほど高度なものではない。

(損害額)
役職定年制の導入に関して、就業規則の変更が合理性を欠き無効と判断されることは予見できた
不法行為の成立を認める。
受給した雇用保険の基本手当の額と本来受給できた基本手当の額との差額により損害額が算定

分限免職処分の取り消し請求


(重要文言)
<分限処分>
分限処分(ぶんげんしょぶん)とは、一般職の公務員で勤務実績が良くない場合や、心身の故障のためにその職務の遂行に支障があり又はこれに堪えない場合などその職に必要な適格性を欠く場合、職の廃止などにより公務の効率性を保つことを目的としてその職員の意に反して行われる処分のこと。

(参考判例)
地公法28条1項3号にいう「その職に必要な適格性を欠く場合」とは、当該職員の簡単に強制することのできない持続性を有する素質、能力、性格などに起因してその職務の円滑な遂行に支障があり、
又は支障を生ずる高度の蓋然性が認められる場合をい」い、
「この意味における適格性の有無は、諸般の要素を総合的に検討した上、当該職に要求される一般的な適格性の要件との関連においてこれを判断しなければなら」ず、
「その判断が合理性を持つ判断として許容される限度を超えた不当なものである場合には、裁量権の行使を誤った違法なもの」であると判示
「分限処分が免職である場合には、当該職員が現に就いている職に限らず、転職の可能な他の職をも含めてこれらすべての職についての適格性を欠くものかどうかを特に厳密、慎重に判断する必要がある」

(訴え)
Y村の職員であった原告Xが、Yの村長から平成22年8月13日付で地公法28条1項3号に基づく分限免職処分を受けた
本件処分の違法性を主張して、その取消を求めた

(判決)
Xが現に就いている職に限らず、
転職の可能な他の職をも含めたすべての職について、
簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に基因して職務の円滑な遂行に支障があり、
又は支障を生ずる高度の蓋然性があるとは認められず、
これに反するY村長の分限免職事由該当性にかかる判断には、裁量権の逸脱・濫用の違法があるとして、Xの分限免職処分が取り消された。

退職強要の違法性及び、休職期間満了を理由の解雇の有効性

(重要文言)
退職勧奨は、その自由な意思形成を阻害するものであってはならない。
退職勧奨の態様が、退職に関する労働者の自由な意思形成を促す行為として許容される限度を逸脱し、労働者の退職についての自由な意思決定を困難にするものであったと認められるような場合には、
当該退職勧奨は、労働者の退職に関する自己決定権を侵害するものとして違法性を有し、使用者は、当該退職勧奨を受けた労働者に対し、不法行為に基づく損害賠償義務を負う。

<業務起因性>
精神障害を発症している労働者について、
平均的労働者であっても精神障害を発症させる危険性を有するほどに強い心理的負荷となるような出来事があり、
概ね6か月以内に精神障害が自然経過を超えて悪化した場合には、
精神障害の悪化について業務起因性を認めるのが相当

(事件概要)
平成21年3月 うつ病と診断
同年8月17日から22年2月28日まで 第一回休職
同年3月1日より復職可能と認めると診断 リハビリ勤務 賃金は休養前の75%
平成22年8月22日 第1回面談 同年9月末日での退職に向けて返事がほしい
同年8月24日 第2回面談 仕事や会社から離れた方が良いのではないか
同月26日 第3回面談 CとDは、体調のことを考えると続けられないと言って退職を説得
同月29日 第4回面談 退職の意思表示はしないことを伝えた。
同月30日 第5回面談 「これ以上何もなければ解雇はしない」等といった。
合計5回の面談 約1時間から2時間行われた。

さらに体調が悪化
うつ病により3か月の休養加療を要すると診断
平成23日9月1日から同年11月30日までの3か月間休職
同年12月1日付書面 休職期間満了により退職となる旨などを通知

(訴え)
① 退職強要により精神的苦痛を被ったとして不法行為に基づいて慰謝料の支払い
② 休職期間満了により退職扱いされたことについて、これが無効であるとして労働契約上の地位確認及び退職扱い後の賃金支払い
③ 未払残業代の支払い

(判決)
Xの退職に関する自己決定権を侵害する違法なものと認めるのが相当
業務起因性を認め、休職期間満了により退職したとすることはできず、労働契約上の権利を有する地位にある
退職勧奨による慰謝料30万円、未払賃金の請求50万6,309円
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