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時間外労働の自己申告制


(参考文言)
<休憩時間>
休憩時間と評価せざるを得ない。
義務付けられていたと認めるに足りる証拠はない
強制するものではなかった
自由時間において任意で行っていたもの

<事業場外>
Xが出張、直行直帰している場合の事業場外労働については、YのXに対する具体的な指揮監督が及んでいるとはいえず、労働時間を管理把握して算定することはできないから、事業場外労働のみなし制が適用される。
電話で指示を受けながら業務に従事していたと認めるに足りる証拠はない。
出張や直行直帰の日において、詳細な指示を受けていたとはいえない。

<自己申告制>
時間外勤務は、直接所属長が命じた場合に限り、所属長が命じていない時間外勤務は認めない事などが規定されている。
時間外勤務命令書について、Xが内容を確認し本人確認印を押印していることなどを認定
Y社においては、所属長からの命令のない時間外勤務を明示的に禁止しており、Xもこれを認識していたといえる。

自己申告制の流れ
①夕方、従業員に時間外勤務命令書を回覧
②従業員に時間外勤務の希望時間などを記入
③所属長が内容を確認し、必要であれば時間を修正した上で、従業員に対して時間外勤務命令が出されていた。
④時間外勤務終了後に時間外勤務命令書の「実時間」欄に時間外勤務にかかる実労働時間を記入
⑤所属長が翌朝「実時間」欄に記入された時間数を確認
⑥必要に応じてリーダー及び従業員本人に事情を確認
⑦従業員本人の了解のもとで前日の時間外労働時間数を確定

<入退館記録表>
Yの客観的な指揮命令下におかれた労働時間と推認することができない特段の事情がある。
入退館記録表は警備・安全上の理由から義務付けている。
遅刻出勤時の参考情報として扱われていた。
福利厚生の一環として、業務時間外の会社設備利用を認めており、Yの会社構内において業務外活動(任意参加の研修、クラブ活動等)も行われていた。

(訴え)
時間外労働に対する賃金及び深夜労働に対する割増賃金(以下、「残業代」)と労基法114条に基づく付加金の支払いを求めるとともに、
内容虚偽の労働時間申告書などをXに作成、提出させたとして不法行為に基づく損害賠償を求めた。

(判決)
Yにおける時間外労働時間は、時間外勤務命令書によって管理されていたというべきであって、時間外労働の認定は時間外勤務命令書によるべき

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精神疾患発症・自殺の業務起因性


(参考文言)
使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、
業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷などが過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、
使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の上記注意義務の内容に従ってその権限を行使すべきものであるとされた。

BおよびCにおいて、亡Kが何等か精神疾患を有しており、その状態が良好でないことを認識し得たというべき
前任校で精神疾患を理由とする病気休暇を取得
17年9月以降急な年次休暇の取得や服務上の問題行動等が頻繁に発生するようになっている。
18年7月14日血を吐いたと虚偽の事実を告げて救急車を呼ぶなど、Kの行動に、通常ではありえない精神状態の悪化を疑うべき兆候が現れていた

Kの精神疾患を増悪させる危険性の高い行為で、心理的な負荷を与えていたと認められた。
精神疾患による通院歴
ストレス反応ないしパニック障害による病気休暇を取得
音楽家の教員免許しか有していなかったのに受験科目である国語科の授業を担当
急な年次休暇の取得など勤務態度に問題が相次ぐようになったため、指導力不足など教員と認定して特別研修を受けさせるよう命じた。
研修開始から約1か月で自殺

(事件概要)
平成18年10月28日Y2の設置にかかる教育センターにおける指導力向上特別研修の受講中に自殺
22年3月31日付地公災基金鹿児島県支部長がKの自殺について公務外の災害とする認定処分
25年3月26日再審査請求が棄却
同年7月31日鹿児島地裁に公務外認定処分取り消し請求を提訴

(訴え)
Kの両親であるXらが、Y1市の市立A学校の校長B及び教頭Cによる、執拗な叱責・指導、教員免許外の科目担当による業務加重、
Kの精神疾患の存在を考慮しない指導力向上特別研修の受講命令などのいわゆるパワハラが行われ、
同研修において、Kに対する研修を担当した指導官DらによるKに対する人格攻撃により
Kが精神障害を発症ないし増悪させて自殺したと主張

連帯して、民法715条に基づく使用者責任、
信義則上の安全配慮義務違反の債務不履行
または国家賠償法1条1項及び3項による損害賠償請求に基づき、各4831万8630円および遅延損害金の支払いを求めた。

(判決)
一連の各行為とKの精神疾患の増悪及び自殺との間に相当因果関係の存在が肯定
Bらについて信義則上の安全配慮義務違反があったと認められた。

Xらの損害について、逸失利益5583万余円、慰謝料2200万円、葬儀費用150万円の計7933万余円を認めた。

素因減額として3割、過失相殺として2割、合わせて5割を減額
亡Kが自殺の7年前の平成11年に精神疾患に罹患
対人関係にストレスをためやすい傾向があり、これが労働者の個性の多様さとして想定される範囲を逸脱している部分も存在する
Kが病気休暇を取得するなど事故の健康を保持するための行動をとっていない

自宅における黙示の業務命令と安全配慮義務


(重要文言)
Y法人において発表内容として特定の水準以上のものを求めていない本件においては、
学術大会の準備自体には業務性を認めることができ、
Kが自宅において学術大会の準備に相当程度の時間を費やしたことを踏まえても、
これがYの黙示の業務命令によるものと認めることはできない。
使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することはできない。

厚生労働省の「脳血管疾患及び虚血性心疾患などの認定基準について」は、
発症前1か月間から6か月間にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関係性が弱い
<休日数>
発症前1か月目 10日
2か月目 8日
3か月目 10日
4か月目 10日
5か月目 10日
6か月目 10日

担当患者数は平均的な担当患者数であった。
リハビリの単位数も、他の従事したリハビリの単位数と遜色ない数字

「Kの業務が量的に過重な負荷であったものと認めることは困難である。」

(事件概要)
学術大会を企画し、Kは、自宅において連日にわたり深夜や早朝において相当程度の時間を準備に費やした。
平成22年10月29日 午前7時頃、Kは自宅居室内において心肺停止状態で発見
平成23年10月4日 監督署長は、業務起因性を認め、遺族補償年金、葬祭料、遺族特別年金および遺族特別支給金を支給する旨決定

R病院においては、就業規則により、出勤及び退勤の際にタイムカードを打刻することを義務付け、従業員の退勤をタイムカードにより管理

(訴え)
Kの両親である原告Xらが、
① Y法人らに対し、安全配慮義務違反または不法行為に基づく損害賠償金の連帯支払い
② 時間外割増賃金及び付加金の支払いを求めた。
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