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解雇などに関する代表取締役への損害賠償


(重要条文)
会社法429条(役員等の第三者に対する損害賠償責任)1項
役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。


(事件概要)
代表取締役Yに対し、Xらを不当に解雇させたこと、Xらへの賃金仮払いを命じた仮処分決定に従わなかったことが、
Yの本件会社に対する任務懈怠ないしXらに対する不法行為に当たる
会社法429条1項ないし民法709条に基づき、未払賃金相当損害金、慰謝料および弁護士費用

X1は正社員として入社
X2は委託契約として顧問料

(判決)
本件解雇に関する任意懈怠(会社法429条1項)および不法行為の存否

本件解雇に合理的な理由がなく、社会通念上相当なものとは認められないことを認識し、もしくは認識することができたと解することはできず、
他にこれを認めるに足りる事情もない
Yにその職務を行う事について故意または過失があったとはいえない
会社法429条1項および不法行為に基づく責任を否定

本件仮処分決定に関する任意懈怠および不法行為の存否

本件仮処分決定に基づく仮払いの不履行について、本件会社の賃金支払能力がないとはいえず、
Yに悪意があるとし、Xらが仮払いを求める事情をYは認識できたから、
仮払いに応じないことによりXらに損害を与える結果となることを認識していた
慰謝料等の支払い請求を一部認容

(損害額)
精神的苦痛に対する慰謝料として20万円の支払いを認容
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過重労働・パワハラによる自殺と損害賠償


(参考文言)
Y2はKに対する指導が奉功しておらず、Kに期待した成長がみられないと感じていた。
Kの指導体制について十分な見直しと検討を行うべき

Y2は、そのような見直し等を行う事なく、引き続き、Kがミスをすれば一方的に叱責するという事を漫然と続けていた。

Kに過度の心理的負担をかけないよう配慮する義務に違反した。

<予見可能性>
Y2は、本件自殺までにKの具体的な心身の変調を認識
Y2は、これらの就労環境がKの健康状態の悪化を招くことを容易に認識し得た。
Y2は本件自殺につき、不法行為を免れない。

<使用者責任と不法行為>
Y2の不法行為の責任原因として認定した事実(使用者責任)とは別にY1社に独自の不法行為の責任原因があるとまで評価することはできない。

<損益相殺的な調整>
不法行為によって損害を受け、その後に後遺障害が残った場合における判断であるから、本件にそのまま妥当するものではない。

(事件概要)
Xらの長男Kが、長時間労働のほか、上司Y2からのパワハラにより精神障害を発症し、自殺に至った。
Y1社に対しては、不法行為または安全配慮義務違反に基づき
Y2に対しては、不法行為に基づき、
郭2分の1の割合で法定相続した各損害金5,617万2,791円および遅延損害金の連帯支払い

C労働基準監督署長は、Kが業務上の心理的負荷により適応障害を発症した結果、自殺が業務災害に当たると認定

(判決)
Kの業務の料などを適切に調整するための措置を取る義務に違反したと認定


妊娠・出産などを理由の降格


(重要文言)
女性労働者につき妊婦中の軽易業務への転換を契機として降格させる措置は、
原則として均等法9条3項の禁止する取扱いに当たるものと解されるが、
当該労働者が軽易業務への転換および上記措置により受ける有利な影響並びに
上記措置により受ける不利な影響の内容
その他の経緯や当該労働者の意向などに照らして、
当該労働者につき自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとき、又は
事業主において当該労働者につき降格の措置を取ることなく軽易業務への転換をさせることに円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障がある場合であって、
その業務上の必要性の内容や程度および上記の有利又は不利な影響の内容や程度に照らして、上記措置につき同項の趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情が存在するときは、同項の禁止する取扱いに当たらないものと解するのが相当

Xが受けた有利な影響の内容や程度は明らかではない一方で
不利な影響の内容や程度は管理職の地位と手当などの喪失という重大なもの

業務上の負担の軽減の内容や程度を基礎づける事情の有無などの点が明らかにされない限り、
均等法9条3項の趣旨及び目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情の存在を認めることはできない。

均等法9条3項 :厚生労働省令で定められている事由(※)を理由に、女性労働者に対し不利益な取扱いをすること。
また、妊娠中・産後1年以内の解雇は、事業主が、妊娠等が理由ではないことを証明しない限り無効とされています。
(※)厚生労働省令で定められている事由
1 妊娠したこと。
2 出産したこと。
3 母性健康管理措置を求め、または受けたこと。
4 坑内業務・危険有害業務に就けないこと、これらの業務に就かないことの申出をしたこと、またはこれらの業務に就かなかったこと。
5 産前休業を請求したことまたは産前休業したこと、産後に就業できないこと、または産後休業したこと。
6 軽易業務への転換を請求し、または転換したこと。
7 時間外等に就業しないことを請求し、または時間外等に就業しなかったこと。
8 育児時間の請求をし、または取得したこと。

(事件概要)
平成16年4月16日 XはY組合から、リハビリ科の副主任に命ぜられた。
平成20年2月 労基法65条3項による「軽易業務への転換」を希望
3月1日 リハビリ科への異動を命ずるとともに、副主任の地位を免じた。
9月1日から12月7日 産前産後休暇を取得
8日から21年10月11日 育児休業を取得
12日 Fステーションへの異動を命じた。副主任の地位に任ぜられなかった。

(訴え)
Y組合に雇用され副主任の職位にあったXが、
労基法65条3項に基づく妊婦中の軽易な業務への転換に際して
副主任を免ぜられ、育児休業の終了後も副主任に任ぜられなかったことから、
Y組合に対し、上記の副主任を免じた措置は
「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保などに関する法律」9条3項に違反する無効なものと主張
副主任手当(月額9,500円)の支払い及び債務不履行または不法行為に基づく損害賠償を求めた。

(判決)
軽易業務への転換が妊娠中のみの一時的な措置であることは法律上明らかであることからすると、
育児休業から復帰後の配置などが降格に該当し不利益な取り扱いというべきか否かの判断に当たっては、
妊娠中の軽易業務への転換後の職位などとの比較で行うものではなく、軽易業務への転換前の職位などとの比較で行うべき

更新3回目の期間満了の雇止め


(参考文言)
Xにおいて3年雇用の方針を認識した時点において、すでに雇用継続についての合理的期待を有していたと認められるか否か

契約更新がされる都度、発令及び労働条件通知書が交付されていたこと
2回目の契約更新の際には、更新を不可とする発令及び労働条件通知書が交付
特別に3回目の契約更新が認められ、その際にも、それ以上の契約更新は非常に難しいことが伝えられていたこと

期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態になっていたとは到底評価できない。

(事件概要)
平成16年3月まで 厚生労働科学研究費補助金の対象となる研究プロジェクトのもとで、同補助金を原資として、謝金業務に従事

謝金業務: 講演、原稿執筆、特定事項の調査研究など業務の性質が不継続的一時的な国の事業又は事務に従事した者に対して給付される金銭
極めて限られた不継続的一時的なものであって、給与とは異なる。

同年4月から17年3月30日 短時間勤務職員として雇用(更新なし)
同年4月から19年3月 医学研究科で謝金業務に従事
同年4月1日から22年3月31日 XがYのフィールド科学センターの契約職員に応募してきたので、面接し、契約職員として雇用(更新あり、3年を超えない旨の定め)
22年4年1日から23年3月31日 Xの希望もふまえて、本件労働契約の更新を要望し、認められた。契約期間の更新はしないとされた。(本件雇止め)

(訴え)
契約期間1年間の契約職員として雇用され、3回の契約更新を繰り返してきたXが、
平成23年3月31日の契約期間満了をもって雇止めされたことは許されないとして、
雇用契約上の権利を有する地位の確認
雇止め語から本件判決確定の日までの賃金等の支払いならびに
本件雇止めが不法行為であるとして慰謝料などの支払いを求めた。

セクハラを理由とする懲戒処分の有効性

(参考条文)
労働契約法15条(懲戒)
使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
使用者が労働者に対して懲戒処分を行うためには、労働者の行為が、就業規則に定める懲戒事由に形式的に該当するにとどまらず、企業秩序を現実的に侵害したり、その現実的な危険があったりするなど実質的に懲戒処分に相当するような行為であること、すなわち懲戒処分を行う事について「客観的に合理的な理由」があることが必要

(参考文言)
Xらがどのような行為が問題とされているかを認識して反論することが可能な程度には事実を適示していた。
Yは、複数回にわたり事情聴取を行うなどし、Xらにも弁明の機会を与えた上で、懲戒事由を認定

Xらが、Bから明確な拒否の姿勢を示されたり、その旨Yから注意を受けたりしてもなおこのような行為に及んだとまでは認められない。

Yでは、これまでセクハラ行為を理由とするものを含めて懲戒処分が行われたことがなく、具体的にセクハラ行為に対してどの程度の懲戒処分を行う方針であるのかを認識する機会がなかった。
事前の警告や注意、更にYの具体的方針を認識する機会もないまま、突如、懲戒解雇の次に思い出勤停止処分を行う事は、Xらにとって酷に過ぎるというべき

(事件概要)
Y社の従業員Xらが、セクハラ行為などを理由としてYから受けた出勤停止について、
懲戒事由とされた事実がなく、手続きの適性も欠き、懲戒事由との均衡を欠く不当に重い処分でもあるから無効
懲戒処分を受けたことを理由とする降格も無効
① 懲戒処分の無効確認
② 降格前の地位の確認
③ 懲戒処分による出勤日数の減少を原因として減額された給与及び賞与の減額分及び遅延損害金
④ 降格を原因として減額された給与の減額分の各支払い
⑤ 無効な懲戒処分及び降格をしたことが不法行為に当たるとして、慰謝料各100万円及び遅延損害金の支払い

(判決)
本件各処分を無効
不法行為に基づく損害賠償請求は失当
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