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配転命令の正当性


(重要文言)
本件各命令は、業務上の必要性に乏しく、
安全配慮義務を尽くそうとすることなく発せられたものとして違法との評価を免れず
実質的にはXの労務提供の受領を拒絶する状態が継続しているものと解するのが相当
Xは、命令に従う義務はなく、労務を提供できないのは、Yの責めに帰すべき事由による履行不能と認められる。
<Yの各主張が退けられた>
① Xやその主治医がYに対して要求する配慮の内容は、Yに無理を強いるもの
② これに対応する義務はなく、また、XはYにおける講義を自ら断っていたにすぎない
③ Xの長女の自殺が中学時代のいじめ問題に起因することをYが認めない限り復職できないというのは筋違いの主張

(事件概要)
20年3月12日 適応障害と不眠症の症状が続いていた。
21年2月6日 Xの自宅待機命令を解き
3月31日付 資格支援講座担当及び研究室待機を命じた。→ 本件各命令で命じられた業務に就かなかった。
23年1月以降 Xの基本給を定期昇給させなかった。
24年4月以降 Xに対する給与の支払いを停止

(訴え)
① Y学園の業務命令に従った労務をXが提供できなかったのは、Yの責めに帰すべき事由によるものであると主張
民法536条2項に基づき、平成24年4月分以降の給与および賞与等の支払いを求め
② Yが23年1月分給与からXを定期昇給させなかったのは不当であると主張
定期昇給後の基本給との差額等の支払いを求め
③ Yが22年度夏季一時金以降の賞与を不当に減額したと主張
雇用契約に基づき、本来の賞与額との差額等の支払いを求めた。

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有期委託契約の労働者性


(参考文言)
<労働者性>
事実を総合的に評価すれば、本件契約は労働契約的性質を有する者と解するのが相当
(諾否の自由がない) 業務の内容はYが一方的に決定
(場所的拘束性) 勤務場所も一方的に指定
(業務遂行上の指揮監督)
 勤務状況に、稼働日などについて事前に指示、業務計画表を提出、定期的に報告
 稼働状況を把握、十分でないスタッフには細かく助言指導
 事実上、指揮命令としての効力を有していたと認められる
(報酬の労務対償性、組織への結び付け)
事務費は、詳細に取り決められており、基本給的部分と評価し得る部分及び賞与といえる制度も存在、退職金といえる餞別金他の給付制度も充実していること
(再委託の自由がない) 事実上第三者への再委託は困難
(専属性) 事実上兼業も困難
(機械・器具の負担等) 事務機器などの交付が行われていた

(事件概要)
平成13年7月2日 X・Yとの間で有期委託契約
期間を6か月ないし3年間とする有期契約が5回にわたり更新
22年10月1日(最終契約) 25年3月31日まで
24年3月1日 Xに対し期間途中、Xの勤務成績不良を理由に本件契約を解約する旨通告

(訴え)
有期委託契約Xが、本件解約につき、本件契約は労働契約であり、Y協会の解約は契約期間中における解雇である。
労契法17条1項により、やむを得ない事由がある場合でなければ許されない。
そのような事由に基づかない解雇である。
Yに対し、労働者としての地位確認および未払い賃金等の支払いを求めた。

整理解雇の有効性

(参考文言)
同一法人内においていわゆる配置転換として系列大学等に異動することを認めるかどうかは、経営判断の問題であり、整理解雇を選択することがおよそ許されないとは言えない。

Xらの就業場所が北海道短大に限定されていたという事実は、Xらがその同意なくして北海道短大以外の場所で就業させられないことを意味するにとどまり、出来るだけの雇用確保の努力をすべきであった。

一般の企業とは異なり、北海道短大以外の学校において、新たな科目を設けたり、教員の配置人数を増加させたり、Xらを特定の科目の教員として採用したりすることは不可能であったというべき

<整理解雇>
使用者における業務上の都合を理由とするものであり、落ち度がないのに一方的に解雇され収入を得る手段を奪われるという重大な不利益を労働者に対してもたらすものである
① 人員削減の必要性
② 解雇回避努力義務の遂行
③ 被解雇者選定の合理性
④ 解雇手続きの相当性
を総合考慮して判断すべき
全てが充足されなければ整理解雇が無効になるとは解されない。

<回避、軽減するための十分な努力の例>
採用の要請
早期希望退職者への退職金の割増
再就職支援会社の利用の提案
他の学校法人への紹介文書の送付

<解雇手続きの例>
本件募集停止決定後本件解雇に至るまで、Xらの加入する組合との間で11回にわたり団体交渉
教職員協議会における意見交換や、教職員との個別面談などを実施して、説明を行った事などから、十分な説明、協議があった。

(事件概要)
Y法人内の北海道短大の23年度以降の学生募集の停止を決定
平成24年3月28日付文書により、Xらに対し就業規則上の「事業継続にやむを得ない事由が発生したとき」に基づき
同月31日付で解雇するとの意思表示をし、同文書は同月30日、Xらに到達した。

(訴え)
原告AからH(Xら)の8名が、平成24年3月31日付でなされた解雇(整理解雇)は無効

(判決)
本件解雇が無効であることを前提とするXらの請求はいずれも理由がない。
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