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定年延長拒否の有効性


(考察)
定年について、合理的な判断に基づく規程を作成することが重要
細かく決まり事を作成することが、トラブルを防止する一つの要素と思われる。

(重要文言)
Xの退職は、合意で定められた定年に達したことによるもの
Y法人が、解雇又は解雇に準ずる意思表示をしたことはない。
Xの定年退職に解雇権濫用法理を類推適用することはできない。

本件退職扱いが違法となるのは、本来定年延長の必要性が認められる教授につき定年延長を発議しないなど、研究科長による定年延長の必要性の判断に裁量権の逸脱・濫用が認められる場合という事になる。

Xの労働契約は、単一の契約であり、定年延長については、Xが所属するC研究科において決せられるもの
D研究科においてXの定年延長の手続きがされないとしても、これを違法という事はできない。

(事件概要)
Xは、定年年齢である満65歳を迎えた翌年度(平成24年度)につき定年延長された。
2回目の定年延長は行われず、25年3月31日付で本件退職扱いとなった。

(訴え)
解雇権濫用法理の類推適用によって無効であると主張
労働契約上の地位の確認および平成25年4月1日以降の未払賃金の支払いを求める。
Y法人が本件退職扱いによって突然Xの地位を奪い、Xの名誉ないし信用を傷つけたと主張
慰謝料等の支払いを求めた。

(判決)
Xの請求は追加請求も含めすべて理由がないものと判断
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上司のパワハラによる自殺と使用者責任


(感想)
相当な注意をしていないと、使用者責任を逃れることは難しい。
被用者のパワハラは使用者責任として不法行為で扱われる。

(重要文言)
Y1がY2に対する監督について相当の注意をしていた等の事実を認めるに足りる証拠はないから、Y1はXに対し民法715条1項の責任を負う。
民法715条1項(使用者責任) :ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

(事件概要)
Kが自殺したのは、Y2及びY3のパワハラによる過重な心理的負荷を強いる業務体制などによるものであるとして、XがY1社らに対し、損害賠償金等の支払いを求めた。

Kは、Y2の上記指導に従って、Y2から受けた指導内容、言われた言葉やこれらを巡って自問自答する内容をノートに記述するようになった。
→ KはY2から、「死んでしまえばいい」等の言葉「又はこれに類する言葉を投げかけられたことが認められる」

Kには特異な性格傾向や既往症、生活史、アルコール依存症などいずれにおいても特に問題はなかった。

Xは平成25年5月29日に遺族補償金366万605円の支給を受けた。

(判決)
これらの発言は、仕事上のミスに対する叱責の域を超えて、Kの人格を否定し、威迫するもの
これらの言葉が経験豊かな上司から入社後1年にも満たない社員に対してなされたことを考えると典型的なパワハラといわざるを得ず、不法行為に当たると認められる。

メンテナンス業務が被告Y1の構内で作業ではなく外注先での作業が大半を占める。
B部の部長Y3が直属の上司であるY2のKへの指導の実態について把握するのは困難。
KがY3に対しY2からパワハラを受けていることを訴えた事実は認められない。
B部部長としての役割は作業現場の人員配置と作業日程の決定にとどまっていた。
Y3の不法行為責任が否定

条件附採用教員に対する免職処分の妥当性

(判例からの教訓)
会社として、やるべき事をキッチリとしていないと、例え問題のある人物であるとしても免職処分とすることは難しい。

(重要文言)
<初任者研修>
① 平成23年9月以降の指導教員が不在
② 研修シラバスの作成に指導教員が参画していない
③ 授業以外の研修の時間数が足りない

十分な初任者研修が行われていないにもかかわらず、単なるXの未熟な人格態度を持って、直ちにXが教員としての適格性を欠くと判断することは相当ではない。
仮にE中学において、実のある初任者研修が行われれば、その研修考課による成長、改善の可能性はあったというべき

<パワハラ>
以下の内容は国家賠償法上の違法な行為と認めることはできない。
① Xに対する観察授業の実施
② Xの初任者研修の指導教員を解任して後任を選任しなかった
③ F校長がXの正式採用を「否」としたこと

(経緯)
服装、職員室を訪れる生徒や電話への対応、作問委員会での居眠り、授業についての保護者から寄せられる苦情などについて、F校長およびG副校長らから指導を受けていた。

条件附採用期間を1年間とする教員として採用され、E中学に勤務していた原告Xが、E中学のF校長からXに対する特別評価所見の「採用の可否」について「否」とされ、その後、平成24年3月31日付で免職処分を受けた。

(訴え)
F校長の不当な評価に基づきなされた本件処分は、都教委の裁量権を逸脱ないし濫用する違法の処分であると主張
本件処分の取消を求める。
F校長から違法なパワハラを受けたとして、国家賠償法1条1項に基づき慰謝料500万円等の支払いを求めた。

(判決)
条件附採用期間中に初任者研修が行われるものであるから、その研修考課に基づく成長、改善の可能性をも考慮して判断されるべき
FのXに対する総合評価は、客観性を欠き、かつ不合理なものであったとし、Fの総合評価が是正されるべき
Xは正式採用された蓋然性が認められる。
判断は客観性を欠き、不合理なものであって、裁量権の逸脱、濫用があるものと認められる。
本件処分は取消を免れない。

蓋然性 :その事柄が実際に起こるか否か、真であるか否かの、確実性の度合
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