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黙示の労働契約の成否


(感想)
請負契約について、黙示の労働契約の成立は難しい。
派遣法違反について追及をしたとしても、公法上の義務であり、私法上の労働契約義務は発生するのは難しい。

(重要文言)
社外労働者と受入企業との間に黙示の労働契約が成立するためには
① 採用時の状況 → Y1社がXらの採否に決定権限を有していたとはいえない。
② 指揮命令及び労務提供の態様 → Y1の指揮命令に従っていたとは認められない。
③ 人事労務管理の態様 → 配置の変更や有給休暇取得時の手続等についてもY2が決定
④ 対価としての賃金支払の態様 → 賃金額や支払い方法を決定していたのはY2

派遣法で定める期間制限や直接雇用の申込義務に違反して就労継続をしていた点などを理由とする不法行為の成否について
派遣法の諸規制はあくまで公法上の義務
私法上の労働契約申込義務が発生するわけではなく
仮に本件請負契約が偽装請負であったとしても、
Y1から直接雇用の申込を受けられるというXらの期待は、法的保護を受けるべきものとは認められないとして否定

(事件概要)
XらはY2社との間で労働契約を締結
Y2社とY1社との間の業務請負契約

(訴え)
XらとY1社との間で黙示の労働契約が成立していたと主張

(判決)
Xら自身もY2社に雇用されているとの認識を有していた。
Y1社に対する地位確認請求及び賃金請求をいずれも否定

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株主が決定した会社解散についての整理解雇の有効性


(感想)
解散決議について、株主が決定したものついては、解散の理由を説明するのも困難であるとして、解雇権を濫用したものとして扱われることが少ないように思われる。

(参考文言)
真実企業が廃止された以上、それに伴う解雇は、原則として、労働契約法16条が規定する「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」に当たらず、有効であると解するのが相当

解散による企業の廃止が、労働組合を嫌悪し壊滅させるために行われた場合等、当該解散などが著しく合理性を欠く場合には、会社解散それ自体は有効であるとしても、当該解散などに基づく解雇は、「客観的に合理的な理由」を書き、社会通念上相当であると認められない解雇であり、解雇権を濫用したものとして、労契法16条により無効となる余地がある。

会社解散の解雇であっても、会社は、従業員に対し、解散の経緯、解雇せざるを得ない事情および解雇の条件などを説明すべき

手続的配慮を著しく欠いたまま解雇が行われた場合には、「社会通念上相当であると認められない」解雇であり、解雇権を濫用したものとして、労契法16条により無効と判断される余地がある。

(事件概要)
株主総会を開催して解散を再度確認し、その旨が登記された。


(訴え)
会社の解散に伴って整理解雇などされたことに対して、整理解雇の無効、会社の団体交渉拒否について不法行為による損害賠償などを求めた。

(判決)
事業を継続することは不可能であったとして、本件解散決議を行ったことが合理性を欠くという事はできない。

エリアマネージャーのパワハラ行為に対する使用者責任

(感想)
事業の執行について行われたものについては、使用者責任が求められる可能性が高い。
管理監督者になる者には、指導監督の在り方について研修等を受けさせることで、リスクを軽減することができると考えられる。

(重要文言)
Y3は、エリアマネージャーになるに当たって、部下に対する指導監督の在り方について指導や研修などを受けたことはなく、また、朝礼おける暴言、暴行を含めて、パワハラ行為について指導などを受けたことがないことが認められる。

Xら固有の慰謝料については、Kの慰謝料を算定する際に考慮、評価されており、Kの慰謝料とは別にXら固有の慰謝料を認めることはできない。

<使用者責任>
使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の上記注意義務の内容に従って、その権限を行使すべき

Y3の不法行為は、Y1社の事業の執行について行われたものであるから、Y1社には使用者責任も成立する。

(事件概要)
Kは、21年11月頃、D店の店長になった。
X1は、Kの自殺に関し、平成23年10月5日、J労基署長に対し、遺族補償一時金などの支給を請求

(訴え)
Kが長時間労働及び上司であったY3からのいじめ・暴行などのパワハラにより急性のうつ病を発症して自殺したと主張

Y1社に対して債務不履行(安全配慮義務違反)及び使用者責任(民法715条)による損害賠償請求権に基づき、
Y1社の代表取締役であるY2に対して会社法429条1項による損害賠償請求権に基づき、
Y3に対して不法行為(民法709条)による損害賠償請求権に基づき、
損害賠償などを求めた。

(判決)
Y1社・Y2・Y3についてそれぞれ責任を認め、Xらに対する損害賠償を命じた。


元請と下請間での安全配慮義務違反


(感想)
元請下請けの関係の中で、労災保険の認定と安全配慮義務違反との関係は余り関連性がないように思われる。
ただし、労働者性が認められる場合には、労災保険の認定と安全配慮義務違反の関連性は認められる可能性が高いと思われる。

(参考文言)
労衛法29条に定める元方事業者であるというのみで、直ちに、下請企業や孫請け企業の労働者に対して安全配慮義務を負うものと認めることはできない。

いわゆる社外工に対する安全配慮義務について、元請会社ないし発注者の管理する設備、工具等を用い、事実上元請会社ないし発注者の指揮、監督を受けて稼働し、その作業内容も元請会社ないし発注者の労働者とほとんど同じであるなど、元請会社ないし発注者と下請け会社の労働者とが特別な社会的接触関係に入ったと認められる場合には、元請会社ないし発注者は下請け会社の労働者に対しても、安全配慮義務を負う。

KがY1社らから実質的な指揮監督を受けていないことから、特別の社会的接触関係に入ったものと認めることはできない。

(事件概要)
平成23年3月11日に発生した本件原発における放射性物質放出事故の復旧作業に従事していた亡Kが、作業中に倒れて死亡したことについて、Kの妻であるXが、Y1社らに安全配慮義務違反があり、Kの死亡はこの義務違反によるものである等と主張
Y1らに対して損害賠償などを請求

平成23年7月13日、訴外横浜南労働基準監督署長に対して、労災保険法に基づく遺族補償年金などの支給を請求
24年2月24日付で認定

(判決)
Y1社らの安全配慮義務違反及びその前提となるKとY1社らの特別な社会的関係について、その法的根拠が明らかでないなどの理由から、その主張を否定

管理職のセクハラに対する不利益変更の有効性


(感想)
管理職のセクハラについては、職責や立場に照らしても認められるケースが従業員よりはあると思われる。
ただし、今回は問題とはされないが、給与が大幅に減額されることについては、不利益を伴うために問題とされる可能性

(重要文言)
<セクハラ禁止文書>
① 性的な冗談、からかい、質問
② その他、他人に不快感を与える性的な言動
③ 身体への不必要な接触
④ 性的な言動により社員などの就業意欲を低下させ、能力発揮を阻害する行為
等が列挙

Xらは管理職として「セクハラの防止のために部下職員を指導すべき立場にあったにもかかわらず」、職場内において「多数回のセクハラ行為等を繰り返したものであって、その職責や立場に照らしても著しく不適切なもの」

各降格についても、資格等級制度規程には、「降格事由の一つとして就業規則46条に定める懲戒処分を受けたことが規定されており、また、上記の通りXらに対する各出勤停止処分は有効である」

相応の給与上の不利益を伴うものであったこと等を考慮したとしても、左右されるものではない。

(事件概要)
X1、X2は各々課長代理の等級に格付け

セクハラの防止のため種々の取り組みを行っていた。

Yの就業規則には、社員の禁止行為の一つとして、「会社の秩序又は職場規律を乱すこと」を定め、「会社の就業規則などに定める服務規律にしばしば違反したとき」等に該当する行為をした場合は、減給または出勤停止に処するものとされていた。

(訴え)
複数の女性従業員に対して性的な発言などのセクハラ等をしたことを懲戒事由としてY社から出勤停止の懲戒処分を受けるとともに、これらを受けたことを理由に階の等級に降格
上記各出勤停止処分は懲戒事由の事実を欠き又は懲戒権を濫用したものとして無効
上記各降格もまた無効である等と主張
上記各出勤停止処分の無効確認や上記各降格前の等級を有する地位にあることの確認などを求めた。

(判決)
懲戒権を濫用したものとはいえず、有効なものというべきである

問題のある従業員に対するパワハラの有効性


(感想)
従業員に問題があったとしても、パワハラはパワハラである。
しかし、素因減額は認められる。

(重要文言)
Xの起用症などが寄与した点も大きいと認めて素因減額として4割相当である354万9,456円を減じ

(事件概要)
Y2の指示通りの資料を提出することはせず、その後もY2が複数回にわたり指導したが、Xは改善に取り組もうとしなかった。

平成18年7月頃、他の部署から、Y2に対し、Xの勤務態度に問題があるので改善指導をしてほしいとの要望がされた。

Y2は集計方法や問題点を確認するよう指示したが、XはY2の指示通りの資料を提出しなかった。

Y2のXに対する注意指導の回収が増えたり、その注意指導の程度が多少厳しいものになったりすることもあった。

(判決)
新入社員だ。もう任せられない等の言動につき、部下に対する注意又は指導のための言動として許容する範囲を超え、相当性を欠くものであったとして、不法行為を構成するとされた。

Y2は診断書を見ることによりXがうつ病に罹患したことを認識したにもかかわらず、Xの休職の申し出を阻害する結果を生じさせたことにつき、部下の心身に対する配慮を欠く言動として不法行為を構成するとされた。

Y2の行為は、Xのうつ病の発症及び進行に影響を与えた違法なものであって、Y2は、Xのうつ病の発症及び進行に対して不法行為責任を負うと判断した。


固定残業の有効性

(感想)
定額の時間外労働については、やはり45時間を目安にするのが良い。
100時間については、現実的に問題がある。
(重要文言)
月当たりの時間外労働時間を算出すると営業手当はおおむね100時間の時間外労働に対する割増賃金の額に相当する。

労基法32条は、労働者の労働時間の制限を定め、
同法36条は、36協定が締結されている場合に例外的にその協定に従って労働時間の延長などをすることができることを定め
36協定における労働時間の上限は、平成10年12月28日労働省告示第154号において、月45時間と定められている。
100時間という長時間の時間外労働を恒常的に行わせることが上記法令の趣旨に反するものであることは明らか

本件営業手当の支払いが合意されたとの事実を認めることは困難
本件営業手当の全額が割増賃金の対価としての性格を有するとは認めがたい。

(事件概要)
Xが、Y社に対し、平成23年3月分から平成25年2月分までの時間外労働に対する割増賃金618万2,500円、これに対する確定遅延損害金、遅延利息、付加金及びこれに対する遅延損害金を請求

基本給18万5,000円
営業手当12万5,000円
内訳として、
時間外勤務手当8万2,000円
休日出勤手当2万5,000円
深夜勤務手当1万8,000円

(判決)
営業手当の支払いを時間外労働の対価と認めた部分を変更し、Xの請求のうち未払賃金651万4,074円等の支払いを認めた。

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Author:roumutaka
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