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元従業員の管理監督者性と未払い賃金請求


(感想)
管理監督者については、認められにくい可能性が高いが、やはり何がどうだというよりは、全体的な判断によるものが多い気がします。

(重要文言)
営業手当をつき30時間分の時間外労働に対する手当として支給し、受給する旨の合意がXとYとの間で成立していたとは認めがたい

住宅手当は、1万円ないし5万円の範囲で支給すると定められているものの、これが従業員の住宅に要する費用に応じて支払われているとは認められない。

<付加金>
Yが営業手当や住宅手当、営業実績に応じた実行手当の支給を継続してきており労基法違反を犯す意思はなかったとのYの主張に対し、
従業員の時間管理を十分に行っていなかったことが正当化されるものではない。

(事件概要)
営業手当は時間外労働割増賃金で月30時間相当分として支給
Xの賃金額は、基本給22万円のほか、住宅手当、営業手当、通勤費等を含んでおり、21年6月16日ないし22年12月18日の間、1か月当たり合計51万5,910円ないし66万5,910円が支給
<Xの業務>
アルバイトスタッフのシフト管理
アルバイトスタッフの見込み顧客の管理
営業担当者への引継ぎ
アルバイトスタッフの指導等
毎週月曜日及び木曜日の午前9時から行われるマネージャー会議に出席する。

(訴え)
労働契約に基づき、平成22年11月から同年12月までの未払賃金合計73万4,619円ならびに21年7月分から23年1月分までの割増賃金合計901万7,927円の支払いを求める。
労基法114条に基づき付加金926万7,846円の支払い等を求めた。

(判決)
テレホンアポイント業務の運営をXの裁量で行う事が出来たというY社の主張に対して、テレホンアポイント部の運営を自身の裁量を行う事が出来たとまで認めることはできない。

タイムカードによる管理を受けており、
Xの職責及び責任の重要性の程度並びに勤務実態が、労基法による労働時間規制になじまないという事ではなく、
むしろ、土曜日ついてはYが午後8時までの勤務を支持していたことと相まって、労働時間を事由に定めることができないことを推認させる事実というべき
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警備員らの仮眠・休憩時間の労働時間該当性


(感想)
仮眠・休憩時間と労働時間との区分けをする際の一つの参考になると思われる。
(重要文言)
労働からの解放が保障されていない場合には、労基法上の労働時間に当たるというべき
実質的に実作業への受持が義務付けられていないと認めることができるような事情がある場合には、労働者は使用者の指揮命令かにおかれているとは評価できず、労基法上の労働時間に当たらないと解するのが相当
(本件)
仮眠・休憩時間中に実作業に従事した事例は極めて僅か
仮眠・休憩時間中に実作業に従事することが制度上義務付けられていたとまではいえない
少なくとも仮眠・休憩時間中に実作業に従事しなければならない必要性が皆無に等しいなど
(状況)
 B病院には最低4名以上の警備が配置
 1名が守衛室で監視警備など業務に当たり、1名が巡回警備業務に当たる傍ら又は守衛室に待機して、突発的な業務が生じた場合にこれに対応する体制がとられていた。
 仮眠をとる警備員は、シャワーを浴びた上で、制服からパジャマやトレーナーに着替え、仮眠室に布団を敷いて就寝していた。
 仮眠・休憩時間中に突発的な業務に対応して実作業を行った場合は、時間外手当を請求するようにと指示
 仮眠時間中に警備員が実作業に従事した件数は、合計17件で、1人当たり平均すると1年に1件にも満たない。
 仮眠時間を中断して実作業に従事したことが明らかな事例は4件あったが、そのうち3件は地震又は火災という突発的な災害によるもので、そのうち1件は時間外手当の請求があり支払い
 休憩を中断して実作業に従事したと認められる事例は12件

(事件概要)
B病院における勤務体制上、仮眠・休憩時間とされていた時間について、労働からの解放が保障されておらず、労働時間に当たるのに、その点を踏まえた適正な賃金の支払いを受けられなかったと主張

支払拒否を理由とする不法行為による損害賠償請求権
差額相当の賃金又は損害賠償金の支払い
Xらそれぞれ損害賠償金20万円及びこれに対する遅延損害金の支払いを求めた。

(判決)
不法行為が成立するものではないとした。

管理監督者の安全配慮義務及び、上積み補償の損益相殺


(感想)
労災上積み補償が福利厚生としてではなく、従業員の業務上の死亡による損害を填補する趣旨として損害賠償金に定められた事は有意義であると思う。

(重要文言)
脳・心筋疾患の業務上外の認定に関する厚労省労働基準局長通達「脳心臓疾患及び虚血性心疾患などの認定基準について」
① 異常な出来事
② 短期間の過重業務
③ 長期間の過重業務

<管理監督者への配慮義務>
自分の判断で自らの勤務時間を適正なものに減ずることは困難
勤怠管理の権限が与えられていたことが安全配慮義務を否定する根拠にはならない。

<損益相殺>
逸失利益 6,791万7,708円
死亡慰謝料 2,800万円
葬祭費用 150万円
(損益相殺として)
労災遺族補償年金 2,016万8,753円
葬祭料 97万6,500円
労災上積み補償 2,400万円

(事件概要)
Kが死亡したのはY社における長時間かつ過重な業務が原因
Yには安全配慮義務違反があったと主張
債務不履行に基づく損害賠償として、損害金の支払いを求めた。
平成17年6月26日 Kは、急性心筋梗塞により死亡
20年4月4日 Kの死亡原因である急性心筋梗塞が業務に起因する疾病である旨の認定
労災保険法に基づく遺族補償年金2,016万8,753円、同法に基づく葬祭料97万6,500円、
Yによる労災上積み補償2,400万円の合計4,514万5,253円がXに支払われた。

住宅手当等の不正受給を理由とする懲戒処分


(重要文言)
全体の奉仕者である公務員の法令に従う義務(地公法32条)に違反
その職の信用を傷つけ、職員の職全体の不名誉となる信用失墜行為(同法33条)
同法29条1項1号及び3号の懲戒事由に当たることが明らか
停職6か月という処分は重い処分ではあるものの、これが停職にとどまっている以上、裁量の範囲を逸脱したものと認めることはできない。
① 本件非違行為の態様
② その結果の重大性
③ 公務員の職が被った信用毀損の程度
④ 市民に与えた影響
⑤ 非違行為発覚後のXの対応等を考慮

(事件概要)
Xは、住居手当として月額2万8,000円の支給を受けていた。
住宅を購入
住宅手当として月額8,000円が支給
Y市はXに対し、従前通り借家に居住している前提での金額を支給
毎月2,400円多く支給し続けていた。
住所変更などの手続きを行わず、不正に住居手当及び通勤手当を受給し続け、新聞報道されたことでY市の信用を失墜させた。
弁明の内容などから反省の態度が見られないことを理由に、停職6か月の懲戒処分
虚偽申告をして融資を受けるなど、日ごろの勤務態度にも問題があることを理由に、分限免職処分

分限処分(ぶんげんしょぶん) :一般職の公務員で勤務実績が良くない場合や、心身の故障のためにその職務の遂行に支障があり又はこれに堪えない場合などその職に必要な適格性を欠く場合、職の廃止などにより公務の効率性を保つことを目的としてその職員の意に反して行われる処分のこと。

(訴え)
Xが、住宅手当及び通勤手当の不正受給等を理由に明石氏公営企業管理者から停職処分及び、分限免職処分を受けた。
事実誤認などがあるからいずれも無効であると主張してその取消を求めた。

(判決)
停職6か月という処分は重い処分ではあるものの、これが停職にとどまっている以上、裁量の範囲を逸脱したものと認めることはできない。
分限免職処分の処分事由が、本件懲戒処分事由とほぼ重複し、既に停職6か月という重い処分がされていることからも、相当なものという事はできない。

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