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フリーシフト制の休業認定について


(考察)
画期的な雇用契約であると思われる。休業の認定については興味深い。勤務可能日の申告が労務を提供する意思表示と就労義務と認められるかどうかで、具体的な証拠がないとして却下した事については参考になる。

(重要文言)
<フリーシフト制>
労働基準法35条1項に定める法定休日を日曜日とする旨の合意がなされた契約
Yから従業員に対して、翌日勤務すべき場所が具体的に指定されることによって、具体的な勤務日及び勤務場所が定まる。
具体的に指定されない場合、当該勤務日の具体的就労義務が免除されるという特質を有する契約

<休業の認定>
月曜日から土曜日までのうち、Yが就労の日時・場所を指定しなかったために勤務できなかったのは使用者の責めに帰すべき事由による休業であると主張
これに当てはまる休業日42日分について賃金の支払いを求めていた。

各日についてXがYに対し勤務が可能であると申し出て労務を提供する意思表示をしたこと、YがXに対し就労義務を具体的に免除したことを認めるに足りる証拠はない。

(事件概要)
祝日を除いた月曜から土曜日までの6日間に、
その日ごとYから支持される作業現場に赴いて稼働
就労日の前日に翌日の作業場所を指示
1週間前までの勤務可能日の申告をするよう指示
事前に休日の申告をしていない従業員に対して作業場所を支持して作業に従事

(訴え)
Yに対し、
平成23年9月18日に20日、
24年9月18日に20日、
25年9月18日に20日の合計60日の年次有給休暇を取得
その時期指定権を行使したとして、
労基法39条に基づき未払賃金60万円、
雇用契約に基づき、23年11月分から25年8月分までの未払残業代として7万5,451円
23年10月31日から25年6月6日までの会社都合による休業日42日分の未払い賃金として42万円、
休日労働した24年7月8日の未払い割増賃金として2,750円
の支払いを求めた。
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不正アクセスに関する懲戒処分


(考察)
今後のマイナンバー制度導入に関しても、興味深い内容であると思われる。懲戒処分の度合いを知るにも良い判例であると思われる。

(重要文言)
Xが部下に指示して情報ネットワークシステムにおける自身のIDに特定利用権限を設定させた行為、当該権限を行使して本来の閲覧権限ではアクセスできない各フォルダおよびその中のファイルにアクセスした行為
地公法33条の信用失墜行為ならびに同法29条1項各号(懲戒事由)ならびに同法28条1項3号(降任事由)に該当

懲戒権者が裁量権の行使としてした懲戒処分は、社会観念上著しく妥当を書いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、違法とならない。

<実損>
新聞報道により、広く市民に知られるところとなり、信用失墜の度合いも小さくない。
かつての部下であるFらに対し、その抹消を執拗に要求
夜間にサーバー室に侵入させてまで実行させるという隠ぺい工作を行っている。
事後対応も悪質であることのほか、過去に懲戒処分歴もある。

(事件概要)
Xは、C課長の本来の閲覧権限ではアクセスできない各フォルダおよびその中のファイルにアクセスした。
Xに特定利用権限が設定されていたことがYの知るところとなった。
アクセスログ調査により、Xによる本件アクセス行為が明らかになった。
Yは、これら一連の事象に関して、Xを含む関係者に対して、懲戒・分限処分を行った。
Xに対しては、20日間の停職及び課長から主幹への降任

(訴え)
Y組合に勤務する公務員であるXが、地方公務員法29条1項各号に基づき20日間の停職とする旨の懲戒処分及び同法28条1項3号に基づき課長から主幹へ降任する旨の分限処分を受けたことについて、いずれの処分も違法であると主張
その取消を求めた。

(判決)
本件懲戒処分を行ったことが、処分権者の裁量を逸脱・濫用したものとはいえない。

待機時間の労働時間該当性


(考察)
当たり前の判決であるとは思われる。待機時間については、ほとんどの企業が問題視される可能性があると思われる。

(重要文言)
不活動時間であっても労働からの解放が保証されていない場合には労基法上の労働時間に当たる。
当該時間において労働契約上の薬務の提供が義務付けられていると評価される場合、労働からの解放が保障されているとはいえず、労働者は使用者の指揮命令下に置かれている

乗務員らは、待機時間中の全ての時間において、乗客対応を行うことを黙示的に義務付けられていたと判断
バスから離れて自由に行動することまで許されているものではなく、
一定の場所的拘束性を受けたうえ、いつ現れるかわからない乗客に対して適切な対応をすることができるような体制を整えておくことが求められていた。

(事件概要)
バスの運転手として勤務する原告ら14名
終点に到着した後、別の視点として発進するまでの時間を調整時間
遺留品確認、車内清掃、バスの乗り場への移動などを行うために必要な時間を転回時間
調整時間のうち、転回時間を除く時間を待機時間
交通局は、乗務員らに対して待機時間は休憩時間であるから待機時間中に乗客の対応をする必要はないという趣旨の指示ないし通知をしたことはない。

(訴え)
時間外割増賃金の一部が未払いであると主張

(判決)
調整時間の全てが労基法上の労働時間に該当すると判断

復職の可否に対する障害者法の影響


(考察)
復職の可否の判断に、障害者法による雇用の責務を考慮する必要があるという記述に驚かされた判例でした。

(重要文言)
休職の事由が消滅とは
通常の職務を通常の程度に行える健康状態になった場合
または当初軽易作業につかせればほどなく従前の職務を通常の程度の行える健康状態になった場合

職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合、
当該労働者が配置される現実的可能性があると認められる他の業務に就いて労務を提供することができ、
かつ、その提供を申し出ているならば、
なお債務の本旨に従った履行の提供がある。

復職の可否の判断においては
障害者基本法、発達障害者支援法、障害者雇用促進法による障害者の雇用にかかる責務の趣旨も考慮すべき
しかし、これらは努力義務にとどまる。
合理的配慮の提供義務も、労働契約の内容を逸脱する過度の負担を伴う配慮の提供義務を事業主に課すものではない。

(事件概要)
Yに雇用され、業務外の傷病により休職
平成24年2月29日をもって休職期間満了により自然退職となる旨をXに告知
以後の就労を拒絶

(訴え)
就業規則の定めに基づき休職期間満了により退職を告知されたXが、休職期間満了時において就労は可能であったとして、地位確認および賃金等の支払いを請求

(判決)
労務を提供でき、かつ、その提供を申し出ていたともいえないとして、Xの請求を退けた。

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