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委託契約の途中契約に関する労働者性

(考察)
時間的拘束力がないこと、再委託が認められていることについては、今後委託契約をする際に求められるものであると考えられる。

(重要文言)
業務内容に関して
具体的な業務について個別に実施するか否かの選択ができるわけではないが、
包括的な仕事の依頼を受託した以上、当然

訪問すべき日や時間を指定して個別の仕事を依頼するなどという事は、およそ予定されていない

上記の選択権のないことを本来的な意味の諾否の事由の有無の問題ととらえるのは相当でない。

定期的にローテーション制がとられることは、本件契約の内容となっていたこと
諾否の事由がないという事はできない。

業務実績があげられなかった場合、解約となる可能性はあるが、特別指導があることで、通常の場合の助言や要請に強制力が生じるというのは飛躍といわざるを得ない。

助言指導にスタッフが従わなかったこと自体につき、スタッフに対して何らかのペナルティを科したことを認めるの足りる証拠はない

稼働日数や稼働時間を把握することもできたが、業績不振の原因を把握するために行われたもの
→ 稼働日数や稼働時間も相当幅があり、スタッフの裁量に任されていた。
訪問についても、具体的にどの日、どの時間についても裁量に委ねられている。

稼働日数分働かなくても指導を受けることもない。
→ 時間に対する拘束性は強いものではない。

訪問以外では、待機を強いられるわけではない。

再委託も認められており、実際にも再委託制度を利用している者がいる。

(事件概要)
地域スタッフ
勤務成績不良を理由に途中解約
週刊稼働日数や稼働予定日を記載した業務計画表
実際には、空欄であることが多い
1日1回送信キットを使用し送信
1週間に1度業務の報告書を提出
所得税の源泉徴収はされておらず
事務所得として確定申告処理
社会保険料は納付されていなかった

(判決)
労働契約的性質を有すると認めることはできない。
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職種限定契約者の解雇


(考察)
自分の責任で免許が取消となった場合には、それによる懲戒としての解雇は認められる可能性はあるかもしれないが、それ以外については、解雇は認められる可能性は低いと考えられる。

(参考文言)
職種限定契約
前者 :使用者が本人の同意なく一方的に労働条件や職務内容の異なる他の職種に変更することができるか?
後者 :使用者が解雇などにより契約を打ち切ることができるか

一般的には
職種が格別高度の専門性を有しないものであれば、いずれも否定される
高度の専門性を有するものであれば、その資格などに着目して労働契約を締結すれば、合理的意思と考えられるから、前者は否定され、後者は肯定される。

交通事故の後遺症により普通自動車第二種免許を喪失
就業規則に定める「免許取り消しとなり、タクシー、ハイヤー乗務員としての業務ができなくなったとき」との普通解雇規定は、帰責的・懲戒的な要素を考慮したもの

全員取締役の労働者性


(考察)
内容としては、正社員をすべて役員とした場合の労働者性における考察だと思うが、管理監督者であるかどうかの査定と同様の考え方で良いと思われる。報酬において、売上高や利益をもとに考えているところは取締役としての考え方が出ていると思われる。

(条文)
労基法37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
1. 使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
2. 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
3. 使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
4. 第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

労基法114条(付加金の支払)
裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第6項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から二年以内にしなければならない。

(参考文言)
労基法上の労働者に該当するといえるか否かの問題は、労務供給者に該当するか否かの問題に帰する
客観的な事情をもとに、実質的な指揮監督関係ないし従属関係に服していたか否かという観点に基づき判断すべき

指揮監督関係ないし従属関係に服していたか否かという観点から判断すべき
① 取締役就任の経緯、
② その法令上の業務執行権限の有無、
③ 取締役としての業務執行の有無、
④ 拘束性の有無・内容、
⑤ 提供する業務の内容、
⑥ 業務に対する対価の性質及び額、
⑦ その他の事情を総合考慮

本件)
新入社員への株式譲渡についても、基本的に、その譲渡承認がされることもない
会社法296条以下所定の株主総会の招集手続きが取られたこともなく
総会として必要な同法318条所定の議事録の作成及び備置きがされた形跡はうかがわれない
活動記録に、日々の出退社時刻と各種業務時間数を入力、厳格に管理
事前の場合、欠勤報告書の提出を要し、使用などの曖昧な表現は認められない
2週間を超えての休暇及び1週間を超えての病気欠勤又は使用休暇については、給与を減額
人事異動や授業配置についても、Xが自由に選べるわけではなく、本部での決定
給与23万円程度及び、賞与を支給
その対価は、年間売上高83億円、経常利益12億円強を上げている会社である取締役の報酬としては、低廉にすぎる

(事件概要)
参加条件通知書を提出
① 就業開始日
② 就業場所
③ 業務内容
④ 就業時間、休憩時間
⑤ 休日
⑥ 給与所得
⑦ 欠勤などの査定
⑧ 通勤手当
⑨ 退職
⑩ 競業避止義務
⑪ 除名の各項目

6か月の試用期間経過後、平成23年10月17日に就任承諾書を差し入れて、形式上は取締役とされ、株式も購入
Xは、平成23年3月11日から25年12月21日まで、Y社の類塾に在籍
時間外労働を強いられていたにもかかわらず、取締役であったことを理由に残業代の支払いを受けなかった。

(判決)
Xは、Y社の実質的な指揮監督関係ないしは従属関係に服していたものといわざるを得ず、紛れもなく労基法上の労働者であったと認められるべき

時間外手当の不支給が、労基法37条に違反していることは明らか
労基法114条に基づいて、Y社に対し、過去2年分のXの時間外手当にかかる付加金の支払いを命じるのが相当

団体交渉に関する不当労働行為該当性


(考察)
団体交渉において、話し合いの中に含まれる内容が使用者にとってはかなり大変な作業であると思われる。不法行為と捉えられない状況を作るのが難しく考えられる。

(参考条文)
労組法7条(不当労働行為)使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。
1. 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもって、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。
2. 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。

労働組合の要求や主張を聞くだけでなく、
使用者と労働組合との間で合意および妥協点を見出すため、
困難である場合にも、納得を得るため、要求および主張の具体性や労働組合からの追及の程度に応じ、
具体的な論拠を示したうえで合理的な説明を行うなど
誠実に交渉に当たるべき義務を負う
使用者がかかる義務に違反した場合には、同号が禁止する団体交渉の拒否に当たる

個別人事にかかる事項も、特段の事情のない限り、使用者が団体交渉の事項として取り上げるべき義務を負う

不利益な取り扱いをしたといえるためには、
不当労働行為意思を有していたことが必要
決定的な動機が、労働者が労働組合の組合員であること、または労働組合の正当な行為をしたことにあった場合、
不当労働行為意思があったものというべき

(事件概要)
平成15年1月30日 運送請負契約を締結
平成22年2月25日 団体交渉1
解約の理由自体を明らかにしておらず、その理由を明らかにする必要性はないと考えていたもの

22年10月4日頃 解約予告通知書により、同年11月5日をもって契約を解除する旨を通知
平成22年5月末以降 業務委託契約に変更
契約期間の定めがなかったところ新たに有期契約

同年8月10日 1年間とする業務委託契約が締結
契約書には、X社およびFのいずれからでも契約期間中のいつでも、30日前までの書面での予告により、任意に解除できる旨の定め
同年10月25日 団体交渉2
解除するかどうかはX社の方針で決める、具体的な理由を答える必要はないと考えていると述べている
23年8月18日 団体交渉3
総合的に判断した等と説明するのみで、考慮要素などについては全く説明をしていない

労組法上の労働者に当たるという点では当事者間に争いがない。

(判決)
不当労働行為意思を持って本件解除を行ったもの
労組法7条1号の禁止する不利益取り扱いを行ったものというべき

不当労働行為救済命令取り消し請求につき、いずれも適法であるとして退けられた。

遺族補償年金の受給要件について


(考察)
遺族補償年金について、妻と夫で支給要件が変わる事について、差別的事柄がないことを示す判例と思われる。

(重要条文)
憲法14条1項 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

憲法25条
1. すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2. 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない

(経緯)
平成10年10月18日 妻Kは自殺
夫Xは、Kの死亡当時51歳

22年4月 公務上の災害と認定

遺族補償年金にかかる不支給決定は、Kが死亡した当時51歳
所定の要件60歳以上であることに該当せず
23年1月 遺族補償年金、遺族特別支給金、遺族特別援護金及び遺族特別給付金につき、いずれも不支給とする旨の決定

(判決)
遺族補償年金は憲法25条の趣旨を実現するために設けられた社会保障制度の一環
立法府の広い裁量にゆだねられており、
著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用とみざるを得ないよう場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない事柄であるといわなければならない。
受給権者の範囲、支給要件などにつき何ら合理的理由のない不当な差別的取り扱いをするときは別に憲法14条1項違反の問題を生じ得る。

Xの請求を棄却
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