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施設長、理事長及び、使用者法人に対する損害賠償請求


(考察)
ごく一般的な使用者賠償責任に関する判例であると思われる。管理監督の権限を有する者にも損害賠償を負うことを再確認したい。

(重要文言)
使用者は「労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務」を負い、使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者

使用者の上記注意義務の内容に従って、その権限を行使すべき注意義務を負っている

Kの直属の上司であった被告施設長Y3が、業務上の指揮監督を行う権限を有する立場
理事長Y2も、Kが所定休日にも出勤して仕事をせざるを得ない状況にある

上記注意義務を怠った過失があり、不法行為に基づく損害賠償を負う

Y1も、不法行為に基づく損害賠償を負う。
Y3との関係では民法715条、
Y2との関係では社会福祉法29条・一般社団財団法人法78条(代表者の行為についての損害賠償責任)

(参考条文)
第715条(使用者等の責任)
1. ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2. 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3. 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

(事件概要)
A1施設で事務管理室室長として勤務していた亡Kが、脳動脈瘤破裂による膜下出血を発症して死亡
長時間労働等の過重な業務が原因
Kの妻であるX1および3人の子が、Y1法人、Y2、Y3に対し、Kの業務過重性とYらの注意義務違反を主張
Y1について不法行為又は債務不履行
Y2およびY3については不法行為に基づき、損害賠償を請求

(判決)
週40時間を超える時間外労働時間
発症前1か月目 91時間50分
2か月目 99時間40分
3か月目 146時間42分
4か月目 125時間43分

その他、重要文言参照

逸失利益 4,936万2,258円
慰謝料 2,800万円
損益相殺 労災保険の葬祭料122万5,627円、遺族補償年金1,385万6,222円
弁護士費用 250万円
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企業の名誉棄損に当たる不法行為に関する正当性


(考察)
いつもと同様に権利が侵害されたかどうかが争点になっている。また、社会評価を低下させる場合であっても、真実であり、違法性がなく、論評としての域を逸脱したもの出ない限り、故意または過失は否定される。

(重要文言)
名誉棄損に当たる不法行為や雇用契約上の義務違反等の更新を拒絶する合理的理由があったとは認められない

不法行為といえるためには、Y組合の権利が侵害され
権利を違法に侵害していることを知ることができたと認めるに足りる相当な理由
違法な名誉侵害であると知ることができたと認めるに足りない

(事件概要)
平成25年7月、YはXの再雇用契約期間満了に先立ち、ブログでYを誹謗中傷して損害を与えているとの理由で契約を更新しないことを通告し、就労を認めなかった。

60歳定年後、1年間の再雇用契約を締結した後、期間満了後の更新を拒否されたことに対し、地位確認と賃金支払などを請求

(判決)
本件更新拒絶を認めず、Xの地位確認請求を認めた。

一般の読者の普通の注意と読み方を基準として、その内容がYの社会的評価を低下させるものであれば不法行為となり得る。

公共の利害に関する事実に係わり、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合に、適示された事実がその重要な部分について真実であることの証明があったときは違法性がなく、
この証明ができなかったときも、行為者において真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意または過失は否定される
事実に関する意見ないし論評の表明においても、その行為が公共の利害に関する事実に係わり、
かつ、その目的が専ら公益を図ることにあった場合には、前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があれば、
人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限りにおいて違法性を欠き
真実と信ずるについて相当の理由があれば、その故意または過失は否定される

入れ墨調査に関する差別的取り扱いの是非


(考察)
入れ墨調査を元に差別的取扱いについて議論されている判例であり、他の調査をする際にも参考になる判例である。しかし、今後の動向が気になるところである。

(重要文言)
入れ墨調査が憲法13条に反するか否かの審査基準について、
他のより制限的でない手段が存在しないことまで要するものではなく、
目的の正当性、調査の必要性及び手段の相当性などを総合考慮して判断するのが相当

人の内心における精神作用を外部に公表する精神活動として入れ墨を入れることが一般的であると認めるに足りる証拠はなく、
入れ墨をしているか否かなどについて回答すること自体が思想や進行などの内心における精神作用を外部に公表する精神活動の一態様であるとも解されない
本件調査などが憲法21条に反する旨の主張は採用することができない

<その他社会的差別の原因となる恐れがあると認められる事項に関する個人情報>
人種、民族および犯罪歴に関する個人情報と同様に、社会生活において一般的に知られることにより、特定の個人またはその関係者が社会的に不当な差別を受ける恐れのある情報

入れ墨情報は、人種、民族又は犯罪歴に関する個人情報と同じ範疇に属するものと考えることはできず、
差別情報には該当しない

(重要条文)
憲法13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

憲法21条
1. 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2. 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
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