fc2ブログ

安全配慮義務違反と過失相殺


(考察)
安全配慮義務に関する判例としては良くあるものであるが、過失相殺についてはかなり厳しい判例であると思われる。今後の参考になる。

(重要文言)
自殺するに至ったことについては、既往症が重大な要因となっていることは明らか

原告Xらは、Kと身分上又は生活上一体関係にあるものとして、Kの病状を正確に把握したうえで、
医師などと連携して、Kを休職させ、適切な医療を受けさせるよう働きかけをし、自殺を防ぐために必要な措置を採るべきであった

過失相殺または過失相殺の規定(民法722条2項)の類推適用により、損害の8割を減ずるのが相当

(事件概要)
業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して職員の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負う

安全配慮義務を怠ったことによって、本件既往症を増悪させ、自殺するに至った。

安全配慮義務違反とKの自殺との間には、相当因果関係がある。


スポンサーサイト



1年間の繰り返し継続勤務者に対する年休


(考察)
非常に当たり前の話であるとは思われるが、判決の考え方は参考になる。

(重要文言)
「継続勤務」(労基法39条)については、勤務の事態に即して実質的に労働者としての勤務関係が継続しているか否かにより判断すべき

空白なく再任用が繰り返される非常勤職員について、「継続勤務」該当性に関する解釈は確立していたと認められる。

(事件概要)
1年間の任期で、非常勤職員に任用
平成17年3月1日から24年3月31日まで繰り返し任用

(訴え)
年次有給休暇付与日数について、不足する年休日数に対応する賃金相当損害金の賠償を求める。
公法上の義務の不履行または国賠法1条1項に基づき、慰謝料の損害賠償などを求めた。

(判決)
債務不履行について帰責事由がないとはいえない。
不足日数全部について年休を取得した蓋然性が高いと認めるに足りない。
不足する年休日数に対応する賃金相当損害金との間に因果関係があるとは認められない。
損害額を20万833円とした。

短期間雇用を複数雇用主間で繰り返したことによる損害賠償請求


(考察)
今後の期間雇用者の取扱いについて、一つの参考となる判例であると思われる。今後、このような取り扱いが増えるように感じられる。

(重要文言)
各外郭団体の規約や予算、運営の独自性などから法人格否認の法理の適用が否定

黙示の労働契約の成否について、
Xにおいて同期間もYが雇用主であると認識し、Yにおいて同期間もXとの雇用関係があると認識していたなどとは到底言えず、
X・Y間の意思表示の合致が認められないばかりか、任命権者による認容がない以上、法的な雇用契約ないし勤務関係は成立しない。

(事件概要)
Y及び、その外郭団体との間で交互に短期間の雇用を繰り返して勤務

平成18年8月21日から9月25日 Yの交通政策課の臨時的任用職員として雇用
同月26日から10月31日 各外郭団体の一つに、臨時的職員として雇用
25年3月18日に勤務を終えるまで 2か月未満の期間で臨時職員として繰り返し雇用

(主張)
法人格否認の法理などにより一貫してYに雇用されていたと主張
退職手当の支払いを求めるとともに、臨時的任用職員の期間制限や社会保険料の負担を免れる目的で雇用主を名目的に切り替えたと主張
国賠法1条1項に基づき、退職共済年金相当額および慰謝料の支払いを求めた。

(判決)
臨時的職員として2か月程度の間をあけながら繰り返し雇用
臨時職員制度の趣旨に反し、
本件で部分的に職安法や派遣法に反する取扱いがなされていた点
Yには注意義務違反がある
国賠法1条1項に基づく慰謝料請求が一部認容


プロフィール

roumutaka

Author:roumutaka
毎日、2時間以上の勉強を欠かさず、一歩ずつでも前進致します。
顧問先様への新しい情報の発信及び、提案の努力を怠りません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる