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事務組合の解散と承継による地位確認


(考察)事業承継についても期待権の認められるケースは大いにあることに注意したい。

任用関係の主体が消滅したときに職員は身分を失う
 任用とは:ある人を役目につけて使うこと

他の地方公共団体との間に任用関係の承継ないし設定を許容する解釈は、法解釈の限界を超えるものというべき

身分を失った病院組合の職員をY市の市長が当然に職員として任用する義務を負う法律上の根拠は存在せず
職員の任用は、市長その他の任命権者が、その裁量のもと、固有の権限として任命権を行使して行うもの
Xらが、Y市に任用され、固有の勤務関係を設定することについて法律上の利益を有していると解することはできない

Y市の市長が、Xら職員に対し、解散後も任用されると期待することが無理からぬものとみられる行為をしたというような特別の事情がある場合
期待を抱いたことによる損害につき、国家賠償法に基づく賠償を認める余地がある
 国家賠償法とは:行政救済法のひとつ。公共団体の公権力の行使によって生じる損害賠償の責任と、国家の営造物の設置管理に関する損害賠償の責任を規定した日本の法律である。同法は次の6条からなっている。(1条)公権力の行使に関する規定(2条)公の営造物に関する規定(3条)賠償責任者に関する規定(4~6条)他の法律との関係

市長に向けられていた期待は、法的保護に値するものというべき
職員の身分について従来の方針を変更し、事情の変更について誠実に説明することをしなかった行為は、期待権を侵害するもの
国家賠償法に基づく損害賠償責任を負う

期待権侵害による慰謝料として、各自50万円とするのが相当
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正社員登用受験機会不受理に対する損害賠償


(考察)当たり前の判決であると思われる。
(事件概要)
<正社員登用試験の受験資格など>
正社員の欠員状況や必要人数
Yの経営状況や事業計画等を総合的に勘案したうえで決定

雇用期間が満4年に達した者に対して「直近の」正社員登用試験の受験資格を与えるという点がXらとYとの間の契約社員にかかる雇用契約の内容となっていたといえないと認めるのが相当
Yの債務不履行責任の点については理由がない

管理監督者性


(考察)管理監督者性を認められない一般的な判例と思う。
(事件概要)
原告Xが、抑うつ神経症を発症して勤務不能
多い月で240時間の時間外労働
1年間の勤務日数が356日
349日間が連続勤務
強い心理的負荷を生じさせる過重性を有する

<管理監督者性>
Yの意思決定にかかる会議に出席することはなく
一部門が管掌する施設内で調理業務を担当していたにすぎず
部下も5人程度と少数で、経営上重要な事項の決定などに関与する立場にあったとはいいがたい
出退勤時刻は自らの判断に委ねられていたものの、タイムカード打刻が要請されていた
会館で提供される料理にかかる調理を行うという「包括的な指揮命令」の下で必要な労働時間が自ずと決まる
限られた範囲内で調整できたにすぎなかった
管理監督者性を否定

民法536条(債務者の危険負担等)
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
→ 今回、就労不能後の賃金請求権および期末手当請求権が発生する。
症状固定までの間について、
月額40万6,000円の賃金請求権のうち休業補償給付の損益相殺の対象とならない40%
就労中の期末手当の一部未払分と就労不能後から症状固定までの期末手当の支払い請求

反対給付とは :売買などの双務契約で、一方の給付に対して対価の意味をもつ他方の給付。 例えば、売り主の目的物の給付に対する買い主の代金支払いの給付など。
→ 今回のケースでは、原告Xが労働するという給付に対して、Yが賃金を支払う給付
償還とは :返却。特に、債務を返済すること。
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