視覚障害を有する准教授への変更命令の有効性
(考察)
今回の判例については、障害者に対する合理的配慮が大きく左右していると思われる。今後の対応にも大きく影響すると思われる。
(重要文言)
授業担当を免じる職務変更命令に業務上の必要性が存しない場合やそれが不当な動機・目的を持ってされた場合等、客観的に合理的と認められる理由を欠くときには、当該職務変更命令は権利を濫用するものとして無効
<本件職務変更命令の必要性>
授業内容改善のための各種取組などによる授業内容の改善
補佐員による視覚補助により解決可能なもの
必要性としては十分とはいえず
Xの研究の自由、機会を完全に奪うもの
永続的に授業を担当させないことを前提とするもの
Xに著しい不利益を与えるもので、
客観的に合理的と認められる理由を欠く
権利の濫用であり無効
<障害者に対する合理的配慮>
視覚補助の在り方をどのように改善すれば学生の問題行動を防止することができるのか
所属する学科全体で検討・模索することが、望ましい
(事件概要)
Y学園が設置するJ短期大学に准教授として雇用されていた原告Xが、
授業を担当させず学科事務のみを担当させる旨を職務変更命令及びそれに伴う研究室の変更命令を違法無効なものであるとして、
上記各変更命令に従う義務のない事の確認を求める
当該職務変更命令はXに対するパワハラとしての不法行為であるとして、
慰謝料500万円の支払いなどを求めた。
遺伝性疾患である網膜色素変性症が進行して文字の判断が困難となったため、XはBによる視覚補助を得て授業活動及び研究活動に従事
(判決)
本件職務変更命令は教員が行うべき本来的職務のうち、担当授業を免じて研究および学科事務に集中させることを内容とするもの
教員の本来的職務とは異質の負担を新たにかけるものでもなく、
何ら減給などの不利益を伴うものでもない
本件職務変更命令は配転命令であってXの同意がない限り効力を有しないとするXの主張は採用できない。
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