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懲戒による給与減額の有効性

(重要文言)
労基法24条に基づき、使用者に生じた債権を持って労働者の賃金債権と相殺することは許されない。

(経緯)
昭和46年 Y社に入社
平成12年3月 Xの管理するダミー会社の預金口座に外注費として振り込ませるという不明朗な資金の流れが税務調査の対象
Xはその事実関係を大筋で認め、金額の使途については営業経費として使用した旨を述べた
平成12年5月19日 代表取締役およびその他の役員、顧問弁護士らで税務調査に対する対応について協議し、525万円9,000円、5,758万2,622円を弁護士名義の預金口座に送金
平成12年6月13日 本件仮差押命令(Y社は、Xが発注先会社に架空の請負代金として4億596万余円を振り込ませて費消したため、Yに対し同額の損害賠償義務があることを認める旨の念書を提出)
平成18年3月22日 謝罪文の提出がなければ懲戒を実施する旨の文書を交付。Xは本件開示行為につき、議事録が機密に該当するものではなく、またA社との人間関係を維持し、最終的にはYのためにやむを得ずに行った行為であるなどと反論
同年6月20日 月額3万円を役員会が解除決定する日まで減額するという内容の懲戒処分
平成19年3月28日 Xの座席が観察できる位置に監視カメラを設置
同年6月22日 Xの携帯電話をナビシステムに接続し、常時位置確認できるように設定。深夜、早朝や休日、退職後についても数度にわたり居場所確認を使用されている。
平成20年1月 Yを定年退職

(訴え)
<XがY社に対し>
① 6284万余円の預託金などの返還請求
② 減給の懲戒処分や謝罪文提出要求に対し不法行為又は使用者責任に基づく慰謝料請求
③ 監視カメラの設置、携帯電話のナビシステムの接続によるXの居場所の確認などに対し不法行為又は使用者責任に基づく慰謝料請求
④ 懲戒処分によってなされた賃金など減額分に対する差額請求など
⑤ 業務上の立て替え払い分に対する返還請求
⑥ 貸付金の利率に関して不当利得返還請求
⑦ 遅延損害金②から⑥の合計3,866万1,837円の支払い

<Y社がXに対し>
Xの背任行為により4億円余りの損害を被ったとして、既払い分を控除した3億余円の損害賠償及び遅延損害金

(判決)
原告Xが被告Yの顧問弁護士に送金した525万9,000円および5,758万2,622円につき、Xが主張する預託契約の成立が否定

Xの管理する複数のダミー会社の預金口座に外注費として振り込ませる方法によって蓄財した合計4億596万8,716円を、個人的な株取引などに費消し、Yに同額の損害を与えた。
Xは「労働契約上の債務不履行に基づく損害賠償債務を負担しているというべきである」が、その消滅時効は商法522条に基づき5年
H社関係の損害賠償請求権のうち「本件仮差押命令の請求債権5,000万円についてはその発令によって時効中断の効果が認められる」が、それ以外の部分は「消滅時効が完成したというべきである」

本件会議の議事録は、会社外部に開示することは予定されておらず、Xは、Y社内部で問題を解消する機会があったから、仮にK部長との信頼関係を維持するなどの目的があったとしても、その不当性は払拭されない。
「会社の機密を社外に漏らしたとき」という「表彰及び懲戒規定」に該当する。
社内手続きについても特段、違法・不当はうかがわれないから、本件減給処分は、客観的、合理的理由があり、社外通念上相当であるから有効

セキュリティー向上という本件監視システム設置の必要性が認められ、「ネットワークカメラによる撮影が、Xのプライバシーを侵害するということはできない」
行動の予定の入力指示についても不法行為を構成するものではない

Xの勤務時間外である早朝、深夜、休日、退職後の時間帯、期間」の居場所確認に限り、不法行為を構成するとし、慰謝料として10万円が相当であり、使用者責任を負う。
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