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国歌斉唱不起立に対する職務命令違反を理由とする懲戒処分の有効性

(重要文言)
<憲法19条違反>
卒業式という式典における慣例上の儀礼的な所作として国歌斉唱の際の起立斉唱行為を求めることを内容とする本件各職務命令は、Xの思想及び良心の自由を侵すものとはいえない。

<教師の教育の自由(憲法23条、26条)を侵害するか>
大学教育と異なり「普通教育では、児童、生徒の側に学校や教師を選択する余地が乏しく、教育の機会均等を図る上からも全国的に一定の水準を確保すべき要請があることなどからすると、普通教育において、教師の完全な教授の自由を認めることはできない」

(事件概要)
平成18年3月 X(平成16年4月から本件中学校で教員として勤務)は、国歌斉唱時の不起立は信用失墜行為であるから今後しないことなどの注意指導を受けた。
平成19年3月以降 各卒業式において規律及び国歌斉唱を行わなかったので、本件第1から4処分を受けた。
処分1 18年度について戒告
処分2 19年度について減給10分の1
処分3 20年度について減給10分の1
処分4 21年度について停職1か月
<本件各通達>
教職員が通達に基づく学校長の職務命令に従わない場合には、職務の責任を問われることを教職員に周知することとされていた。
「過去に非違行為を行い、懲戒処分を受けたにもかかわらず、再び同様の非違行為を行った場合は、量定を荷重する」と定められていた。

(訴え)
第1から3処分の取消と精神的苦痛に対する慰謝料などおよび遅延損害金の支払いを求めた訴訟(甲事件)
XがY(代表者・都知事)に対し、本件第4処分の取消と精神的苦痛に対する慰謝料などおよび遅延損害金の支払いを求めた訴訟(乙事件)

(判決)
第1処分に当たり、懲戒処分の中で最も軽い戒告処分を選択したことについては、社会通念上著しく妥当を欠くものとはいえず、懲戒権者としての裁量権の範囲を逸脱し、又は、これを濫用したものとして違法であるとはいえない。
第2から4処分に当たり、懲戒処分が加速度的に累積して荷重され、短時間で反復継続的に不利益が拡大していくことなどを勘案すると、戒告1回の処分歴があることのみを理由に第2処分として減給を選択したことは、裁量権の範囲を著しく超えるものとして違法と判断
各処分を選択したことについて、職務上尽くすべき注意義務を怠ったものと評価することは相当ではなく、慰謝料請求は退けられた。
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