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付加金の可否

今日は、中安金の助成金申請の手続きを行なってきました。
早く景気が良くなって欲しいものです。

さて、本日の裁判判例は、時間外手当と懲戒解雇に関する内容が記載されておりましたが、付加金を支払うボーダーラインが少し見え隠れする裁判判例だった気がします。


(事件概要)
平成20年10月29日、時間外手当、深夜手当を請求する旨を記載した内容証明郵便を送付(品川労働基準監督署に相談)→ 呼び出しを受け、21年1月13日に、労基署の係官がYを訪問 → 事実確認、指導などを行なったが、その後、それ以上の指導、調査などは行なった。(その後)→ それ以上の指導、調査等はなされなかった。
Yから受けた懲戒解雇が無効 → 雇用契約上の地位確認を求め、同解雇後の賃金支払を請求する。→ 解雇前2年2ヶ月間の時間外・深夜・休日労働に対する時間外・深夜・休日手当の支払、有給休暇を取得した日時分の賃金の支払及び、労基法114条に基づく付加金の支払を求めた。

雇用契約 :平成2年9月1日にYと雇用契約を締結(13年4月1日)→ 電算課における課長心得という地位(具体的な業務)→ システム関係全般、患者や医療保険への請求関係や統計関係など多岐にわたるもの(経常的な業務)→ 入院患者、外来患者に関する診療報酬請求明細書発行の業務(15年4月1日以降)→ Xの上司は病院事務長D

(Xの行為)
年次有給休暇を取得する際、所属長に所定の手続きを行なうことが求められる。(休暇を取得する際)→ Dの承認を得ていないことが多い。→ Dは書面で注意、支持した。(しかし)→ Xは、その後もこの指示に従わず、Dの承認を得ることなく欠勤

私物のパソコン12台を持ち込んで執務を行なっていた。(平成20年12月3日付の書面)→ Yは、Xに対し、私物のパソコンを早急に引き上げる。

3ヶ月で新システムのリプレースを完了する旨の理事会側の説明 → Xは新システムを導入するための新医療情報システム導入委員会の構成に加わらない。(同年10月26日)→ Xは構成員ではないにもかかわらず出席 → Dが、退職しないと業務命令違反になる旨述べても従わない。矢印 委員会の開始が10分程度遅れる。

病院事務部の在籍していたAは、Dの支持により、電算課の業務をあわせて行なう。→ Xと二人きりで電算室で業務(Aに対して)→ 1年近くやっているんだから、さっさと終わらせろ。「今の状況ならA君はここにはいらない。」「事務長の犬が。」と罵った。→ Aは、うつ病と診断され欠勤を繰り返す。

ドレーン間が途中で詰まって漏水事故を起こすのではないかと危惧 → サーバー室の床に穴をあけて対応したい旨要望 → 床に穴をあけることは進められないとの設計士の意見(直後)→ 自ら電気ドリルを購入 → サーバー室の床に穴を開けた。

(考察)
(懲戒事由) :再三の繰り返しがあり悪質(同月20日)→ 懲戒委員会を開催し、弁明の機会を設けた。(21年4月30日)→ 懲戒解雇(考察)→ 就業規則所定の懲戒事由該当事実が存在する場合、具体的状況に照らし、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念滋養相当性を欠くと認められる場合には権利の濫用に当たるものとして無効になる。(本件)→ それ自体で直ちに懲戒解雇に該当するとまではいえない。(しかし)→ XがDから繰り返し注意を受けていたにもかかわらず、これらの行為に及んだ。→ これらの行為も軽視することはできない。→ 

規律違反であるとして、社会通念上相当性を欠く。

無断欠勤、緊急の欠勤に当たり速やかな連絡がない。

私物パソコンを大量に持ち込み私物行為、許可などなく研究所施設を長期に宿泊

Aに対するパワハラ

職制の指示命令に従わないこと

反省がない。

時間外・深夜・休日労働の有無 :タイムカードの打刻がある部分は、それを始業時刻及び終業時刻(打刻がない箇所)→ シフトによる所定の始業時刻ないし退勤時刻を始業時刻ないし終業時刻と認める。(同命令票の記載)→ 勤務していたことが推認される時間帯については労働時間と認めること(どちらか一方の打刻)→ 命令票が提出されていない日時について、遡って、所定労働時間勤務したと推認(承認をした時間帯以外)→ Xの時間外労働などが泊り込みを含む尋常でない勤務態様であったことを認識 → これを禁止していなかったもの → 時間外労働などは、少なくとも黙示の業務命令に基づくものと認めるほかはない。(時間外・休日・深夜手当の額)→ 333万9,119円

管理監督者性 :労働者が、労務管理について経営者と一体的な立場 → 労働時間、休日等の規制を越えて活動することを要請されてもやむを得ない重要な職務や権限を付与されていることを前提(賃金等の待遇及び勤務態様の面)→ 十分な優遇措置が講じられているのであれば、厳格な労働時間などの規制を行なわなくても、その保護にかけるところはないという趣旨に出たものと考えられる。→ 管理監督者に該当するということは出来ない。

有給休暇取得分の賃金請求の可否 :就業規則所定の手続きを踏んでいない。→ 請求を否定

付加金 :職務手当5万円が支給されていたこと、休日ないし深夜労働手当の額は月平均で10万円に上る。→ 少なくとも積極的に残業を強いられた形跡はない。→ 上司との間の意思疎通を欠いた責任の一端がXにあることも否定できない。(労働基準監督署監督官の調査を受けた際)→ Xが管理監督者であるとの認識を示し、監督官も一応の理解を示している。(総合考慮)→ 付加金の支払を命じない。
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