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降給・降格処分と解雇の有効性

(参考文言)
賃金が、労働者にとって最も重要な権利ないし労働条件の1つであることからすれば、
給与規定の定めが存するとはいえ、その変更を使用者の自由裁量で行うことが許容されていると解することはできず、
そのような賃金の減額が許容されるのは、労働者側に生じる不利益を正当化するだけの合理的な事情が必要
そのような事情が認められない以上、無効になると解するのが相当
合理性の判断に当たっては、
① 減額によって労働者が被る不利益の程度
② 労働者の勤務状況などその帰責性の有無及び程度
③ 人事評価が適切になされているかという点など
④ その他両当事者の折衝の事情
を総合考慮して判断

使用者は、人事権の行使として広範な裁量権を有するが、その人事権行使も、裁量権の逸脱、濫用に当たる場合には無効

降給処分及び降格処分の有効性を基礎づけることはできないことからすれば、
いわんやそれよりも重い処分である解雇の有効性を基礎づけることはできないのは明らか

通勤手当は、それが実費補償としての性質を有するから、現実の勤務がない以上、交通費分についての請求は理由がない

賞与はいずれもY1による査定に基づいて支払われたと解される。
差額賞与請求権が発生する根拠はなく、
本件解雇後は具体的な査定が存しない以上、賞与請求権が発生する余地はない。

(経緯)
平成20年2月頃 警備業務などを業とするY1に採用
東京営業本部営業開発部長に任ぜられ
同年3月以降21年2月まで 月額80万円の給与(交通費は別途支給)
平成21年3月27日支給分から 46万7,040円と交通費3万2,960円に減額
(給与減額1)
平成21年4月1日 関連3社を合併
同年11月 東京事業本部の組織変更
第一営業部の営業部長(降格処分1)
平成22年4月 独任官と称する地位に降格(降格処分2)
同年6月27日から 44万7,040円と交通費3万2.960円(給与減額2)
平成22年7月15日 Y2社長は、X1との面談の中で、このままの状態で雇用継続はできない旨述べた
退職するか、新しい営業部長の下で月給30万円の一営業部員として勤務するか、L図書館で警備業務に就くかを決めてほしいと述べた。
平成22年8月17日 本件訴訟を提起

(訴え)
X1がY1社の営業開発部長として就労してきたが、
降格処分を受け、営業開発部長から降格された後、解雇されたので、
上記降給、降格の各処分及び解雇がいずれも無効であると主張
Y1社に対し、営業開発部長としての雇用契約上の地位確認を求めるとともに、
減額分の差額賃金及び差額賞与の支払い並びに解雇後の賃金及び賞与の支払いを請求

(判決)
X1らの主張をほぼ全面的に認容
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