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派遣労働者の中途解雇による黙示の労働契約の成否


(参考条文)
労働者派遣法49条の2 :労働者派遣法は行政取締法規であり、同法違反の行為には、厚生労働大臣による勧告や公表の行政措置が講じられるにとどまる
派遣労働者保護の必要の観点からすれば、そのことによって直ちに、本件請負契約や労働者派遣契約が労働者派遣法違反により公序良俗に違反して無効であるという事はできない。

労働者派遣法40条の4 :直接雇用申込義務
派遣元事業主から、抵触日の前日までに厚生労働省令で定める方法により、当該抵触日以降継続して労働者派遣を行わない旨の通知を受けた場合に生じる
上記義務は、抵触日の前日までに当該派遣労働者であって当該派遣先に雇用されることを希望する者に対して雇用契約の申込を行うべき公法上の義務にすぎない。
X1らの就業を継続させたことのみをもって、黙示の労働契約の成立を推認できるものでないことは明らか

(参考文言)
労働者派遣個別契約の中途解約などについて、必要な配慮を欠き、その時期や態様などにおいて派遣労働者であるX1らの雇用の維持または安定に対する合理的な期待をいたずらに損なうことがあった場合
中途解約などが信義則上の配慮義務に違反するものとして、X1らに対する不法行為となる。


(事件概要)
X1 :平成20年5月13日以後更新を繰り返し
最後の更新は同年12月1日から21年2月28日
(20年12月2日解雇通知、21年1月9日解雇)
X2 :平成18年10月16日以後更新を繰り返し
最後の更新は21年1月1日から21年3月31日
(20年12月19日解雇通知、21年1月31日解雇)
X2 :平成18年10月15日以後更新を繰り返し
最後の更新は20年11月1日から21年4月30日
(20年12月3日解雇通知、21年2月19日解雇)

(訴え)
X1らの実質的な雇用主はY1社であり、同社とX1らとの間に黙示の雇用契約が成立していたもの
Y2社らによる解雇は理由がなく、実質的にY1社が主導したもので共同不法行為に当たるなどと主張
Y1社に対し、雇用規約上の権利を有する地位にあることの確認および各賃金の支払いを求めるとともに、Y1社及びY2社らに対し、共同不法行為に基づき慰謝料の支払い及び遅延損害金の支払いを求めた。

(判決)
X1らとY1社との間に黙示の雇用契約の成立を認めず
不法行為に対する損害賠償請求55万円
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