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新人社員のうつ病・自殺の業務起因性

(参考文言)
「使用者は、その雇用する労働者を従事させる義務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないように注意する義務を負うと解するのが相当」

使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の前記注意義務の内容に従って、その権限を行使すべき

<予見可能性>
うつ病などの精神障害を発症していたことの具体的認識などを要するものではないと解するのが相当

(事件概要)
平成21年4月1日 Kは、Y法人に雇用され、A病院臨床検査料において、臨床検査技師として勤務
平成21年10月17日 Bは、Kが遅刻することが許されない日に遅刻したことに立腹して、Kの留守番電話に「早く起きろ、ばかもの、死ね」というメッセージを残した。
同日午後10時頃 Kは、自宅において自殺

BおよびCは、Kに対し、自習を行うように強制をしたことはない。
Kは、担当検査業務終了後、頻繁に専門書を読み、BやCによるレクチャーを受け、
自分などを被験者として検査を実施するなどの方法により、臨床検査についての自習を行っていた。

(訴え)
Y法人の安全配慮義務違反により、Kが精神疾患を発症した結果、自殺するに至ったと主張
債務不履行による損害賠償請求権に基づき、それぞれ4731万3957円の損害賠償および遅延損害金の支払いを求めた。

(判決)
自殺の1か月前96時間程度の時間外労働
超音波検査担当による心理的負荷が大きく、自殺当日に2時間近く遅刻をしたうえ、上司からの「早く起きろ、ばかもの、死ね」という留守番電話のメッセージを発症
業務と自殺との間の相当因果関係が肯定

Kに対して超音波検査の担当件数を減らすことを打診しただけであり、具体的、実効的な措置を講ずるのを怠り、安全配慮義務を怠っていた
逸失利益、死亡慰謝料等の損害賠償請求が認容

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