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セクハラ被害に対する派遣元の責任について


(参照条文)
労働者派遣事業法31条
派遣元事業主は、派遣先が派遣就業に関する法令を順守するように、その他派遣就業が適正に行われるように、必要な措置を講ずるなど適切な配慮をすべき義務を負う。

派遣先にも
労働者派遣契約に基づき派遣就業をするものに対し、直接の雇用関係にある従業員と同様に、労務の提供に関して良好な職場環境の維持確保に配慮すべき義務を負っており、セクハラに関してもその予防や発生した時の適切な対処をすべき義務がある。

(参考文言)
解雇回避義務
セクハラ被害者が解雇されたり退職を余儀なくされたりすることのないよう配慮すべき義務

セクハラ防止義務を履行しているとは
・ 就業規則に派遣労働者はセクハラの被害を受けたと感じたとき等に派遣元責任者に相談をすべきことなど定め
・ 就業規則を読みやすくサポートガイドブックを作成して配布
・ 派遣契約を締結するときは、苦情処理の申出先が明示されている明示書を交付している。

(事件概要)
Y社から労働者派遣契約に基づきTRC社に派遣されていたXが、東レからTRC社に出向していた社員Dによりセクハラ被害を受けた。

(訴え)
派遣元事業者として派遣労働者に対する職場環境配慮義務違反があったと主張
Yに対し債務不履行または不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき、損害の一部として300万円及び遅延損害金の支払いを求めた。

(判決)
東レの従業員であるHが対処した結果、TRC;社において席替え、Dへの指導、さらにはDの応援という形での異動が行われたが、
Yの派遣責任者Aが積極的な関与をした形跡がない。
Yは救済義務を履行したとはいえず、これに違反

Aは派遣先部長CからTRC社がXにかかる労働者派遣契約を中途解除する意向である旨の通知を受けた。
Xから、労働者派遣契約の中途解除の告知を受けたこと、及びDの復帰がその理由となっていることを告げられた。
AはCに一度抗議しただけで、中途解除をやむを得ないこととして容認
TRCに対するそれ以上の対応をとらなかった。
解雇回避義務の履行をしたとは到底言えず、これに違反

(損害額)
本件契約終了は、Xが従事していた業務の収束によるものであって、Xに対するセクハラの延長といえるものとは認められない。
解雇権濫用法理に照らし無効となることはない。
Xの慰謝料50万円及び遅延損害金の請求が認められた。
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