パートタイム労働法
(参考条文)
労働契約法19条
1号 有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることによりその期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められ、
2号 仮にそうでなくとも、有期労働契約の契約期間の満了後にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められる
パートタイム労働法8条
1項 事業主は、職務の内容、退職までの長期的な人材活用の仕組みや運用などが通常の労働者と同一のパートタイム労働者であって、期間の定めのない労働契約を締結している者については、パートタイム労働者であることを理由として、その待遇について、差別的取扱いをしてはならない。
2項 1の期間の定めのない労働契約には、反復更新によって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる有期契約を含むものとする。
① 職務の内容 が同じ
② 人材活用の仕組みや運用など が全雇用期間を通じて同じ
パートタイム労働者が通常の労働者と職務が同一になってから、退職までの期間において、事業所の人事システムや慣行から判断して同じ、となる場合です。
③ 契約期間が実質的に無期契約
次の2つの場合です。
a)期間の定めのない労働契約を結んでいる場合
b)期間を定めて労働契約を結んでいても、期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当とされる場合
上記3要件すべてにあてはまるパートタイム労働者は、通常の労働者と就業の実態が同じと判断され、賃金の決定をはじめ教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他のすべての待遇について、パートタイム労働者であることを理由に差別的に取り扱うことが禁止されています。
これは、契約期間について通常の労働者と同様であるかどうかを判断する際、形式的に判断するのではなく、実際の取扱いがどうなっているかを判断する、という考え方によるもので、期間の定めがない労働契約を結んでいる場合(aの場合)だけでなく、反復更新によって実質的に期間の定めのない労働契約と変わらない雇用関係の場合(bの場合)も通常の労働者と同様の実態にあると判断します。
(本件)
(a) 就業規則に記載されていたとしても、必ず面接が行われていたとは認められない。
(b) 契約期間の制限があることについて従業員の理解を得られるような説明をしていたとは認められない
(c) 準社員の更新拒絶件数は、全国でも少なく、6年間に2件あったのみで、その割合は少なかった
(d) 転勤・出向の点において大きな差があったとは認められない
(e) 正社員ドライバーの配置の範囲が準社員ドライバーと異なるとはいえない
しかしながら、パートタイム労働法8条1項は差別的取り扱いの禁止を定めているものであり、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めることはできない。
地位確認の請求はいずれも理由がないとして、請求を退けた。
他方において判決は、不法行為を構成する。
(事件概要)
(訴え)
Y社との間で期間の定めのある労働契約を反復して更新していた労働者Xが、Yが契約期間満了前の更新の申込を拒絶したこと
は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められず、
Yは、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申し込みを承諾したとみなされたと主張
更新拒絶期間中の月額賃金及び賞与、更新拒絶による慰謝料を請求
YがXに対して短時間労働者の雇用管理の改善などに関する法律(パートタイム労働法)8条1項に違反する差別的取り扱いをしていると主張
正規労働者と同一の雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認
Yの正規労働者と同一の待遇を受ける雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め、
同項に違反する差別的な取扱いによる不法行為に基づく損害賠償を請求
(判決)
YがXによる有期労働契約の更新の申込を拒絶した事は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であるとは認められない。
慰謝料について、Yには故意又は少なくとも過失があったものと認められるとして、50万円が相当
通勤手当、トレーラー手当、無事故手当、無事故表彰金および時間外手当については、更新拒絶がされて実際に就労していない期間については請求できない
Xに賞与を支給するとの査定がされたとは認められないとして、請求を退けた。
Xは、通常の労働者と同視すべき短時間労働者に該当したものと認められる。
賞与が大幅に異なる点、週休日の日数が異なる点、退職金の支給の有無が異なる点は、通常の労働者と同視すべき短時間労働者について、差別的取扱いをしたものとして、違反するもの認められる。
不法行為として、平成21年4月1日から24年3月31日までについて、賞与及び休日の割増分の差額135万5,837円、
24年4月1日から同年6月30日までについて、賞与及び休日の割増分の差額11万2,983円、
これに不法行為と相当因果関係にある損害としての弁護士費用14万円及び遅延損害金の請求を認容
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