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就業規則変更の合理性


(重要文言)
不利益を労働者に法的に受任させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合、効力を生ずるもの

<合理性の有無>
労働者が被る不利益の程度、
変更の必要性の内容・程度、内容自体の相当性、
代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、
交渉の経緯
国社会における一般的状況などを総合考慮して判断

労働条件を労働者に不利益に変更する内容でありかつ合理性がない就業規則の変更であっても、当該就業規則の変更について労働者の個別の合理がある場合には、
当該労働者との間では就業規則の変更によって労働条件が有効に変更される。
同意の有無の認定については慎重な判断を要し、
各労働者が当該変更によって生じる不利益性について十分に認識したうえで自由な意思に基づき同意の意思を表明した場合に限って同意をしたことが認められる。

X5らについては、
本件各意見書を提出した際に本件役職定年制の内容及び不利益性について理解していなかったことは考え難い
Yの移行に反する意見の表明により不合理な人事異動などを受けたものがいたと認識していたとは認められない。
自由な意思に基づき本件役職定年制の導入に同意したと判断

(経緯)
平成12年1月5日 管理職を対象とする説明会
同月12日 各支店及び本部の職員代表を対象とする説明会
同日 本部および飛田支店を除く支店の職員代表から異議がない旨の書面が提出
同月13日 X5が、「異議ありません」と記載した上で署名押印し、Yに提出
同月24日 X9が、「異議ありません」と記載した上で署名押印し、Yに提出
同年2月14日 意見や反論に対して回答することを目的として説明会
同月15日 意見聴取を目的とする説明会
同月16日 異議がない旨の書面が提出



(訴え)
Xらが、Y社が導入した役職定年制に伴う就業規則の変更は無効であると主張
Yに対して、労働契約に基づき、本件役職定年制が適用されなかった場合における給与、賞与、および退職金と、Xらに実際に支払われた給与などとの差額等の支払いを求め
X6が、不法行為に基づき、本件役職定年制が適用されなかった場合における雇用保険の基本手当と実際に支払われた基本手当との差額等の支払いを求めた。

(判決)
削減幅は年10%という大幅なもの
定年を迎える時点において50%にまで達する
不利益性の程度が非常に大きなもの
他の信用金庫と比べて経費率が高く、職員の賃金を削減する必要性が一定程度
55歳以上の職員にのみ著しい不利益
若手・中堅の職員については給与などの減額がなされていない
早期希望退職制度の導入などの代償措置を導入することが不可能であったことを窺わせる事情もない
Yの破綻等の危険が差し迫っているほど高度なものではない。

(損害額)
役職定年制の導入に関して、就業規則の変更が合理性を欠き無効と判断されることは予見できた
不法行為の成立を認める。
受給した雇用保険の基本手当の額と本来受給できた基本手当の額との差額により損害額が算定
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