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精神疾患発症・自殺の業務起因性


(参考文言)
使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、
業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷などが過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負うと解するのが相当であり、
使用者に代わって労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者の上記注意義務の内容に従ってその権限を行使すべきものであるとされた。

BおよびCにおいて、亡Kが何等か精神疾患を有しており、その状態が良好でないことを認識し得たというべき
前任校で精神疾患を理由とする病気休暇を取得
17年9月以降急な年次休暇の取得や服務上の問題行動等が頻繁に発生するようになっている。
18年7月14日血を吐いたと虚偽の事実を告げて救急車を呼ぶなど、Kの行動に、通常ではありえない精神状態の悪化を疑うべき兆候が現れていた

Kの精神疾患を増悪させる危険性の高い行為で、心理的な負荷を与えていたと認められた。
精神疾患による通院歴
ストレス反応ないしパニック障害による病気休暇を取得
音楽家の教員免許しか有していなかったのに受験科目である国語科の授業を担当
急な年次休暇の取得など勤務態度に問題が相次ぐようになったため、指導力不足など教員と認定して特別研修を受けさせるよう命じた。
研修開始から約1か月で自殺

(事件概要)
平成18年10月28日Y2の設置にかかる教育センターにおける指導力向上特別研修の受講中に自殺
22年3月31日付地公災基金鹿児島県支部長がKの自殺について公務外の災害とする認定処分
25年3月26日再審査請求が棄却
同年7月31日鹿児島地裁に公務外認定処分取り消し請求を提訴

(訴え)
Kの両親であるXらが、Y1市の市立A学校の校長B及び教頭Cによる、執拗な叱責・指導、教員免許外の科目担当による業務加重、
Kの精神疾患の存在を考慮しない指導力向上特別研修の受講命令などのいわゆるパワハラが行われ、
同研修において、Kに対する研修を担当した指導官DらによるKに対する人格攻撃により
Kが精神障害を発症ないし増悪させて自殺したと主張

連帯して、民法715条に基づく使用者責任、
信義則上の安全配慮義務違反の債務不履行
または国家賠償法1条1項及び3項による損害賠償請求に基づき、各4831万8630円および遅延損害金の支払いを求めた。

(判決)
一連の各行為とKの精神疾患の増悪及び自殺との間に相当因果関係の存在が肯定
Bらについて信義則上の安全配慮義務違反があったと認められた。

Xらの損害について、逸失利益5583万余円、慰謝料2200万円、葬儀費用150万円の計7933万余円を認めた。

素因減額として3割、過失相殺として2割、合わせて5割を減額
亡Kが自殺の7年前の平成11年に精神疾患に罹患
対人関係にストレスをためやすい傾向があり、これが労働者の個性の多様さとして想定される範囲を逸脱している部分も存在する
Kが病気休暇を取得するなど事故の健康を保持するための行動をとっていない
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