安全配慮義務違反による不法行為に基づく損害
(参考条文)
国家賠償法【公務員の不法行為と賠償責任、求償権】
1条1項
国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
2条1項
道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があったために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
本件)
① Kの業務上の行動について、Y2が不満を抱いた結果、行われたもの
Y2の職務の内容と密接に関連し、職務行為に付随してなされたもの
Y1は同条項の責任を免れない
② 上司らがY2の行動を知りながら、艦長に報告、注意を超えた制止をしたりしなかったことなどを認定した上で、
艦長に監督義務違反があったとは認められないが、
分隊長、専任海曹、班長らには、Y2への指導監督義務違反があった。
(参考文言)
YらがKの死亡について損害相性責任を負うというためには、Y2及び上司職員において、Kの自殺を予見することが可能であったことが必要
本件)
上司職員らは実態などを調査すればKの心身の状況を把握することができ、自殺決意を回避することができたのであり、
Y2もKの心身の状況を把握することが容易な状況にあったのであるから、
Kの自殺を予見することは可能であったとして、逸失利益を含む賠償請求が認められた。
連帯とは)
どちらでもなく、とりあえず連帯している者が誰がどれだけ支払っても良いので、要求している額を支払ってくださいという事。
(事件概要)
平成16年10月27日 Kが自殺
(訴え)
Xら(Kの母、姉)が
Kの自殺の原因は、Kの先輩自衛官Y2による暴行及び恐喝、上司職員らにも安全配慮義務違反があったと主張
Y2に対しては民法709条に基づき
Yら(国Y1、Y2)に対しては国家賠償法1条1項又は2条1項に基づき、
Kおよびその父母に生じた損害の賠償を求める。
民法709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(判決)
① Kに対し、業務上の不満を抱いた際に、平手で頭を投打、足蹴りするなどの暴力を振るう事があり、少なくとも10回程度以上に及んだ
② 業務上のミスの有無にかかわりなく、エアガンをKに向けて数回以上撃った
③ Kにアダルトビデオを高額で売り使えるなどの恐喝行為をしたこと
Y2とY1が連帯して支払う。
<Kの死亡による逸失利益>
賃金サンセス平成16年第1巻第1表による男性労働者高卒全年齢平均年収
490万1,300円を基礎
就労可能年数とライプニッツ係数表に照らすと
労働可能期間 67歳までの46年間 → 17.8800
生活費控除率 50%
4,901,300円×(1-0.5)×17,8800=43,817,622円
本人分慰謝料 2,000万円
Xら固有の損害 計950万円
(内訳)
葬儀費用 150万円
慰謝料 200万円
弁護士費用等 600万円
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