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従業員を拘束しない会社の労働時間について

こんばんは。

今日は朝から労働保険の更新に関する説明会に行ってきました。

何でもかんでもパソコンで行うようになり、すごく楽になったような、覚えることが増えて大変になったような、複雑な気分に陥っている今日この頃。

さて、今回の判例は割増賃金についてです。
今回の判例でも、パソコンの立ち上げ、切る時間を労働時間の目安としております。
また、業務に関して、従業員の自由に拘束をなくしているように見えて、締切などの起源に追われて、従業員には自由な時間は全くない状態を作り出しているとして、従業員の訴える労働時間を認めた例としても、これまでの判例によく似たケースがもたらされています。



(事件概要)
原告Xは、被告Y社の元従業員(平成19年7月23日から22年7月31日)→ Yとの間で雇用契約関係(所定労働時間)→ 午前10時30分から午後7時30分(休憩1時間)→ 全体として仕事量が多く、所定の出退勤時刻を守っていたのでは、担当の業務を終えることは不可能(一方)→ Yの代表者Bは、締め切りまでに良い仕事さえすれば勤務時間の使い方は自由で構わないとの考え(出退勤管理)→ 関心がなく就業規則はもとより、タイムカードや出社簿等も全く存在しなかった。→ Xは、Yにおいて全く出退社管理などが行われていないことに疑問 → 将来の残業代請求を視野(平成20年1月から)→ 自らの出退社時刻を分単位まで手帳に記録するようになった。(証拠として客観性に欠けると考え)→ 出退社時ごとに、パソコンのソフトを立ち上げたうえ、各出退社時刻を打刻し、パソコンのフォルダ内に保存する方法を用いた。→ Xは、Y社の代表者に対しタイムカードの設置や就業規則の作成を求めた。(しかし)→ 要望に応じる構えは全くみせなかった。

Xは、支払いを求めた。→ Yから割増賃金の一部弁済があったことから、訴えの一部取り下げにより請求金額を減縮


(考察)
時間外労働の割増賃金(判決)→ パソコンの立上げ・終了時刻の保存記録が改ざん変更されたことをうかがわせる証拠はない。(的確な反証がなされない限り)→ Xの出退社時刻を一応推認させるに足る証拠価値を有する。(Yの反証)→ 警備会社のセット・解除時刻との齟齬やフォルダに記録された変更日の日付 → 不自然であったり本件不ソフトの記録時刻の信用性に合理的な疑いを生じさせるものではない。→ Xの出退勤時刻にあたるものと認めるのが相当

労基法上の労働時間 :労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう。(最高裁判所平成7年(オ)2029号同12年3月9日第一小法廷判決・民集54巻3号801頁)→ ①当該業務の提供行為の有無(②)→ 労働契約上の義務付けの有無(③)→ 義務付けに伴う場所的・時間的拘束性(労務の提供が一定の場所で行うことを余儀なくされ、かつ時間を自由に利用できない状態)の有無・程度を総合考慮 → 社会通念に照らし、客観的に見て、当該労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かという観点から行われるべき(本件)→(時間帯a)本件出退社時間を午前6時から同10時30分まで(時間帯b)→ 午後7時3j0分から午前零時まで(時間帯c)→ 午前零時から午前6時まで(それぞれにつき労働時間制を検討・判断)→ 編集業務ということもあり、かなりフレキシブルな勤務形態を許容(しかし)→ 担当業務の締め切りは厳しく管理、その結果も一定レベルのものが求められた。(結果)→ 所定労働時間だけの労働では時間が足りず、法定外残業を余儀なくされる状態 → 早朝(午前6時、7時頃)から出社、深夜午前零時近くまで業務に従事することが常態化 → 時間帯aおよびbにおいて、Y内における残業を余儀なくされ、Bも当然認識(黙示に指示ないし容認)→ 時間帯aおよびbにおけるXの行為は、Yの指揮命令下に置かれていたと評価(時間帯c)→ 実態から、1,2時間程度は残業が続いている。→ Bもこれを容認していたとみることが可能(午前2時以降)→ 一般的に使用者の指揮命令権が及び難い時間帯、作業効率や創造性も著しく低下 → Yにおいて容認していたとは考え難い。→ 午前零時から同2時までに限り労基法上の労働時間にあたる。(休憩時間)→ 勤務状況から、1時間もの労働義務から解放された時間が保障されていたとは認められない。→ 拘束時間が9時間を超える場合に30分間を休憩時間として認定

付加金 :従業員の出退勤管理を怠ってきた経緯、基本給の中に残業代が含まれていたとは到底言い難いこと(時間外労働に対するYの対応)→ 労基法37条などの趣旨・目的に大きく違反するものと言わざるを得ない。→ 制裁金たる付加金の支払いを命ずるほかない。(しかし)→ Yは一部弁済をし、裁判所の和解勧告に基づき解決金の上乗せを受諾していた。→ Yに有利に斟酌して、付加金の額は30万円が相当
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