fc2ブログ

遺族年金・生命保険取扱規定に基づく給付の損益相殺の有無


(重要文言)
生命保険取扱規定の損益相殺は?
生命保険契約に基づいて給付される保険金は、すでに払い込んだ保険料の対価の性質を有し、不法行為ないし債務不履行の原因と関係なく支払われるべきものである。
これを損益相殺の対象とすることはできないというべき

遺族年金規定に基づく遺族年金、他方、厚生年金保険法の損益相殺は?
在職中に死亡した従業員の遺族の生活安定と遺児の育英に資することを目的
不法行為により死亡した被害者の相続人が、その死亡を原因として厚生年金保険法に基づく遺族厚生年金の受給権を取得したときは、
被害者の逸失利益全般との関係で、支給を受けることが確定した遺族厚生年金を控除すべきものと解される。

(事件概要)
平成24年4月23日から同年10月17日まで、継続的に長時間労働に従事
同年6月20日以降、時間外労働時間は常に1か月合計100時間を超えており、
同人が死亡する前の1か月については合計209時間にまで上っていた。
24年10月初旬、Y社における長時間労働によりうつ病を発症し、
同月18日、Y本店の7階から投身自殺を図り、外傷性ショックにより死亡

熊本労働基準監督署長は、遺族特別支給金、葬祭料及び遺族補償年金の支給を受けた。

また、厚生年金保険法に基づき、遺族厚生年金の支給を受けた。

Y社の遺族年金規定に基づき、24年11月分から、X1に月額6万、X2らに月額2万の遺族年金の支給

YとA生命保険会社との間の契約に基づく保険金について、保険取扱規定により、Yから弔慰金として700万円の支給

Yの業務上災害補償規定に基づいて、遺族補償金及び養育一時金の支払いを受けた。

(訴え)
Xらが、従業員の疲労や心理的負荷が過度に蓄積して心身の健康を損なうことがないよう注意する義務を負っているにもかかわらず、Kを長時間労働に従事させるなどしてこれを怠ったため、同人はうつ病を発症し、その影響により投身自殺したと主張

(判決)
使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷などが過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう注意すべき義務を負う。

Yは上記の注意義務を怠ったものと認められ、原告Xらに対し、不法行為に基づき、Kの死亡により発生した損害を賠償すべき義務を負う。

スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

roumutaka

Author:roumutaka
毎日、2時間以上の勉強を欠かさず、一歩ずつでも前進致します。
顧問先様への新しい情報の発信及び、提案の努力を怠りません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる