業務と適応障害の発症との相当因果関係
(重要文言)
当該業務と適応障害の発症との相当因果関係
① Xには精神疾患の既往歴は認められず、センター長としての通常業務を支障なく遂行することが許容できる程度の心身の健康状態を有する平均的労働者であったといえる。
② Xの業務以外に適応障害を発症させる要因があったことを認めるに足りる証拠はない。
Xが適応障害を発病する前である平成21年9月15日から平成22年2月15日までの間の所定時間外・休日労働時間数が0分であるとしてもXの当該業務と適応障害の発症との間には相当因果関係があるという事が出来る。
本件降格人事権の裁量の範囲
Xからセンター長たる地位を奪うものである。
給与面では、センター長たる地位にあった場合に比較して、Xに何ら不利益を与えるものとは認められない。
Xが休職に至った経緯を考慮してもなお、Y1の人事権の裁量の範囲にあるものとして有効
(事件概要)
平成22年10月13日 Xは休職処分後、島田労基署長に労災補償を請求
23年8月5日 同所長は、退職処分後、Xの症状が業務起因性を有する者として療養補償給付の支給を決定
(訴え)
平成22年2月15日頃から休職していた原告Xが、Y1法人に対し、Xに対し降格を行い、更に業務上の疾病による休業中であるにもかかわらず、Xを休職期間満了による退職処分としたことはいずれも無効であると主張
雇用契約上の権利を有する地位にあること及びデイサービスセンター長の地位にあることの確認を求めるとともに、休職期間中及び退職処分後の未払い賃金及び遅延損害金の支払いを求め、さらに、Y1およびその常務理事であった被告Y2に対し、XはY2から恒常的にパワハラを受けたために適応障害に陥った等と主張
安全配慮義務違反及び不法行為に基づき、慰謝料及び遅延損害金の支払いを求めた
(判決)
本件退職処分は、Xが業務上疾病にかかり療養のために休業する期間にされたものと認められるから、労基法19条1項本文に反して無効
労基法19条(解雇制限)1項
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によつて休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第81条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
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