内因性疾患死と業務起因性
(参考文言)
拘束時間数がトラック運転手の労働条件の改善を図るために厚生労働省が示した1日13時間及び1か月293時間という改善基準告示の基準を超えることもしばしばあった。
(事件概要)
Kの発症前6か月間における時間外労働時間数は、
発症前1か月間80時間12分
発症前2か月間82時間51分
発症前3か月間80時間34分
発症前4か月間79時間19分
発症前5か月間79時間46分
発症前6か月間84時間21分
平成19年4月6日 寒気や体のだるさなどを訴えて、F医院を受診し、高血圧と診断
1か月に1回程度の頻度で、F医院を受診
21年11月30日 心室性期外収縮などの異常があると診断
平成22年1月3日 意識不明の状態で発見、内因性疾患により死亡
(訴え)
内縁の妻であったXが福岡東労働基準監督署長に対し、Kが平成22年1月3日に内因性疾患によって死亡したのは、本件会社の業務に起因するものであると主張
22年9月17日付で、労災保険法各給付を支給しない旨の各処分を受けたため、Xが本件各処分の取消を求めた。
(判決)
Kを含む配送運転手に、休憩時間を過ごすための休憩施設が用意されていたわけではなく、Kは、この休憩時間のほとんどを配送業務に用いるトラックの中で過ごし、
ある程度まとまった休憩時間を採ることができたとしても、その間に、疲労を緩和し、体力を回復させることは困難
Kの業務には、量的にも質的にも過重な負荷があったというべきであり、Kは、本件会社の業務に由来する疲労を、長期間にわたって蓄積させていた。
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