上司のパワハラによる自殺と使用者責任
(感想)
相当な注意をしていないと、使用者責任を逃れることは難しい。
被用者のパワハラは使用者責任として不法行為で扱われる。
(重要文言)
Y1がY2に対する監督について相当の注意をしていた等の事実を認めるに足りる証拠はないから、Y1はXに対し民法715条1項の責任を負う。
民法715条1項(使用者責任) :ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
(事件概要)
Kが自殺したのは、Y2及びY3のパワハラによる過重な心理的負荷を強いる業務体制などによるものであるとして、XがY1社らに対し、損害賠償金等の支払いを求めた。
Kは、Y2の上記指導に従って、Y2から受けた指導内容、言われた言葉やこれらを巡って自問自答する内容をノートに記述するようになった。
→ KはY2から、「死んでしまえばいい」等の言葉「又はこれに類する言葉を投げかけられたことが認められる」
Kには特異な性格傾向や既往症、生活史、アルコール依存症などいずれにおいても特に問題はなかった。
Xは平成25年5月29日に遺族補償金366万605円の支給を受けた。
(判決)
これらの発言は、仕事上のミスに対する叱責の域を超えて、Kの人格を否定し、威迫するもの
これらの言葉が経験豊かな上司から入社後1年にも満たない社員に対してなされたことを考えると典型的なパワハラといわざるを得ず、不法行為に当たると認められる。
メンテナンス業務が被告Y1の構内で作業ではなく外注先での作業が大半を占める。
B部の部長Y3が直属の上司であるY2のKへの指導の実態について把握するのは困難。
KがY3に対しY2からパワハラを受けていることを訴えた事実は認められない。
B部部長としての役割は作業現場の人員配置と作業日程の決定にとどまっていた。
Y3の不法行為責任が否定
スポンサーサイト