管理職のセクハラに対する不利益変更の有効性
(感想)
管理職のセクハラについては、職責や立場に照らしても認められるケースが従業員よりはあると思われる。
ただし、今回は問題とはされないが、給与が大幅に減額されることについては、不利益を伴うために問題とされる可能性
(重要文言)
<セクハラ禁止文書>
① 性的な冗談、からかい、質問
② その他、他人に不快感を与える性的な言動
③ 身体への不必要な接触
④ 性的な言動により社員などの就業意欲を低下させ、能力発揮を阻害する行為
等が列挙
Xらは管理職として「セクハラの防止のために部下職員を指導すべき立場にあったにもかかわらず」、職場内において「多数回のセクハラ行為等を繰り返したものであって、その職責や立場に照らしても著しく不適切なもの」
各降格についても、資格等級制度規程には、「降格事由の一つとして就業規則46条に定める懲戒処分を受けたことが規定されており、また、上記の通りXらに対する各出勤停止処分は有効である」
相応の給与上の不利益を伴うものであったこと等を考慮したとしても、左右されるものではない。
(事件概要)
X1、X2は各々課長代理の等級に格付け
セクハラの防止のため種々の取り組みを行っていた。
Yの就業規則には、社員の禁止行為の一つとして、「会社の秩序又は職場規律を乱すこと」を定め、「会社の就業規則などに定める服務規律にしばしば違反したとき」等に該当する行為をした場合は、減給または出勤停止に処するものとされていた。
(訴え)
複数の女性従業員に対して性的な発言などのセクハラ等をしたことを懲戒事由としてY社から出勤停止の懲戒処分を受けるとともに、これらを受けたことを理由に階の等級に降格
上記各出勤停止処分は懲戒事由の事実を欠き又は懲戒権を濫用したものとして無効
上記各降格もまた無効である等と主張
上記各出勤停止処分の無効確認や上記各降格前の等級を有する地位にあることの確認などを求めた。
(判決)
懲戒権を濫用したものとはいえず、有効なものというべきである
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