黙示の労働契約の成否
(感想)
請負契約について、黙示の労働契約の成立は難しい。
派遣法違反について追及をしたとしても、公法上の義務であり、私法上の労働契約義務は発生するのは難しい。
(重要文言)
社外労働者と受入企業との間に黙示の労働契約が成立するためには
① 採用時の状況 → Y1社がXらの採否に決定権限を有していたとはいえない。
② 指揮命令及び労務提供の態様 → Y1の指揮命令に従っていたとは認められない。
③ 人事労務管理の態様 → 配置の変更や有給休暇取得時の手続等についてもY2が決定
④ 対価としての賃金支払の態様 → 賃金額や支払い方法を決定していたのはY2
派遣法で定める期間制限や直接雇用の申込義務に違反して就労継続をしていた点などを理由とする不法行為の成否について
派遣法の諸規制はあくまで公法上の義務
私法上の労働契約申込義務が発生するわけではなく
仮に本件請負契約が偽装請負であったとしても、
Y1から直接雇用の申込を受けられるというXらの期待は、法的保護を受けるべきものとは認められないとして否定
(事件概要)
XらはY2社との間で労働契約を締結
Y2社とY1社との間の業務請負契約
(訴え)
XらとY1社との間で黙示の労働契約が成立していたと主張
(判決)
Xら自身もY2社に雇用されているとの認識を有していた。
Y1社に対する地位確認請求及び賃金請求をいずれも否定
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