派遣労働者の契約終了
平成24年4月10日、今日は入園式で一日仕事という仕事をせず、子供との時間を過ごしました。
本当に子供の成長の早さには驚かされるばかりです。
今日は、話題の派遣事業に関する判例です。
リーマン・ショックの影響で派遣切りが行われ、これまでの判例と同様に黙示の労働契約に関しては、否定されています。
しかし、自分のこれまでの知識の中で、派遣先に対して、派遣元と共に共同不法行為として損害賠償を求めた判例はこれが初でした。
(事件概要)
平成20年11月初めの時点、リーマンショックによる世界同時不況の影響(21年1月)→ 各派遣会社との派遣契約を解約し、解消する方針を急遽決定(平成20年12月2日)→ Y2は、Y1から中途解約の通告があったことを理由に、X3を含む34名の派遣労働者に対し同月末日をもって解雇する旨を通告 → 受注高の減少によるとの簡単な説明をしたのみ → 具体的な説明もせず、雇用継続や就業機会の確保に向けた努力や配慮の姿勢を示したりすることもなかった。(Y3)→ Y1に対し、解約時期について交渉を行うとともに、X2らに早期退職になる旨通告(X2との話し合いの結果)→ 有給消化を消化、合意退職扱い(X2に対し)→ 単発の仕事であれば新たな派遣先を紹介することができる旨申し出た。→「結構です。自分で探します。」と答えたことから、新たな派遣先を紹介することはなかった。(Y4)→ Y1に対し、中途解約の撤回を申し入れる。(翌2日)→ 解雇せざるを得ない旨伝えた。(同月11日)→ 再就職の支援に向けてできる限りの努力をする姿勢 → 訴外J社の正社員の求人募集の情報を得て、X1に紹介 → 応募書類の提出もしなかったため、Y4が詫びることになった。→ 被告派遣会社Y2・Y3・Y4社(Y2ら)から被告Y1社に派遣労働者として派遣される形式で就業していた原告Xら(平成21年1月9日)→ X1(同月31日)→ X2(同年2月19日)→ X3につき、それぞれY2らから解雇(X2は合意退職扱い)→ Y2らは名目的雇用主にすぎず、X1らの実質的な雇用主はY1 → X1らとY1との間に黙示の雇用契約が成立 → Y2らによる解雇も実質的にY1社が主導して行ったもの → X1らの解雇は解雇権の濫用に当たる。(Y1に対し)→ 雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認及び賃金の支払いをそれぞれ求める。(X1らを解雇したこと)→ X1らの雇用契約上の地位を不当に侵害するもの → Y1とY2らとの共同不当行為に当たる。→ 600万円の請求
Y2、Y3、Y4 :業務請負業、一般労働者派遣業、人材紹介事業等を目的とする株式会社 → Y1にも労働者を派遣
(考察)
黙示の雇用契約 :派遣元事業主が名目的な存在にすぎず、派遣先事業主が派遣労働者の採用や解雇、賃金その他の雇用条件の決定、職場配置を含む具体的な就業態様の決定、懲戒などを事実上行っている。(派遣労働者の人事労務管理など)→ 派遣先事業主によって事実上支配されているような特段の事情がある場合であることを必要とする。(X1らのY1の事業所における就業)→ 実態としても労働者派遣 → X1らにおいても雇用主はY2らであるとの認識をもって就業 → 派遣労働者の人事労務管理などを事実上支配していたような事情は窺えない。→ 黙示の雇用契約が成立するといえる事情は認められない。
共同不法行為の成否 :中途解約は、法的にX1らの雇用主の地位にないとはいえ、著しく信義にもとるもの → 不安定な地位にある派遣労働者の勤労生活を著しく脅かすもの(Y3)→ 解約日を9日間延長するとともに、有給休暇の消化、自己都合による欠勤の場合にも給与相当額を補填 → 考慮しても、派遣先事業主として信義則違反の不法行為が成立する。→ 慰謝料の支払いが命じられた。(Y2)→ 自ら雇用主として契約責任を果たすための真摯な努力をすることを怠った責任は重い。→ Y1の行為と共同不法行為を構成 → 精神的損害に賠償責任を負うと判断(Y3,Y4)→ 派遣元としてできる限りのことをしていた。→ 不法行為を成立することを否定
本当に子供の成長の早さには驚かされるばかりです。
今日は、話題の派遣事業に関する判例です。
リーマン・ショックの影響で派遣切りが行われ、これまでの判例と同様に黙示の労働契約に関しては、否定されています。
しかし、自分のこれまでの知識の中で、派遣先に対して、派遣元と共に共同不法行為として損害賠償を求めた判例はこれが初でした。
(事件概要)
平成20年11月初めの時点、リーマンショックによる世界同時不況の影響(21年1月)→ 各派遣会社との派遣契約を解約し、解消する方針を急遽決定(平成20年12月2日)→ Y2は、Y1から中途解約の通告があったことを理由に、X3を含む34名の派遣労働者に対し同月末日をもって解雇する旨を通告 → 受注高の減少によるとの簡単な説明をしたのみ → 具体的な説明もせず、雇用継続や就業機会の確保に向けた努力や配慮の姿勢を示したりすることもなかった。(Y3)→ Y1に対し、解約時期について交渉を行うとともに、X2らに早期退職になる旨通告(X2との話し合いの結果)→ 有給消化を消化、合意退職扱い(X2に対し)→ 単発の仕事であれば新たな派遣先を紹介することができる旨申し出た。→「結構です。自分で探します。」と答えたことから、新たな派遣先を紹介することはなかった。(Y4)→ Y1に対し、中途解約の撤回を申し入れる。(翌2日)→ 解雇せざるを得ない旨伝えた。(同月11日)→ 再就職の支援に向けてできる限りの努力をする姿勢 → 訴外J社の正社員の求人募集の情報を得て、X1に紹介 → 応募書類の提出もしなかったため、Y4が詫びることになった。→ 被告派遣会社Y2・Y3・Y4社(Y2ら)から被告Y1社に派遣労働者として派遣される形式で就業していた原告Xら(平成21年1月9日)→ X1(同月31日)→ X2(同年2月19日)→ X3につき、それぞれY2らから解雇(X2は合意退職扱い)→ Y2らは名目的雇用主にすぎず、X1らの実質的な雇用主はY1 → X1らとY1との間に黙示の雇用契約が成立 → Y2らによる解雇も実質的にY1社が主導して行ったもの → X1らの解雇は解雇権の濫用に当たる。(Y1に対し)→ 雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認及び賃金の支払いをそれぞれ求める。(X1らを解雇したこと)→ X1らの雇用契約上の地位を不当に侵害するもの → Y1とY2らとの共同不当行為に当たる。→ 600万円の請求
Y2、Y3、Y4 :業務請負業、一般労働者派遣業、人材紹介事業等を目的とする株式会社 → Y1にも労働者を派遣
(考察)
黙示の雇用契約 :派遣元事業主が名目的な存在にすぎず、派遣先事業主が派遣労働者の採用や解雇、賃金その他の雇用条件の決定、職場配置を含む具体的な就業態様の決定、懲戒などを事実上行っている。(派遣労働者の人事労務管理など)→ 派遣先事業主によって事実上支配されているような特段の事情がある場合であることを必要とする。(X1らのY1の事業所における就業)→ 実態としても労働者派遣 → X1らにおいても雇用主はY2らであるとの認識をもって就業 → 派遣労働者の人事労務管理などを事実上支配していたような事情は窺えない。→ 黙示の雇用契約が成立するといえる事情は認められない。
共同不法行為の成否 :中途解約は、法的にX1らの雇用主の地位にないとはいえ、著しく信義にもとるもの → 不安定な地位にある派遣労働者の勤労生活を著しく脅かすもの(Y3)→ 解約日を9日間延長するとともに、有給休暇の消化、自己都合による欠勤の場合にも給与相当額を補填 → 考慮しても、派遣先事業主として信義則違反の不法行為が成立する。→ 慰謝料の支払いが命じられた。(Y2)→ 自ら雇用主として契約責任を果たすための真摯な努力をすることを怠った責任は重い。→ Y1の行為と共同不法行為を構成 → 精神的損害に賠償責任を負うと判断(Y3,Y4)→ 派遣元としてできる限りのことをしていた。→ 不法行為を成立することを否定
スポンサーサイト