警備員らの仮眠・休憩時間の労働時間該当性
(感想)
仮眠・休憩時間と労働時間との区分けをする際の一つの参考になると思われる。
(重要文言)
労働からの解放が保障されていない場合には、労基法上の労働時間に当たるというべき
実質的に実作業への受持が義務付けられていないと認めることができるような事情がある場合には、労働者は使用者の指揮命令かにおかれているとは評価できず、労基法上の労働時間に当たらないと解するのが相当
(本件)
仮眠・休憩時間中に実作業に従事した事例は極めて僅か
仮眠・休憩時間中に実作業に従事することが制度上義務付けられていたとまではいえない
少なくとも仮眠・休憩時間中に実作業に従事しなければならない必要性が皆無に等しいなど
(状況)
B病院には最低4名以上の警備が配置
1名が守衛室で監視警備など業務に当たり、1名が巡回警備業務に当たる傍ら又は守衛室に待機して、突発的な業務が生じた場合にこれに対応する体制がとられていた。
仮眠をとる警備員は、シャワーを浴びた上で、制服からパジャマやトレーナーに着替え、仮眠室に布団を敷いて就寝していた。
仮眠・休憩時間中に突発的な業務に対応して実作業を行った場合は、時間外手当を請求するようにと指示
仮眠時間中に警備員が実作業に従事した件数は、合計17件で、1人当たり平均すると1年に1件にも満たない。
仮眠時間を中断して実作業に従事したことが明らかな事例は4件あったが、そのうち3件は地震又は火災という突発的な災害によるもので、そのうち1件は時間外手当の請求があり支払い
休憩を中断して実作業に従事したと認められる事例は12件
(事件概要)
B病院における勤務体制上、仮眠・休憩時間とされていた時間について、労働からの解放が保障されておらず、労働時間に当たるのに、その点を踏まえた適正な賃金の支払いを受けられなかったと主張
支払拒否を理由とする不法行為による損害賠償請求権
差額相当の賃金又は損害賠償金の支払い
Xらそれぞれ損害賠償金20万円及びこれに対する遅延損害金の支払いを求めた。
(判決)
不法行為が成立するものではないとした。
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