車内での受動喫煙症発症と業務起因性
(感想)
化学的な根拠を示すという考え方は面白いが、こんなことで労災請求をするのだというビックリもあります。
(重要文言)
公務上の災害といえるためには、単に当該公務と災害との間に条件関係が存在するだけではなく、社会通念上、公務に内在する危険の現実かとして災害が発生・増悪したといい得ること、すなわち公務と災害との間に相当因果関係が必要
(事件概要)
建築完了検査の現場に行くために公用車に乗り込んだ際、本件公用車に充満していたたばこの煙から生じた化学物質に曝露したことにより化学物質過敏症を発症した等と主張
公務災害認定を申請
Xに生じた疾病は公務上の災害とは認められないとして公務外災害と認定する処分
(訴え)
Xが本件処分の取消
(判決)
車内から厚生労働省又は環境省が示した基準値を上回る量のホルムアルデヒド、TVOC及びベンゼンが測定されていることは認められる
これらの基準値は人がその化学物質の示された濃度以下の曝露を一生受けたとしても、健康への有害な影響を受けないであろう数値として設定された基準値
待機の汚染に係わる環境上の条件につき人の健康を保護するうえで望ましいとして設定された基準値
本件実験の結果によっても、本件公用車内に、直ちに急性中毒症状のような重大な健康被害を生じさせるに足りる大量の化学物質が充満していたと認めることはできない。
Xの症状が他の要素に起因する可能性も認められること等の諸事情に照らすと、社会通念上、本件公用車を使用するという公務に内在する危険が現実化して化学物質過敏症を発症したと認めることはできず、Xの化学物質過敏症の発症に関して公務起因性を認めることはできない。
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