fc2ブログ

懲戒処分による精神障害・自殺の業務起因性

(感想)
労災の認定基準に対しては、従業員の過失の有無を問わないところから、懲戒事由に対する精神疾患でも認定されるところが興味深い。精神障害については、認定基準に従って行うことについても覚えておきたい。

(重要文言)
<傷病と業務との間の相当因果関係の判断基準>
業務上の傷病とは、当該傷病が被災労働者の従事していた業務に内在する危険性が発言したものであると認められる必要があると解される。
<業務の危険性の判断>
同種の平均的労働者、すなわち、何らかの個体側の脆弱性を有しながらも、当該労働者と職種、職場における立場、経験等の社会通念上合理的な属性と認められる諸要素の点で同種の者
特段の勤務軽減まで必要とせずに通常業務を遂行することができる者を基準
当該労働者の置かれた具体的状況における心理的負荷が一般に精神障害を発症させる危険性を有し、
当該業務による負荷が他の業務以外の要因に比して相対的に有力な要因となって当該精神障害を発病させたと認められれば、
業務と精神障害発病との間に相当因果関係が認められると解するのが相当
<精神障害の業務起因性>
厚生労働省の平成23年12月26日付の認定基準に従って判断するのが相当

(参考条文)
労基法第75条(療養補償)
1 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
2 前項に規定する業務上の疾病及び療養の範囲は、厚生労働省令で定める。

(事件概要)
平成16年2月13日 アルコール検知、停職2日の懲戒処分
平成20年6月28日 アルコール検知、バス業務を行わず、下車勤務を行う。事情聴取
平成20年7月3日 署長からお前はクビだと言われた。死んだほうが楽だなどと述べた。
平成20年7月4日 同年6月29日以降、食事を摂っていないため、ケトンガスが体内で発生し、検知器が作動してしまった
平成20年7月7日 自殺

(訴え)
Xの夫である亡Kについて、退職を強要されたことが原因で精神障害を発症し、その結果自殺したもの
本件精神障害が労災保険7条1項1号及び労基法75条所定の業務上の疾病に該当する。
平成21年6月19日 監督署に対し、遺族補償年金などの支給を請求
不支給処分をしたため、その取消を求めた。

(判決)
Kが自殺当時適応障害を発病していたことを認定
アルコール検査に3回引っかかったとの発言や、クビになるかもしれないとの認識
Kの心理的負荷の強度は「強」と評価

精神障害は、業務に起因して発病したもの

スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

roumutaka

Author:roumutaka
毎日、2時間以上の勉強を欠かさず、一歩ずつでも前進致します。
顧問先様への新しい情報の発信及び、提案の努力を怠りません。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる