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労災保険給付は使用者自らの負担といえるか

(感想)
労基法と労災保険法の関係性を示した判例といえる。内容は条文を並べたものであるが、労災保険の支給が使用者自らの負担の場合と異にするものではないと判断されたのは有意義である。

(重要文言)
業務災害に関する労災保険制度は、労基法により使用者が負う災害補償義務の存在を前提
労災保険法に基づく補償給付の実質は、使用者の労基法上の災害補償義務を政府が保険給付の形式で行うものであると解するのが相当

使用者自らの負担により災害補償が行われている場合とこれに代わるものとしての労災保険法に基づく保険給付が行われている場合、
労基法19条1項但し書の適用の有無につき取り扱いを異にすべきものとはいいがたい

(事件概要)
15年3月13日に医療機関で頸肩腕症候群に罹患
平成15年6月3日から1年間の欠勤及び、16年6月3日から1年間の私傷病休職、さらに18年1月17日からの欠勤について、「Y大学勤務員災害補償規程」に照らし、労働災害による「欠勤」
規程所定の欠勤期間である3か年が経過した平成21年1月17日に至ってもXの症状にほとんど変化がなかった
規程に基づく2年間の業務災害休職
「休職期間を満了しても、なお休職事由が消滅しないとき」に該当するものと判断し、解雇
打切補償として1,629万余円を支給
平成23年10月24日付で本件解雇の意思表示

(訴え)
打切補償として平均賃金の1200日分相当額の支払いを受けたうえでされた解雇
Xは労基法81条にいう同法75条の規定によって補償を受ける労働者に該当せず、
本件解雇は同法19条1項但し書所定の場合に該当するものではなく
同項に違反し無効
労働契約上の地位の確認などを求めた

(判決)
労基法81条にいう同法「75条規定によって補償を受ける労働者」に含まれるものに対して同法81条の規定による打切補償を行ったものと認められ
本件については労基法19条1項ただし書の規定により同項本文の解雇制限の適用はなく、本件解雇は同項に違反するものではない。
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