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公務員のうつ病による自殺と損害賠償請求


(感想)
公務員の場合、国賠法が適用されるため、個々人ではなく、国又は公共団体が賠償責を負うことは知っておきたい。
葬祭料については、実際に支払ったものを自らが申請するので、損害として改めて計上しないことも知っておきたい。
いつものことながら、遺族補償一時金の支給については、損益相殺的な調整をしている。

(重要文言)
Y1組合との関係は雇用ではなく、任用関係にあったもので、民主的な規律に服すべき公務員関係の一環をなすもの
民間の雇用関係とはおのずと異なる法的性質を有する
公務員に対する指揮監督ないし安全管理作用も国賠法1条1項にいう「公権力の行使」に該当する。

国賠法1条に基づく責任が認められることから、Y3及び、Y2は個人としての不法行為を負わない。

国賠法1条(公務員の不法行為と賠償責任、求償権)
1項 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

<安全配慮義務違反>
勤務が過酷であることや上司らのパワハラを認識しながら、何らの対策を講じることなく、新人医師に我慢してもらい、半年持ってくれればよい、持たなければ本人が派遣元の大学病院に転属を自ら申し出るだろうとの認識で放置
Y1にはKの心身の健康に対する違反が認められる。

X1は自らが相殺を行った者として同給付申請を行っていたものである
上記認定にかかる葬祭費用150万円は実際的にX1の固有の損害とみるのが相当
上記相殺補償によりその限度で既に損益相殺済みの者として扱う。
本件損害として改めて計上をしない

遺族補償一時金の支給を受け、又は支給を受けることが確定したとき
その補填の対象となる損害は不法行為の時に填補されたものと法的に評価して損益相殺的な調整をすることが公平の見地からみて相当

(事件概要)
時間外勤務時間は
平成19年10月 205時間50分
同年11月 175時間40分
自殺前3週間 121時間36分
自殺前4週間 167時間42分

Y2から握り拳で1回、ノックするように頭を叩かれて、危ないと注意されたこと等、Y3やY2から多くの指導を受けたり注意されたりしていた。

平成19年12月10日午前零時頃 自宅として居住していた本件病院の職員用宿舎の浴室内にて、コンロで燃料を燃やし、一酸化炭素中毒となって自殺

22年8月24日付 本件自殺は公務災害に当たると認定
X1は、地方公務員災害補償基金より、遺族補償一時金、遺族特別支給金等及び、葬祭補償を受領

(訴え)
Xらが、Y1組合の運営する本件病院に勤務していたKが過重労働や上司らのパワハラにより、うつ病を発症し、自殺に至った。
Y1及び、当時のKの上司であったY2とY3に対し、債務不履行または不法行為に基づき、
死亡慰謝料等及び、損害元金の各支払いを求めた。

(判決)
Kが従事していた業務は、質的にも相当過重なものであったばかりか、
Y2やY3によるパワハラを継続的に受けていたことが加わり、これらが重層的かつ相乗的に作用して一層過酷な状況に陥ったものと評価

過重業務やパワハラがKに与えた心理的負荷は非常に大きく、同人と職種、職場における立場、経験などの点で同等の者にとっても、社会通念上客観的にみて本件疾病を発症させる程度に過重であったと評価
これらの行為と本件疾病との間には優に相当因果関係が認められ
本件自殺は本件疾病の精神障害の症状として発言したと認めるのが相当
パワハラなどと本件自殺との間の相当因果関係も認めることができる。


X1について3,081万8,745円
X2について6,929万3,745円
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